史上最高峰の「昭和系オムライス」を新小岩の町中華『五十番』で食べてきた
11/8(日) 9:04配信
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食楽web
『五十番』の「オムライス」
世のオムライス好きには、大きく分けて2つの派閥が存在します。「卵ふわとろ派」と「卵うす焼き派」です。前者は主に半熟のオムレツの真ん中に切り込みを入れてとろりと広げ、デミグラスソースなどをかけて出す洋食系、後者は、その名の通り、うす焼きの卵でチキンライスなどをくるみ、ケチャップで食べる昭和の町中華系です。
そして筆者は、どちらかといえば「卵うす焼き派」に与(くみ)する者です。
理由としては、ふわとろはあくまで「食感」に過ぎず、味わいには大きく寄与しないと思うからです。むしろふわとろ卵やデミグラスソースを作ることが至上命題になり過ぎて、見た目は美しいものの、全体の味のバランスを大きく欠き、しかも値段の割に量が少ない…。そんなモヤモヤするオムライス、最近多いと思いませんか?
そんなある日のこと。都内のバーで友人とオムライス談義に花を咲かせていたら、年配のマスターから「君たちは新小岩の町中華『五十番』のオムライスを食ったことがあるか?」と突然聞かれました。
いわく「昭和系のうす焼き卵のオムライスでありながら、トロ~リ半熟の良さも引き出した逸品」とのこと。ホントかよ? と一瞬思いましたが、食べてみないことには判断は下せません。というわけで後日、友人と一緒に新小岩駅に降り立ちました。目指すは町中華の『五十番』です。
自分史上最高のオムライスに出合った
町中華らしいオレンジ色のカラーリングに心癒される
入店すると、そこは誰もが想像するであろう、由緒正しき町中華の雰囲気。渋めのオレンジ色のキーカラーが店に統一感をもたらしています。「何にしましょ?」と女将さんに聞かれたので、もちろんオムライスを注文。さらに380円という目を疑うような価格の「ラーメン」、そしてせっかくなので「肉団子」と「肉の天ぷら」も頼んでシェアすることにしました。
「オムライス」680円。スープ付き
待つこと数分。目の前に、オムライスがドンと置かれました。なだらかな弧を描く丸いフォルム、黄色い背景に映える深みのあるケチャップの真紅色、そして裾野から遠慮がちに顔を覗かせる薄いオレンジ色のライス…。宝石のような美しさです。
剣道の達人は、相対するだけで相手の実力がわかるといいます。筆者は剣士でも何でもありませんが、この時ばかりは直感で察しました。このオムライスが絶対に美味しいやつであることを。
いざ、味わってみてそれは確信に変わり、中央部にスプーンを入れてみると、さらなる衝撃が走りました。ハードタイプに見えた卵ですが、真ん中付近だけは、バーのマスターの証言通り、とろりとした半熟だったのです! これがややパラッとしたケチャップライスにとろとろと染み込んでいきます。口にしてみたら、危うく昇天しそうな味わい。これはスゴい…と友人と顔を見合わせます。
また、店によってはベチャッとしがちなケチャップライスも、さすが町中華、実に理想的なパラパラしっとり具合。さらに、卵にかけられた深みのある真紅のケチャップも、甘ったるさゼロで、ただならぬ美味しさ。思いもかけず、自分史上最高のオムライスに出合ってしまいました…! ありがとうマスター。
380円のラーメンも最高にスゴかった
「ラーメン」380円

さて、オムライスを心ゆくまで堪能したころ、ラーメンが到着しました。近年、日本のラーメンはおしなべて美味しくなりました。しかし、1杯800~1000円はします。休日、4人家族でラーメンを食べに行こうものなら約4千円もの出費。家族割があるわけでもなし、気軽な食べ物ではなくなっているのが残念なところ。
しかし『五十番』のラーメンは、前述したとおり、1杯たったの380円。しかし、オムライスと同様、これまたスゴかったのです。これまで数々食べてきたラーメンはなんだったのか、と思わずにはいられないほど。
あっさりとしていてスルスル食べられます
町中華らしくナルトが2枚。見た目は普通に見えますが、ネギとワカメの浮いた醤油スープをひと口飲んだ瞬間、衝撃的ともいえる深みのある味わいに目が丸くなりました。これが380円!? 細く縮れた硬めの麺も最高、もちろんスープとの相性も抜群です。チャーシューのしっかりした食感と旨み、そして箸休めのナルト。ああ、なんて美味しいんだろう。「正直言って今年一番のラーメンだわー」と友人の口から、ため息交じりに言葉が漏れ出ました。
その合間に、肉団子と肉の天ぷらもつまみます。肉団子は、まずその数に圧倒されます。およそ14~15個はあったでしょうか。
周りはカリッ、中はフワッとした食感の肉団子をトロトロの甘辛餡に絡めて口に放り込めば、もはや至福としか言いようがありません。これだけで、ご飯が3~4杯食べられそうです。
続いて、「肉の天ぷら」。フワフワした衣の中に、ジューシーな薄切りの豚肉が。見た目はボリューム満点ですが、あくまで軽い味わい。これをカラシ醤油でいただきます。衣自体に味があり、さらに噛むたびに中から肉汁がにじみ出てきます。これはビールが欲しくなる味わいです。
「肉の天ぷら」900円
というわけで、お腹がはちきれそうになるくらい食べても計2860円。安い、早い、旨すぎる。そしてなぜか、胃もたれ感がない。店を後にして、開口一番、友人が「いや、最高だったね~!」とひと言。オムライスやラーメンは近年、ものすごいアレンジと多様化が進行していますが、改めて「これでいいんだよな」と思える美味しさに感動しきり。
安いだけでなく、安心して理想の料理が味わえる『五十番』。みなさんもぜひ食べに行ってみてください。家や会社の近くにあったら、毎日通いたくなると思いますよ。
食楽web
●SHOP INFO
店名:中華料理 五十番
住:東京都葛飾区新小岩2-13-4
TEL:03-3647-0845
営:11:30~22:00
休:水曜

11/8(日) 9:04配信
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『五十番』の「オムライス」
世のオムライス好きには、大きく分けて2つの派閥が存在します。「卵ふわとろ派」と「卵うす焼き派」です。前者は主に半熟のオムレツの真ん中に切り込みを入れてとろりと広げ、デミグラスソースなどをかけて出す洋食系、後者は、その名の通り、うす焼きの卵でチキンライスなどをくるみ、ケチャップで食べる昭和の町中華系です。
そして筆者は、どちらかといえば「卵うす焼き派」に与(くみ)する者です。
理由としては、ふわとろはあくまで「食感」に過ぎず、味わいには大きく寄与しないと思うからです。むしろふわとろ卵やデミグラスソースを作ることが至上命題になり過ぎて、見た目は美しいものの、全体の味のバランスを大きく欠き、しかも値段の割に量が少ない…。そんなモヤモヤするオムライス、最近多いと思いませんか?
そんなある日のこと。都内のバーで友人とオムライス談義に花を咲かせていたら、年配のマスターから「君たちは新小岩の町中華『五十番』のオムライスを食ったことがあるか?」と突然聞かれました。
いわく「昭和系のうす焼き卵のオムライスでありながら、トロ~リ半熟の良さも引き出した逸品」とのこと。ホントかよ? と一瞬思いましたが、食べてみないことには判断は下せません。というわけで後日、友人と一緒に新小岩駅に降り立ちました。目指すは町中華の『五十番』です。
自分史上最高のオムライスに出合った
町中華らしいオレンジ色のカラーリングに心癒される
入店すると、そこは誰もが想像するであろう、由緒正しき町中華の雰囲気。渋めのオレンジ色のキーカラーが店に統一感をもたらしています。「何にしましょ?」と女将さんに聞かれたので、もちろんオムライスを注文。さらに380円という目を疑うような価格の「ラーメン」、そしてせっかくなので「肉団子」と「肉の天ぷら」も頼んでシェアすることにしました。
「オムライス」680円。スープ付き
待つこと数分。目の前に、オムライスがドンと置かれました。なだらかな弧を描く丸いフォルム、黄色い背景に映える深みのあるケチャップの真紅色、そして裾野から遠慮がちに顔を覗かせる薄いオレンジ色のライス…。宝石のような美しさです。
剣道の達人は、相対するだけで相手の実力がわかるといいます。筆者は剣士でも何でもありませんが、この時ばかりは直感で察しました。このオムライスが絶対に美味しいやつであることを。
いざ、味わってみてそれは確信に変わり、中央部にスプーンを入れてみると、さらなる衝撃が走りました。ハードタイプに見えた卵ですが、真ん中付近だけは、バーのマスターの証言通り、とろりとした半熟だったのです! これがややパラッとしたケチャップライスにとろとろと染み込んでいきます。口にしてみたら、危うく昇天しそうな味わい。これはスゴい…と友人と顔を見合わせます。
また、店によってはベチャッとしがちなケチャップライスも、さすが町中華、実に理想的なパラパラしっとり具合。さらに、卵にかけられた深みのある真紅のケチャップも、甘ったるさゼロで、ただならぬ美味しさ。思いもかけず、自分史上最高のオムライスに出合ってしまいました…! ありがとうマスター。
380円のラーメンも最高にスゴかった
「ラーメン」380円

さて、オムライスを心ゆくまで堪能したころ、ラーメンが到着しました。近年、日本のラーメンはおしなべて美味しくなりました。しかし、1杯800~1000円はします。休日、4人家族でラーメンを食べに行こうものなら約4千円もの出費。家族割があるわけでもなし、気軽な食べ物ではなくなっているのが残念なところ。
しかし『五十番』のラーメンは、前述したとおり、1杯たったの380円。しかし、オムライスと同様、これまたスゴかったのです。これまで数々食べてきたラーメンはなんだったのか、と思わずにはいられないほど。
あっさりとしていてスルスル食べられます
町中華らしくナルトが2枚。見た目は普通に見えますが、ネギとワカメの浮いた醤油スープをひと口飲んだ瞬間、衝撃的ともいえる深みのある味わいに目が丸くなりました。これが380円!? 細く縮れた硬めの麺も最高、もちろんスープとの相性も抜群です。チャーシューのしっかりした食感と旨み、そして箸休めのナルト。ああ、なんて美味しいんだろう。「正直言って今年一番のラーメンだわー」と友人の口から、ため息交じりに言葉が漏れ出ました。
その合間に、肉団子と肉の天ぷらもつまみます。肉団子は、まずその数に圧倒されます。およそ14~15個はあったでしょうか。
周りはカリッ、中はフワッとした食感の肉団子をトロトロの甘辛餡に絡めて口に放り込めば、もはや至福としか言いようがありません。これだけで、ご飯が3~4杯食べられそうです。
続いて、「肉の天ぷら」。フワフワした衣の中に、ジューシーな薄切りの豚肉が。見た目はボリューム満点ですが、あくまで軽い味わい。これをカラシ醤油でいただきます。衣自体に味があり、さらに噛むたびに中から肉汁がにじみ出てきます。これはビールが欲しくなる味わいです。
「肉の天ぷら」900円
というわけで、お腹がはちきれそうになるくらい食べても計2860円。安い、早い、旨すぎる。そしてなぜか、胃もたれ感がない。店を後にして、開口一番、友人が「いや、最高だったね~!」とひと言。オムライスやラーメンは近年、ものすごいアレンジと多様化が進行していますが、改めて「これでいいんだよな」と思える美味しさに感動しきり。
安いだけでなく、安心して理想の料理が味わえる『五十番』。みなさんもぜひ食べに行ってみてください。家や会社の近くにあったら、毎日通いたくなると思いますよ。
食楽web
●SHOP INFO
店名:中華料理 五十番
住:東京都葛飾区新小岩2-13-4
TEL:03-3647-0845
営:11:30~22:00
休:水曜
