狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

杉本五郎中佐

2006-08-21 21:46:07 | 本・読書
 
 「皇国史観」と簡単に言うけれど、この杉本五郎中佐の「大義」は非常に難しい内容の本である。
 
この本の編者後記によると、
「(略)遺著「大義」が刊行せらるゝや、人々は驚嘆と感激とを以って之を繙き、発行部数は遂に十萬を突破するに至った。然し一般青壮年や学生及び第一線将兵は、日本文に訳したる携帯便なる小型のものを希望せらるゝ向きが多く、茲に広く一般に普及すべく本書を刊行するに至ったのである。
本書こそは真に神勅奉行皇謨顕現に挺進すべき皇国民の経典であり、神の声である。(略)」とある。

然し、この本の内容から推して、復刻再版は有り得ないのではないか。この「大義」は容易に入手できない本だと思う。
 幸い小生はその小型版を所持しているので、その第1章だけでも紹介いたしたいと思う。

        緒 言
 吾児孫の以て依るべき大道を直指す。名利何んするものぞ、地位何物ぞ、断じて名聞利欲の奴となる勿れ。
士道、義より大なるはなく、義は 君臣を以て最大となす。出処進退総べて 大義を本とせよ。
大義を以て胸間に掛(けい)在せずんば、児孫と称することを許さず。一把茅底折脚鐺(さう)内に野菜根(こん)を煮て喫して日を過ごすとも、専一に 大義を究明する底は、吾と相見報恩底の児孫なり。
孝たらんとせば、大義に透徹せよ。
大義に透徹せんと要せば、須く先づ深く禅教に入って我執を去れ。若し根器堪へずんば、他の宗乗に依れ。戒むらくは宗域に止まって奴となる勿れ。唯々我執を去るを専要とす。
次に願はくば、必死以て 大義擁護の後嗣を造れ。而して其は汝子孫に求むるを最良とし、縁なきも大乗根器の大士ならば次策とす。一箇忠烈に死して、後世をして憤起せしむるは止むを得ざるの下策と知れ。宜しく大乗的忠の権化、楠子を範とせよ。
歳々大義擁護以て 皇国を富岳の安きに置き、
聖慮を安んじ奉れ。    至嘱々々
                      父 五郎
   正 殿
     兄弟一統
(補註)この復刻本が靖国神社「遊就館」に売っているらしいです。  

 ※パソコンが不具合である。何時毀れるが分からない。とりあえず急げ!急げ!