ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第58巻-3テレパス

2007-03-31 15:48:01 | 第056巻~第060巻

■テレパス(第203話) 発表1982年5月

評価    ★★★★

依頼人  CIA

ターゲット ソ連大使館付武官ボリス・ゴドノフ大尉

報酬    不明

今回弾丸発射数    9/ 通算弾丸発射数 1,240

今回殺害人数      4/ 通算殺害人数   1,344

今回まぐわい回数  0/  通算まぐわい回数    78

<ストーリー>
ゴルゴvsエスパー!KGB女エスパーの妨害により、ゴルゴは狙撃に失敗。ゴルゴは超能力に打ち克つことができるのだろうか・・・

<この一言>
明日・・・?ずいぶん急な話だな・・・何かあるらしいが・・・それで、どうして俺なんだ?

<もう一言>
なんとでもいってくれ・・・契約を守れなかったんだ。カネは返す・・・

<さらに一言>
パンフには・・・”心身に悩みのある人、すべて歓迎。だれでも瞑想が得られます”と、あった・・・が・・・?

<解説>
ソ連大使館付武官ボリス・ゴドノフ大尉はブレジネフ書記長の遠縁で、合衆国大統領とブレジネフとの意志疎通を媒体していた。しかし、ソ連ではブレジネフの求心力が弱まり、ゴドノフもKGBにより召還されることになった。CIAは口封じのためにゴドノフの殺害を試みるがことごとく失敗、ゴルゴに白羽の矢を立てる。依頼を受けるゴルゴが、
「明日・・・?ずいぶん急な話だな・・・何かあるらしいが・・・それで、どうして俺なんだ?」
と苦言を呈しているのが可笑しい。

依頼を受けたゴルゴは、ダレス空港でゴドノフを狙撃するも失敗。2発の弾丸を放ちながら、ゴドノフにかすらせることもできなかった。
ゴルゴが狙撃に失敗するのは 第15巻-3『アクシデンタル』 以来のこと。ゴルゴはCIAに舞い戻り、局員から非難を浴びせられる。
「なんとでもいってくれ・・・契約を守れなかったんだ。カネは返す・・・」
と冷静に対処するゴルゴであるが、ゴドノフに付き添っていた女の素性を聞く。CIAが答えられないと、「調べていなかったのか?」と逆ギレ。責任の所在をCIAに押しつける。CIAが調査をすると、女はKGBエスパー研究所に所属する「エフゲーニャ・アンドレーエヴァ(通称アンナ)」と判明。CIAは自らの過失を認めゴルゴに償いを申し出る。この交渉術は実に見事。ビジネスシーンに応用したいものだ。

一方のKGBはアンナがゴルゴの狙撃を回避したことに喝采をあげる。アンドロポフKGB議長とスミルスキーの会話が興味深い。
「奴には、この1年に限ってもバチカン、ポーランド、ワシントンと煮え湯をのまされてきましたからな・・・しかし、これで我々は不敗を誇る”ゴルゴ13の伝説”を汚した事になる!はーっ、はははは」
ちなみに、「バチカン」は第53巻-3『ズドロナス・マリヨ』、「ポーランド」は第50巻-3『スリーパー・エージェント』、「ワシントン」は 第55巻-3『里通外国』の事件を指す。

ゴルゴはエスパー対策を立てるため、ヨガ教室と心理学研究所を訪れる。ヨガ教室では、「パンフには・・・”心身に悩みのある人、すべて歓迎。だれでも瞑想が得られます”と、あった・・・が・・・?」と誇大広告を皮肉っているのが面白い。ヨガ・マスターと研究者のゴルゴ評は、ゴルゴの性格・能力を知る意味で非常に重要だ。
<ヨガ・マスターのコメント>
・ここにはいろいろな人が来る。過去を悔いる犯罪者も、な!
・しかし、いまなおその身に殺気を持った現役組が来るのはめずらしい・・・
・いままで何人の人間を殺めた事か・・・しかし、それが心に一点の影もおとしていない・・・
・おまえは特殊な職業上の必要からか・・・ここ(第六段階)まではマスターしている
・おまえに教えることは何もない・・・
・恐ろしい男じゃ・・・マントラマントラ・・・
<心理学者のコメント>
・深い眠りからすぐに運動状態に入れるのか!!
・最低の意識水準から最高への水準へと飛び上がった!!
・な、なんという精神の持ち主だ!!

ゴルゴは深い睡眠により殺気を消し、脳を一気に活性状態に持っていく術を身に付つけることで、アンナの超能力を回避、ゴドノフを仕留める。
アンナが図らずも言った「彼には”禅”の心得があるに違いありません・・・でなければ・・・彼自身エスパー」というのが、ゴルゴの本質を表しているのだろう。ゴルゴの狙撃失敗が描かれている非常にレアな作品であると同時に、ゴルゴの内面を深く探っているという意味で重要な作品だ。

ズキューン

ゴルゴ13 (58) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第58巻-2クレムリン名簿

2007-03-30 00:34:23 | 第056巻~第060巻

■クレムリン名簿(第202話) 発表1983年1月

評価    ★★★

依頼人  アンドロポフKGB議長

ターゲット 党第一書記ニコラス・グリアシビリ

報酬    不明

今回弾丸発射数    3/ 通算弾丸発射数 1,231

今回殺害人数      1/ 通算殺害人数   1,340

今回まぐわい回数  0/  通算まぐわい回数    78

<ストーリー>
ソ連の激烈な権力闘争!ブレジネフがチェルネンコがアンドロポフが実名で登場。ゴルゴのターゲットは・・・

<この一言>
科白なし

<解説>
ブレジネフ書記長の後継争いが激化するモスクワでは、KGB議長アンドロポフが後継者としての基盤を固めていた。対抗する党第一書記グリアシビリは後ろ盾になっていたスースロフの死去により追い詰められる。形勢逆転を狙いアンドロポフ暗殺を企てゴルゴに接触を試みるが、不発に終わる。ゴルゴがソ連に入国しているとの情報を掴んだグリアシビリは、アンドロポフがブレジネフ暗殺を計画していると考え、ブレジネフの警護を申し出て自身の評価を高めようとする。しかし、ゴルゴが狙っていたのはブレジネフではなく、グリアシビリであった。ゴルゴが水中から放った弾丸によりグリアシビリはこの世を去り、アンドロポフが権力の座に近づいていく。

クレムリンの権力闘争をリアルに描いた作品。アンドロポフが書記長に就任したのは1982年11月のことであり、本作は書記長就任直後に発表された。

ズキューン

ゴルゴ13 (58) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第58巻-1 110度の狙点

2007-03-29 23:38:04 | 第056巻~第060巻

■110度の狙点(第201話) 発表1983年2月

評価    ★★★

依頼人  サウジアラビア国王顧問アブドル・ザルマン

ターゲット ザルマンの姪ミーシャ妃殺害犯

報酬    不明

今回弾丸発射数    5/ 通算弾丸発射数 1,228

今回殺害人数     10/ 通算殺害人数   1,339

今回まぐわい回数  0/  通算まぐわい回数    78

<ストーリー>
サウジ国王顧問ザルマンの姪がニューヨークで暴行の末、殺された。ザルマンはゴルゴに犯人の殺害を依頼。しかし、ナジャー皇太子が犯人であるとの連絡を受けたザルマンは、口封じのためにゴルゴ殺害を決意する・・・

<この一言>
無益なことを・・・コトはひと言の中止指令で収まるものを・・・

<もう一言>
正規のコネクトルートを通さず・・・こちらの居場所をつきとめた方法を・・・教えてもらおう・・・

<解説>
ニューヨークで暴行された女性の全裸死体が発見された。身元はサウジアラビアの「ミーシャ」姫。ミーシャの叔父でサウジ国王顧問「アブドル・ザルマン」は、報復のためゴルゴに犯人の殺害を依頼する。しかし、ミーシャ殺害の犯人はザルマンの息子「ナジャー」皇太子であることをアメリカより伝えられると、ザルマンは口封じのためにゴルゴの殺害を決意。千年の歴史をもつハリュージュ派暗殺団をゴルゴに差し向ける。刺客を次々と葬り去るゴルゴにおののくザルマン。果たしてゴルゴは依頼通り、ミーシャ殺害犯のナジャー皇太子をを跳弾射撃により殺害。息子を殺されたザルマンもゴルゴの銃弾の前に倒れる。

すべてはモサドとアメリカの仕込んだ罠だったのだが、ゴルゴの言うようになぜザルマンは殺害中止を伝えなかったのだろう?ゴルゴのモノローグが多いという意味で稀有な作品。

ズキューン

ゴルゴ13 (58) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第57巻-2ラスト・ループ

2007-03-26 00:02:04 | 第056巻~第060巻

■ラスト・ループ(第200話) 発表1982年12月

評価    ★★★★

依頼人  マッジ・メラニー

ターゲット アンディ・パーカー

報酬    不明(政府弔慰金の一部

今回弾丸発射数    1/ 通算弾丸発射数 1,223

今回殺害人数      1/ 通算殺害人数   1,329

今回まぐわい回数  0/  通算まぐわい回数    78

<ストーリー>
アメリカ空軍のアクロバティック飛行隊の事故は、元空軍パイロットの陰謀か?息子を事故で失った「ミセス・メラニー」はゴルゴに調査を依頼する・・・

<この一言>
有罪(ギルティ)!

<解説>
ミセス・メラニーは、息子がアメリカ空軍アクロバティック飛行隊に所属しているため、無事を祈る日々であった。
麻薬の常用により空軍を除隊となったパーカーは、空軍復帰を願い出るが、アクロバティック飛行隊隊長に断られる。パーカーは、腹いせに格納庫に忍び込み飛行機の計器に細工をする。計器が正しい数値を示さなかった為、翌日の訓練飛行で飛行隊4機が墜落、メラニーは夫に続き息子も航空機事故で亡くしてしまう。事故原因に疑問を持ったメラニーは、ゴルゴにパーカーの調査を依頼、パーカーが計器に細工をしたことが確認できた場合、パーカーを殺害してほしいと頼み込む。

『事故調査委員会がパーカーを証人喚問する』とゴルゴが仕込んだ芝居に乗せられたパーカーは逃亡を企てる。パーカーの逃亡を見て、計器に細工を施したのがパーカーであるとの確信を得たゴルゴは、
「有罪(ギルティ)!」
とつぶやき、パーカーを殺害する。

短編ではあるが、ゴルゴの「ギルティ」の一言が大いなる意味をもつ作品。ゴルゴの下す有罪判決の前には、何人たりとも再審や執行猶予はあり得ない・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (57) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第57巻-1河豚の季節

2007-03-25 14:17:00 | 第056巻~第060巻

■河豚の季節(第199話) 発表1982年8月

評価    ★★★★★

依頼人  リビア国家元首カダフィ大佐

ターゲット 武器商人モシュ・ハルツ・マインベルグ

報酬    $400,000

今回弾丸発射数    1/ 通算弾丸発射数 1,222

今回殺害人数      1/ 通算殺害人数   1,328

今回まぐわい回数  0/  通算まぐわい回数    78

<ストーリー>
第二次世界大戦中、満州にユダヤ人定住計画があった!?日本人とユダヤ人混血の「東郷英治」はゴルゴ13なのか?ゴルゴ出生の謎に迫るルーツもの第6弾!

<この一言>
紛争あるところに兵器あり・・・武器に国境はないからな!・・・

<解説>
『日本人・東研作』(第14巻-1)『芹沢家殺人事件』(第27巻-1)『おろしや間諜伝説』(第36巻-1)『蒼狼漂う果て』(第41巻-1)『毛沢東の遺言』(第51巻-1) に続く、ゴルゴ出生の謎に迫る「ルーツもの」第6弾。

新聞記者「村本」は、日本で暗躍するユダヤ人武器商人「マインベルグ」と日本人政治家の関係を追う。満州にユダヤ人入植計画があったことを知った村本は、当時を知る元海軍将校と面談、アメリカ公文書を調べるが、次々と証人・証拠が隠滅されていく。村本はマインベルグに面談を申し入れ、満州・上海でのユダヤ人と旧日本海軍将校らの関係を聞き出すことに成功する。
その過程で、マインベルグの妹「ナタリア」と旧日本海軍少尉「東郷明」の結婚、ナタリアと東郷明の子供「東郷英治」の存在が明らかになる。東郷英治は第三次中東戦争で行方不明となっていた。

一方、リビアの砂漠でゴルゴは「カダフィ大佐」から武器商人「マインベルグ」の殺害依頼を受ける。カダフィにとって、マインベルグはアラブの敵イスラエルの武器調達人であると同時に、武器売買の商売敵でもあるため、ゴルゴへの殺害依頼となったのである。

モサドの情報によりゴルゴが自分を狙っていると知ったマインベルグは、ゴルゴの写真を見てゴルゴは甥の東郷英治であると確信する。モサドの情報によるとゴルゴは「日露混血とも、日ユ混血とも」言われており、「1960年代の末から1970年代にかけて」その名を知られるようになったという。
マインベルグはゴルゴを上海に呼び出し、自分はゴルゴの伯父であることを伝える。
「精悍な体は東郷(英治)そのものだ!!そのアゴの線はナタリアの顔だち・・・違うのは目だけ、・・・おまえの両親は、そんな冷たい目はしていなかった・・・」
いっしょに暮らそうというマインベルグの言葉を受け流し、ゴルゴは引き金を引く。マインベルグの最期の言葉は
「え、英治・・・なのか・・・?」・・・

[東郷英治プロフィール]
1941年  父「東郷明」海軍少尉、母ユダヤ人「ナタリア・エズラ・マインベルグ」の間に出生
1943年  英治の面前で、父・明が日本海軍軍人に殺され、母・ナタリアが犯される
1944年  英治の面前で母・ナタリアがアメリカ軍爆撃により死亡
1945年  イスラエルへ。
       パルマハ(打撃部隊)指揮官J・B・ハガナー将軍に気に入られ銃器と格闘技に
      異常な才能を示す
1967年  第三次中東戦争で行方不明に

※東郷英治=通算弾丸発射数0/通算殺害数0/通算まぐわい回数0

ゴルゴは東郷英治なのだろうか?
当ゴルゴ13総合研究所では、ゴルゴ=東郷英治説の可能性は低いと考える。その根拠は、 『60日間の空白への再会』(第27巻-2) に、確認できるゴルゴの最も古い活動は1965年であるとの記述があるからだ。東郷英治は1967年の第三次中東戦争で行方不明になっているが、1965年当時もイスラエル軍に所属していたと考えるのが妥当であろう。

しかし、ルーツものに満州・上海のユダヤ人入植計画という歴史題材、日本の兵器産業や憲法改正問題を盛り込んだ本作は非常に読み応えのある内容になっており、作品価値は高い。

ズキューン

ゴルゴ13 (57) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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