ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第111巻-3黒い通信

2007-12-20 23:50:01 | 第111巻~第115巻

■黒い通信(第372話) 発表1995年2月

評価   ★★

依頼人  ①マフィア ②フランク・マードック刑事の息子

ターゲット ②マフィアの金庫番アルシオーネ ②ケリー署長

報酬    ①不明 ②マードック刑事の息子の命

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 2,048

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,208

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   102

<ストーリー>
ゴルゴを脅迫する黒い手紙。脅迫者の意図は・・・?

<この一言>
これ以上、俺に関わるのは・・・よせ!

<解説>
ゴルゴを付け狙う”黒い手紙”。ゴルゴを監視し、ゴルゴを操ろうとする者の真意は何か。ゴルゴは長年のつきあいのある女性アシスタントを呼び寄せ、黒い手紙の差出人を探る。

ゴルゴの関与した事件の記録を管理しているアシスタントが探り当てたのは、マフィアの金庫番アルシオーネが殺害された案件。アルシオーネは自首する前に教会で祈りを捧げていたが、教会の外からステンドグラス越しに狙撃されてしまう。警護にあたっていたケリー主任は、容疑者アルシオーネが狙撃された責任を部下のマードックに押しつけ、署長にまで登りつめたが、一方のマードックは不遇のまま死を迎えていた。マードックには一人息子がいたが、ゴルゴは息子が黒い手紙の差出人と直感する。

黒い手紙を道端に残してマードックの息子を公園におびき寄せるゴルゴ。ゴルゴは「これ以上、俺に関わるのはよせ!」と銃口を向けながら最後通告を行う。秘密をバラされたくなければ言うことを聞けと丸腰で迫るマードックの息子に、ゴルゴは躊躇なく引き金を引く。後日、ゴルゴの元にはマードックの息子からビデオレターが届く。マードックの息子は父親がケリーにはめられた恨みを晴らすべく、アルシオーネ狙撃事件と同様に教会の外からステンドグラス越しにケリーをかすめる狙撃を依頼する。少年は自らの命を報酬に、父親の無念を晴らしたのである。

丸腰の少年の眉間を射抜くという衝撃の問題作。自らの前に立ちはだかる者を容赦なく消し去るゴルゴであるが、本作でのゴルゴの行為には賛同しかねる、というのが率直な感想だ。少年の被っていたキャップに弾痕が空いているシーンの痛々しさは筆舌に尽くしがたい。
ゴルゴの情報を蓄積管理し、調査活動をする女性が存在することが判明する異色作でもある。作者の頭の中にあるという最終回は、この女性がゴルゴの過去エピソードを問わず語りしているのではないかと当研究所では推測している。つまりゴルゴ13シリーズは、この女性が記す”千夜一夜サーガ”であるという見立てだ。この女性と当研究所との関わりについては、発言を差し控えておこう・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (111)巻掲載
ゴルゴ13 (147)巻(最新刊)
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ゴルゴ13第111巻-2 36000秒分の1秒

2007-12-15 23:15:18 | 第111巻~第115巻

■36000秒分の1秒(第371話) 発表1994年11月

評価   ★★★★

依頼人  TGVテロ犠牲者の遺族(男性)

ターゲット 伝説的テロリスト”カルロンテ”

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 2,045

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,206

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   102

<ストーリー>
監獄に捕らえられたテロリストを狙撃するチャンスは10時間に1秒。長時間同じ姿勢で標的を狙い続けるためにゴルゴは筋弛緩剤を投与する・・・

<この一言>
長話は無用だ。YESかNO、で答えろ!

<もう一言>
まず・・・自分の体に射ってみろ・・・

<解説>
ゴルゴの受けた依頼は監獄内のテロリストの狙撃。しかし、窓のない独房内のテロリストを狙撃できるのは、入り口の回転ドアと奥のスライドドアが開き、テロリストが接見用の窓口に顔を覗かせる瞬間のみ。10時間に1秒しかない瞬間を狙うためには、スコープを覗きライフルを構えたままの同一姿勢を保つ必要があるが、一方で筋肉と筋の硬直化をもたらし正確な狙撃ができなくなる。

一計を案じたゴルゴは、ドーピングの権威である旧東ドイツのスポーツ医学者「デグナー」を訪ね、可能な限り筋肉の弛緩を促す薬の調合を依頼する。しかし、薬の投与はゴルゴの瞬発力を通常の3分の1まで低減させてしまう作用があった。

デグナーに調合された薬を投与し、ゴルゴは10時間に渡りM16を構え続ける。狙撃線上にテロリストが現れたその刹那、ゴルゴは口に含んだ弾丸発射装置を噛み、M16から弾丸を発射、ミッションを完遂する。ゴルゴの凝った筋肉をマッサージすると近寄ってきたデグナーは、ゴルゴ殺害を企てる。瞬発力を失っていたゴルゴはデグナーに嬲られるが、仕込んで置いた武器により窮地を脱する。

プロフェッショナル・スナイパーの仕事の大半は待つことにあるという。自らの身体機能を犠牲にしてまでも目的遂行を果たすゴルゴのプロ根性がスゴイ。瞬発力が3分の1に減少したゴルゴが追い込まれるラストの緊迫感も素晴らしい。
なお、パチスロ『ゴルゴ13 THE PROFESSIONAL』で本作が取り上げられている。ゴルゴが見事テロリストを仕留めればボーナス確定であるが、パチスロ内のゴルゴは狙撃に失敗することのほうが多い・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (111)巻掲載
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ゴルゴ13第111巻-1偽空座標X

2007-12-13 23:29:06 | 第111巻~第115巻

■偽空座標X(第370話) 発表1995年4月

評価   ★★★

依頼人  CIA

ターゲット 不明

報酬    不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 2,044

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   4,204

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   102

<ストーリー>
米軍次期戦闘機を開発する国防省チームが暴走、ゴルゴのドッグファイトデータを入手し人工知能に応用しようとした。ゴルゴの報復は・・・

<この一言>
それが不可能なら・・・今回の”依頼”の遂行は中止し、この依頼に関与したものすべてを、抹殺する・・・

<解説>
戦闘機に乗せられアメリカ空軍基地に招かれたゴルゴ。しかし、ゴルゴの搭乗した復座式戦闘機が急襲される。神懸かり的なドッグファイトにより難を逃れたゴルゴは、CIAに対し原因の徹底究明を命ずる。

クリントン大統領を頂とした調査委員会は、ゴルゴ急襲の犯人グループを突き止める。国防省内のARPA(米国戦略計画統括局)人工知能開発担当責任者ラズベリー中尉のグループが、次期戦闘機F25に搭載する人工知能プログラム開発のためにゴルゴの戦闘データを収集していたのである。ラズベリー中尉はパックス・アメリカーナの狂信的信奉者であり、”強いアメリカ”を確立せんがための暴走であった。ラズベリー中尉の暴走は、アメリカをゴルゴの脅威に晒すこととなるため、クリントン大統領はF25の人工知能プログラム開発凍結を指示する。

しかし、ラズベリー中尉は人工知能プログラムを完成させ、自らF25に乗り込み模擬戦闘に飛び立つ。瞬く間に3機の仮想敵戦闘機をプログラムによる自動操縦で粉砕したF25であるが、想定外のF15に遭遇する。F25に比して圧倒的に性能の劣るF15を操るのはゴルゴ。F25に背後を取られ追い込まれるゴルゴであるが、山の頂にミサイルを撃ち込み地形を変化させる。人工知能が認識する空間と異なる空間の出現に人工知能が反応できず、ラズベリー中尉の乗るF25はゴルゴの操るF15に撃墜される。

ゴルゴの驚異的な戦闘機操縦術が披露される作品。アメリカの首脳陣を指差し「抹殺する」と凄むゴルゴに戦慄する。これ程までに怒りを顕わにするゴルゴは珍しい。過去作品の本作と関連する事項を列挙しよう。
・「ARPA」は第63巻-2『デバッグ』でも紹介されている。ARPA内のネットワーク「ARPANET」がインターネットの原型といわれている。
・偵察衛星「KH-13」は第105巻-3『神の眼力』で登場。ゴルゴにちなんだ”13”というのが面白い。
ちなみに本作でゴルゴが操るF15には、”013”の機体番号が確認できる。アメリカ空軍に”013”の機体を用意させるとは、ゴルゴの”13”へのこだわりが伺える。

ズキューン

ゴルゴ13 (111)巻掲載
ゴルゴ13 (147)巻(最新刊)
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ゴルゴ13第110巻-3冷血キャサリン

2007-12-11 23:56:40 | 第106巻~第110巻

■冷血キャサリン(第369話) 発表1995年1月

評価   ★★★★

依頼人  ①MI6/IRA”冷血”キャサリン・マッコール ②IRA

ターゲット ①IRAパメラ ②UVF(アルスター義勇軍)幹部マクギネス

報酬    ①不明 ②不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 2,041

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,203

今回まぐわい回数     2/  通算まぐわい回数   102

<ストーリー>
”冷血”キャサリンと呼ばれた美貌のテロリストは、ある事件をきっかけに闘争心を失ってしまった。キャサリンの過去にはゴルゴとの接点が・・・

<この一言>
”冷血”・・・と呼ばれたお前が・・・ずいぶんと感傷的な物言いだな・・・

<解説>
北アイルランドで爆弾テロを繰り返していたIRA。IRA上層部は停戦をアナウンスするも、女性コマンド「パメラ」は徹底抗戦を主張する。パメラの幼なじみでかつては”冷血”と呼ばれたキャサリンは、IRA幹部よりパメラの説得を命じられる。

しかし、パメラはキャサリンと接触していた幹部をキャサリンの目の前で爆殺、キャサリンを挑発する。殺された幹部はキャサリンの父親の親友であり、パメラの暴走に苦悩するキャサリンは意を決し、ゴルゴに接触する。10年前にゴルゴと仕事をしたキャサリンは10年ぶりの邂逅を喜び、ベッドを共にする。10年前に肌を合わせた二人の間には「ジョーイ」という男の子が産まれたが、キャサリンはジョーイを事故で死なせてしまう。以来、”冷血”キャサリンは”臆病”キャサリンとなり、戦闘意欲を失ってしまったのである。

ゴルゴはキャサリンから依頼を受ける前にMI6よりパメラ殺害を引き受けており、カーテン越しにパメラを仕留める。パメラに撃たれて死にゆくキャサリンの脳裏にかすめたのはゴルゴかジョーイか・・・

キャサリンの悲恋が涙を誘う作品。感傷的過ぎるとの批判もあろうが、これ程までに深く男女の機微を描いた作品は第21巻-2『海へ向かうエバ』以来ではなかろうか。
「二度三度と味わえる女は・・・そうざらにはいない」(第5巻-5『飢餓共和国』)と語ったゴルゴだけに、ゴルゴが同一女性と複数回まぐわうことは非常にレアである。本作のキャサリンは6人目の例外ケース。
<ゴルゴと2回以上まぐわった女>
第10巻-4『リオの葬送』マイヤ
第11巻-4『そして死が残った』マリー
第21巻-2『海へ向かうエバ』エバ
第73巻-2『ダイブ to トリポリ』エリザ
第74巻-1『見えない翼』ゾーヤ
⑥第110巻-3『冷血キャサリン』キャサリン

そして、本作で注目すべきはゴルゴとキャサリンの間にできたと思われる男の子「ジョーイ」の存在だ。キャサリン曰く
「トウゴウ・・・あの子は・・・ジョーイはね、あなたと同じ黒い髪それにとび色の瞳を持っていたの・・・あなたと同じ」
ジョーイがゴルゴの子供であれば大事件であるが、ジョーイは爆弾をいじっている間に爆死してしまう。
ゴルゴの落とし子を扱った話には他に第55巻-1『黒い瞳 EBONY EYES』がある。

本作では「800m」の長距離狙撃が描かれているが、これまでの長距離狙撃ランキングを記す。
第42巻-2『海神が目覚める』1,500m
第7巻-1『AT PINHOLE』1,020m
第27巻-2『60日間の空白への再会』1,000m
第48巻-3『ゼロの反撃』1,000m
⑤第110巻-3『冷血キャサリン』800m
第51巻-2『橋は崩れた』800m
第18巻-1『動作・24分の1』700m
第83巻-2『シビリアン・コントロール』600m
第11巻-1『ROOM No.909』500m
第22巻-1『スエズの東』400m

ズキューン

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ゴルゴ13第110巻-2天使と悪魔の”腕”

2007-12-10 23:53:33 | 第106巻~第110巻

■天使と悪魔の”腕”(第368話) 発表1994年10月

評価   ★★★

依頼人  イリノイ州知事候補スタンツ

ターゲット 慈善家 サミエル・ビューリー・ワサン

報酬    不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 2,039

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,201

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   100

<ストーリー>
交通事故に巻き込まれ右腕に重傷を負ったゴルゴ。依頼を遂行できるのか・・・

<この一言>
”利き腕”を人にあずけるほど、俺は”自信家”じゃない・・・だから、握手という習慣も・・・俺にはない。

<もう一言>
いいか、仕事が完了するまでよけいな事はするな。わかったな・・・?

<解説>
イリノイ州知事候補『スタンツ』は、”イリノイ・ナチ”のメンバーとして暗躍した過去を持つ。『慈善家 サミエル・ビューリー・ワサン』はイリノイ・ナチ時代のスタンツの写真を保有しているが、スタンツより写真の返却を求められる。スタンツの政治スタンスに疑問を持つワサンはこれを拒否すると、スタンツはゴルゴにワサンの殺害を依頼する。

しかし、ゴルゴは交通事故に巻き込まれ、右腕に重傷を負う。運び込まれた病院で自らの怪我の深刻さに気付いたゴルゴは、看護婦が噂をする凄腕の医師『ヤン・リー・カッター』の元を訪れる。天使の腕と評されるヤンの治療を受け快復を見せるゴルゴであるが、未だ引き金を引くには十分な感触が戻っていなかった。

スタンツはワサンに対し、写真を返すのならばゴルゴへの依頼を取り消す、と取引を持ちかける。ゴルゴに狙われていること知ったワサンは諦観するが、ワサンに育てられたヤンは自分が治療した男がワサンを狙うスナイパーであることを知り、苦悩する。ゴルゴは左利き用のライフルでワサンを狙撃し、現場にライフルを残して立ち去る。ゴルゴをダシに使ったスタンツに対しては右利き用のライフルで銃弾を打ち込み、ワサンの時と同様に現場にライフルを残して立ち去る。

自分を治療してくれたヤンに対し、義理を果たすべく、わざわざ左利き用のライフルを用いるゴルゴの男気が熱い。ところで銃に右利き用と左利き用があるのだろうか?M16については、特に右利き・左利き用は存在しないと思われる。左利きの人間が撃っても問題ないように薬きょうが横に出るような配慮がなされている、という記述を読んだ記憶がある。それともスコープの設置位置がちがうのだろうか?左手で引き金を引くシーンでゴルゴは左目でスコープを覗いている。謎は深まるばかりであるが、ゴルゴのことだから、左手で引き金を引くためのカスタム銃を特注したのだろう。電話で銃を新規発注しているシーンが描かれている。盟友デイブ・マッカートニーが徹夜で完成させたのかもしれない・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (110)巻掲載
ゴルゴ13 (147)巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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