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昭和48年(1973年5月25日第1回配本(第10巻)~
昭和51年(1976年)六月二十五日発行(第36回配本にて完結)
以前、(昭和40年代の昔話になる)友人の自宅の新築祝いに招待されて行った時、三島由紀夫全集が作りつけ書棚にぎっしり揃えてあったのを見て、いいなあと思った。
「岬にての物語」「仮面の告白」などを読みかじっている頃だった。
早速行きつけのT市S書店の外商係りを呼んで予約を申し込んだ。
保証人を付させられた。途中でキャンセルされると困るほど高価だったのである。
いま三島由紀夫全集は大概の図書館に揃っていると思う。最新のものでは『決定版 三島由紀夫全集』(全42巻/補巻1、別巻1)であろう。
ボクの所持しているのは流石限定1千部だけあって、豪華造りの本であることはこの上ない。飾っておくだけである。わが町の図書館にないのは勿論だが、最近矢鱈と古書店に積んであるのを見かけると、限定1千部は当てにならないのかなあと思いたくなるときもある。
その注文時、S書店の外商部長だったT・Sさんと知り合った。
今は全くその書店とも交流はなってしまったが、
わが地方に毎週土曜日無料配送される情報紙「〇〇リビング」平成14年5月25日付第1紙面に
「T高校・定時制に成人特例選抜制度で入学」という孫のような生徒に混じって歓談するT・Sさんの大きな写真入り見出しの記事に偶然出会った。
記事に依ると、
昨年12月、45年間勤め、本店店長を経て外商部長を歴任した同社を定年退職してからの、還暦の高校生である。隣村M村の出身で、中学3年の進路決定のさなか、大切な母様を亡くし、高校進学できなかった夢を果たしたという。
浪花節の台本になりそうなT・Sさん、定時制はたしか4年と聞いたから、多分去年か今年優秀な成績で卒業なされた筈と思い出している。
三島由紀夫全集に纏わる思い出である。