狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

あの頃

2006-08-13 20:31:28 | 反戦基地

養成班で一通りの基礎訓練や、食器作り(アルミ板を木ハンマーで叩出して作る)ハンマー造り(鉄棒を鑢でハンマーに仕上げる)など一応の実習作業を終えると、各現場に配属(割り当て)された。

 一般の工員は国民学校(小学校)卒で入れる工員養成所出身で、そこでは仕上げ工、銅工などといったブルー色の職種の現場向きの工員に鍛え上げられ、二等工員、一等工員と軍隊式の襟章までつけたようだが、中学生は一応の配慮があったのだろう、私たち数人の配属先は事務系の現場だった。
 どんなことをやったかというと、現場で工作に使う鉄板や、ジュラ板(ジュラルミンの平板)の数量の計算である。現場の班長クラスが回ってきて、
 「少し多めに出して呉れや」などといってきた。
 そんな難しい計算ではない。図面で送られてきた立方体の機材を作る資材の数量を計算し、しかもそれは適当に多めに見積もりさえすればよいのであった。 

 しかし、作業は日を追って少なくなり、何もやらない日が続いた。班の事務室は大きな1室に机を□型に並べ、学徒は一人前の事務員として扱われたが、為すことが無く、飛行機の機種、記号、通称などを記した青焼きが次々回覧されてきた。興味があるので、すぐ覚えた。

全て○秘のマークが付いていた。飛行機の記号・設計・試作名または名称、に分類されていた。

 A6M 三菱 12試艦上戦闘機  零式艦上戦闘機
 B5N 中島 10試艦上攻撃機  97式1,3号攻撃機
 B6N 中島 14試艦上攻撃機  「天山」
 C6N 中島 17試艦上偵察機  「彩雲」
 D3A 愛知 11試艦上爆撃意   99式艦上爆撃機
 D4Y 技廠 13試艦上爆撃機  「彗星」
 G3M 三菱 9試中型陸上攻撃機 96式陸上攻撃機
 G4M 三菱 12試陸上攻撃機  1式陸上攻撃機 

また雑誌なども回覧された。「新太陽」という月刊誌だったことを覚えている。