小池都知事の学歴詐称疑惑:なぜ都庁記者クラブは追及しないのか?

2018年06月15日 | 政治社会問題
小池都知事の学歴詐称疑惑:なぜ都庁記者クラブは追及しないのか? --- 新田 哲史
6/9(土) 18:19配信 アゴラ
小池都知事の学歴詐称疑惑:なぜ都庁記者クラブは追及しないのか? --- 新田 哲史
AbemaTVから
週末にド級の“文春砲”が飛んできたと思ったら、発射したのは週刊文春ではなく御本尊の文藝春秋だった。あす9日発売の7月号で、小池百合子氏のカイロ在住時代の同居女性の証言などを元に「カイロ大学卒業」としていた彼女の学歴詐称疑惑を報じている。

“「小池百合子さんはカイロ大学を卒業していません」と元同居女性が証言(文春オンライン)(http://bunshun.jp/articles/-/7706)”

本誌の予告記事が流れたのはきょうの昼頃。折しも金曜は都知事の定例記者会見が入っている。AbemaTVに至っては急遽クルーを都庁に派遣したのか、緊急放送までする力のいれようで、さてどうなるかと思っていたのだが……。

“AbemaTV@今日の番組表から @AbemaTV

【生中継】
小池百合子都知事に“経歴詐称“報道 。
カイロ大学を卒業していないとの疑惑が報じられる中、記者会見でどう答えるのか。

▽ただいまAbemaNEWSで生中継中
14:05 - 2018年6月8日”(https://twitter.com/AbemaTV/status/1004952603271184384)

結局、都庁クラブの定例会見の時点(15時前終了)では、この問題について誰も質問することはなかったようだ。

もちろん、天下の「文春砲」といっても、新聞、テレビ各社が最低限の裏付け取材をしていない中で追及するには困難だ。せめてものゲラを入手してその中身を読んでからでないと質問はしづらい。記者会見開始の14時までに各社がどこも入手できなかったのかどうか。

少なくとも夕方までには都庁記者クラブや都政関係者の間でゲラは出回っていたようだが、仮に会見の前に入手していたとしたら質問すらしないのは「不作為」だろうし、あるいは会見後に入手したのであれば、あすの発売日以降も、新聞やテレビが真面目に追及しないままなら、読者や視聴者から「報道しない自由」の行使だったのか、ある種の「忖度」をしているのかどうか厳しく問われるのではないか。

「都政」に関する質問に限る規制をかけているとの情報もあるが、そうだったとしても都知事選の選出過程に疑義が呈されてはいるから、社会部の猛者たちが追及しない理由にはならない。

政界では、過去に選挙公報に示した学歴の詐称(公選法違反)で国会議員が失職した事例があるが、実は一報があった当初、私自身は「あの海千山千の小池さんがそんな稚拙な“犯行”をやるものか」と疑問だった。2年前の都知事選の当時も学歴詐称疑惑が浮上するや、若き日の小池氏の写真が入った「卒業証書」とするアラビア語の書面を提示はして打ち消していた。

“野口健(アルピニスト) @kennoguchi0821

これが「カイロ大学卒業証書」とのこと。小池さんのカイロ大学卒業は中東専門家の間でもかなり有名。
22:28 - 2016年8月6日”(https://twitter.com/kennoguchi0821/status/761916763604815873)


蓮舫氏の国籍疑惑勃発時と同じになるのか?
さてどれほどのものだろうか、さきほど私も遅れて記事の中身を確認したが、天下の文藝春秋が掲載するからには、勝負をかけるだけの状況証拠はしっかり揃えてきたように思った。執筆者のノンフィクション作家、石井妙子氏は、昭和の名女優の実像を追いかけた『原節子の真実』で第15回新潮ドキュメント賞を受賞したベテランの書き手だ。政界筋によると、石井氏は、遅くとも昨年秋ごろには取材に着手していた模様で、この間、相応の準備を積み重ねてきたのは間違いない。前述の「卒業証書」についても説得力のある言及をしていて、詳しくは記事を読んでいただければと思う。

このあと、小池氏が文春や石井氏を名誉毀損で刑事・民事で法的措置をとってくるのか、政治生命をかけた反論をしてくる可能性もありそうだが、文春側は当然それくらいは折り込み済みであろう。どちらにせよ、過去の選挙で示してきた学歴が真実なのかどうか。都民の関心としてはその1点に尽きるわけだが、真相追及への力学が働くかは世論の動向が大きい。そしてそれが動くかどうかは、都庁記者クラブに加盟する新聞、テレビなどの大手メディアはカギを握るのはたしかだが、「事なかれ主義」で静観を決め込むのかどうか。

東京の選挙での経歴詐称疑惑といえば、蓮舫氏の国籍問題があった。しかし、あのときもアゴラや夕刊フジが最初に追及した当初、大手メディアは産経新聞を除いて動こうとしなかった。今回は国籍問題と違って、過去に失職事例もある学歴の詐称疑惑。はたして大手メディアは今回ばかりは早期に動くのだろうか。

(追記:6月08日21:00)週刊ポストも昨年6月、小池氏の学歴疑惑を報じており、日本語を話せるカイロ大学の現職教授が確認した結果として、「1976年に間違いなく卒業」としている。ただし、成績は6段階で上から3番目で首席ではなかった可能性が高い。この報道は文春側も把握はしているだろうから、この情報との矛盾についても検証されるべきだろう。

新田 哲史

学歴詐称疑惑を否定=小池都知事
6/15(金) 18:13配信 時事通信
 東京都の小池百合子知事は15日の記者会見で、カイロ大卒業という学歴が事実ではないとした月刊誌「文芸春秋」の記事に関し、「卒業証書も有り、大学側も認めている」と改めて否定した。

 ただ、自身の著書などで「首席で卒業」としていた点については「先生から『良い成績だった』と言われた。昔の話なので一つ一つは覚えていない」と明言を避けた。 


小池百合子都知事のカイロ大学「卒業証書」画像を徹底検証する
6/15(金) 15:36配信 文春オンライン
小池百合子都知事のカイロ大学「卒業証書」画像を徹底検証する
エジプトの最高学府・カイロ大学 ©文藝春秋
 現在発売中の「文藝春秋」(2018年7月号)に、私は「 小池百合子『虚飾の履歴書』 」を寄稿した。小池百合子都知事の「カイロ大学卒業」という学歴は事実ではなく、公職選挙法に違反している可能性が高いと指摘したものである。

【画像】AとBの「二つの卒業証書」のロゴマークを拡大して比較すると……

 詳しくは上記を読んで頂きたいが、今回は本文から割愛した部分を紹介したい。

自著の扉で「卒業証書」を披露
 小池氏はこれまでも度々、学歴詐称の疑いをかけられてきたが、彼女はその度に「卒業証書を持っている」と主張し、疑惑をはねのけてきた。

 だが、この「卒業証書」そのものに、私はいくつもの疑問を抱いている。

 彼女は自著『振り袖、ピラミッドを登る』(1982年、講談社)の扉で、最初にこの「卒業証書」を披露した。

 それがAである。「あとがき」では、こう説明している。「正式の卒業証書が手に入ったのは、何と二年後であった。一枚一枚が手書きだからである」。

 Aはご覧のように、小池氏がベールをかぶっている写真とコラージュされている。ベールの裾部分が不自然に広がっており、この裾で隠された部分には、学部長ほかのサインがあるはずなのだが、その肝心な部分がAでは見ることができない状態だ。また、裾の右下(「講談社」の文字の右斜め下)に位置しているアラビア文字は「学籍番号」を意味し、本来は、それに続いて小池氏の学籍番号が数字で書き込まれていなければならないはずだが、それがない。

二つの「卒業証書」には、明らかな相違点がある
 次にBを見て頂きたい。これは、2016年に彼女が都知事選に臨んだ際、学歴詐称疑惑を打ち消すために、フジテレビ「とくダネ!」(2016年6月30日放送)で明らかにした「卒業証書」である。

 当然、AとBは同一のものでなくてはおかしい。

 実際、ふたつを比べると、アラビア文字の部分は、点の位置に至るまで書体はまったく同一であるように見える。

 だが、この二つの「卒業証書」には、明らかな相違点がある。

 それが右上のロゴマークだ。

 ロゴマークの上部に注目して頂きたい。

 Aのロゴマークの上部は、白地の中にダイヤマークがある。一方、Bのロゴマーク上部は、緑地の中に先端が丸みを帯びた白いV字が描かれている。

 AとBのロゴマークは、明らかに違う。ということは、AとBは別物である、ということになる。


6/15(金) 15:36配信 文春オンライン
 なぜ、このような相違が生じたのか。

 もしかしたら、小池氏は「Aを紛失したため、再度、カイロ大学から入手した」と答えるかもしれない。しかし、それならなぜ、文字は写したように同一なのか。「一枚一枚が手書き」であるのならば、あり得ないことだ。

卒業証明書にも、いくつもの疑問が
 次に卒業証明書に関する疑問点を述べたい。

 卒業証明書とは、卒業が決定した学生に即座に発行されるものである。学生はこれを用いて就職活動を行う。一般的に、学生が卒業証書として利用しているのは、この写真入りで印紙が貼られている卒業証明書である。希望者のみが卒業証書を有料で大学から手に入れる。

 小池氏はやはり上記「とくダネ!」で、「卒業証書」とともに「卒業証明書」を公開した。

 だが、この「卒業証明書」にも、いくつもの疑問を感じる。

 小池氏より3年早く、1973年9月にカイロ大学文学部を卒業した小笠原良治大東文化大学名誉教授のそれと比較してみれば、違いがよくわかる。

 まず、左上にある本人写真と本紙の間には、割り印としてスタンプが押されている。だが、小池氏のものは円形ではなく、楕円で、写真の部分と紙の部分にずれが生じているように見える。その右側には、やはり印紙と本紙の間に割り印としてスタンプが押されなければならないが、小池氏のものは、あまりにも薄い。

 下部に、ふたつ押されているスタンプのうち右側のものは、二度押したように不鮮明である。左側も、どのようなデザインのスタンプかまったく読み取ることができない。

 小笠原氏のものは、ご覧のように鷲が両翼を広げているデザインがはっきりとしている。

 また、紙のサイズにも明らかな違いがある。小池氏の「卒業証明書」はなじみのあるA4用紙などに近い縦横比だが、小笠原氏のものは正方形に近い独自の寸法になっている。

情報の透明化を謳ったのではなかったか
 ただ、私は小池氏の「卒業証書」も、「卒業証明書」も現物を見ていない。

「文藝春秋」7月号の記事を書くにあたり小池氏に質問表とともに、「卒業証書」「卒業証明書」のコピーを提示してくれるように求めたが、顧問弁護士からの回答書にて無視されたからだ。

 選挙の際に、小池氏は自らこれらをテレビ番組で公開した。

 なぜ、正確な検証を望む私たちの要望には応えないのか。

 知事になるにあたって、情報の透明化を謳ったのではなかったか。

 約束を自ら果たして欲しい。

◇ ◇ ◇

 小池都知事のカイロ時代の姿と「カイロ大学首席卒業」の謎を解き明かした、全26ページにわたる石井氏執筆の「小池百合子『虚飾の履歴書』」は、現在発売中の 「文藝春秋」7月号 に掲載されている。

石井 妙子


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