ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第80巻-1楽園の汚染

2007-06-28 23:57:44 | 第076巻~第080巻

■楽園の汚染(第274話) 発表1987年11月

評価   ★★★

依頼人  国連人権擁護委員会ウィルソン女史

ターゲット 売春シンジケートのボス フランク・ボネ

報酬    不明

今回弾丸発射数     10/ 通算弾丸発射数 1,551

今回殺害人数       14/ 通算殺害人数   3,692

今回まぐわい回数    1/  通算まぐわい回数    91

<ストーリー>
カリブ海の”セント・トーマス島”は売春が産業化、人身売買が横行していた。売春シンジケートのボスの殺害依頼を受けたゴルゴは・・・

<この一言>
ふしぎな所に、警察があるんだな・・・

<解説>
カリブ海”セント・トーマス島”に停泊中の貨物船からコンテナに詰め込まれた60名の少女が発見され、そのうち28名が死亡という事件が発生。セント・トーマス島では売春が産業化しており、大規模な売春・人身売買シンジケートの存在が疑われていた。国連人権擁護委員会は、シンジケートのボス「フランク・ボネ」の抹殺を決断、ゴルゴに依頼を行う。

セント・トーマス島に上陸したゴルゴは、ボネの経営する売春宿を訪れ、ボネの娘「アンジェラ(アンジー)」に近づく。ゴルゴを誘ったアンジェラは、なんとSM愛好家でムチを持参。ゴルゴをムチで叩き、恍惚の表情を浮かべる。一方のゴルゴも顔に汗を流しながら熱の入ったハードなプレイで応酬、アンジェラに「ちくしょう。な、なんて男なのっ。やめたら殺すから!!」とまで言わせている。

プレイ直後にボネの手下に捕らえられるゴルゴであるが、アンジェラのSMプレイに続き、ここでも縛られてムチ打たれる。本作は緊縛とムチ打ちといったサディズムが裏テーマか?
ゴルゴは見張り2名を殺して脱出、さらにはボネの手下8名をなぎ倒した後、ボネの乗る飛行機を爆破し、依頼を完遂する。

ゴルゴがSMプレイに挑む異色作。アンジェラのエキセントリックなキャラが面白い。ゴルゴを誘った直後、下着姿にブーツでムチを持って現れるなど、リアルなSM愛好家であることが伺われる。一連の発言もぶっ飛んだ感覚で貫かれていて笑いを誘う。
「わたしは売り物じゃないけど、わたしがあんたを買ってあげる」
「このひきしまった肉を打つ音!たまらないわ!ふふ・・・」
「ち、ちくしょう!!ペニスを切り落としてやる!!」
さすがのゴルゴも最後のセリフには耐えられまい・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (80) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第79巻-3ペルソナ・ノン・グラータ

2007-06-26 23:39:56 | 第076巻~第080巻

■ペルソナ・ノン・グラータ(第273話) 発表1988年2月

評価   ★★★

依頼人  CIA ?

ターゲット KGB暗殺専門工作員”クリューチ”

報酬    不明

今回弾丸発射数      1/ 通算弾丸発射数 1,541

今回殺害人数        1/ 通算殺害人数   3,678

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
ロンドンでKGB職員が殺された。第一発見者の娼婦”ダイアナ”とゴルゴの関係は・・・

<この一言>
令状を見せてもらおう・・・

<解説>
ロンドンでKGB職員が殺された。第一発見者の娼婦”ダイアナ”を取り調べたロンドン警視庁マクレガー主任は、被害者を隠し撮りした写真にゴルゴが写っているのを発見する。ゴルゴの素性を知ったマクレガーはゴルゴを拘束し、KGB職員殺しの自供を迫るがゴルゴは応じない。娼婦”ダイアナ”をそそのかし、ゴルゴを犯人に仕立てようとするマクレガーであるが、ダイアナはこれを拒否。証拠不十分のまま釈放されたゴルゴをマークするロンドン警視庁を尻目に、第二のKGB職員殺人事件が発生。マクレガーは、ゴルゴの無罪を確認する羽目になる。

一方のゴルゴはロンドン空港で、ダイアナとすれ違う。ダイアナをKGBの殺し屋”クリューチ”と見破っていたゴルゴは「CIAがゴルゴを雇ってクリューチ殺害に乗り出した」との情報を流し、ダイアナをロンドン空港におびき寄せたのであった。ゴルゴは宿泊中のホテルで外部と連絡を取っていることから、”クリューチ”殺害を請け負ったと想定されるが、依頼人がCIAかどうかは未確定である。

娼婦ダイアナがKGB暗殺専門工作員”クリューチ”であるという、意外な展開が面白い。ラストのダイアナとゴルゴの対決は、激しい動的なシーンを敢えてスローモーション風にコマ割りして描かれている。ダイアナの放ったナイフをすんでの所で避けるゴルゴや、ゴルゴの弾丸にのけ反るダイアナは、映画『マトリックス』の描写を先取りしているかのようだ。
東西諜報機関の対決を主題にした作品であるが、冷戦構造の終焉と共産主義崩壊の兆しが窺われ、当時の国際情勢を反映していると言えよう。

なお、MI6のゴルゴ・プロフィールにある「眼・正常無矯正」というのは、言わずもがなの感があるが、具体的に記されたのは本作が初めてである。

ズキューン

ゴルゴ13 (79) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第79巻-2二十年目の毒

2007-06-25 00:36:45 | 第076巻~第080巻

■二十年目の毒(第272話) 発表1987年8月

評価   ★★★

依頼人  ベトナム政府高

ターゲット ウエスト・パーカー(本名ウィリアム・ブーン)/”ソンミ村事件”を撮影したフィルムの焼却

報酬    不明

今回弾丸発射数      2/ 通算弾丸発射数 1,540

今回殺害人数        2/ 通算殺害人数   3,677

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
1965年の海兵隊によるベトナム”ソンミ村”虐殺事件のカギを握る「ウエスト・パーカー」。彼はソンミ村事件のフィルムを何処に隠したのか・・・

<この一言>
あんたの奥さんに・・・花でもあげてくれ・・・

<解説>
ベトナム戦争中の1965年、”ソンミ村”の住民700名が海兵隊に虐殺された。銃器による虐殺とされたが、実際は化学兵器実験のために住民が犠牲になったのであった。この事実を記したマイクロ・フィルムを持ちオーストラリアに逃れた「ウエスト・パーカー」は、アメリカ陸軍情報部に捕らえられる。アメリカは脱走兵としてパーカーの身柄を確保するも、パーカーは肝心のフィルムの所在を明らかにしない。

一方、ソンミ村事件で家族を失ったベトナム政府高官は、忌まわしい事件の記録を抹消するために、パーカーの殺害とマイクロ・フィルムの焼却をゴルゴに依頼する。ゴルゴはパーカーを通常よりも破壊力のある銃弾で狙撃し、頭部を粉々に砕く。パーカーは手術によりマイクロフィルムを頭部に埋め込んでいたのであった。

パーカーの頭部にマイクロフィルムを埋め込む手術をした医者から話を聞いたゴルゴは、謝礼として現金を渡す。老医者がこれを拒むと、「あんたの奥さんに・・・花でもあげてくれ・・・」と渋いセリフで現金を受けとらせるゴルゴがニクい。なんの変哲もないストーリーだが、ラストのこのセリフが物語に”花”を添えている・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (79) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)
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ゴルゴ13第79巻-1スーパー・スターの共演

2007-06-24 10:45:44 | 第076巻~第080巻

■スーパー・スターの共演(第271話) 発表1988年8月

評価   ★★★★

依頼人  コーナン・アソシエイツ テッド・コーナン会長

ターゲット コーナン・アソシエイツ ボブ・スティグナー副社長/レデル・ニコラヴィッチ

報酬    $800,000

今回弾丸発射数      2/ 通算弾丸発射数 1,538

今回殺害人数        2/ 通算殺害人数   3,675

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
「ニューヨークの魔術師」と呼ばれる「コーナン・アソシエイツ会長」。手塩にかけて育てた副社長が自分の命を狙っていると知った会長はゴルゴに接触する・・・

<この一言>
そういう疑問に対する答えを・・・俺は、用意した事はない・・・

<解説>
「コーナン・アソシエイツ」社会長「テッド・コーナン」は、自分が拾い上げて育てた「ボブ・スティグナー」副社長を腹心の部下とし、将来は後継者に据えることを考えていた。しかしながら、スティグナーが自分の暗殺を企てていることを知り、報復を決意する。
コーナンの調査によれば、スティグナーはポーランドのオリンピック金メダル級スナイパー「レデル・ニコラヴィッチ」を雇い入れ、スティグナーがコーナンの座る車椅子を押している際にコーナンを狙撃するという。

コーナンのゴルゴに対する依頼はかなり難易度の高い内容だ。
・ニコラヴィッチがコーナンを狙撃する直前にスティグナーを狙撃する
・その直後にニコラヴィッチを狙撃する

ゴルゴはニコラヴィッチの射撃ビデオを入手し、射撃時のクセを分析する。
①ニコラヴィッチは狙いを定める際、上から下へ銃口を振り下ろす
②その後右肘を小さく回し
③さらに銃口を下げて照準を合わせる

ビデオ解析の専門家に分析させた結果、
②から③までに1.3秒を要し、0度13分銃口を下げている。ニコラヴィッチがコーナンを狙撃する際の射程距離は590mなので、
②の時点でコーナンの頭上2.237m上方に銃口が向いており、
コーナンの頭上53cmにあるスティグナーの眉間を銃口が通過するのは、②の時点から0.99秒後となることが判明。

ゴルゴはニコラヴィッチがコーナンを狙う②からジャスト0.99秒後に、ニコラヴィッチのトリガーを狙撃。ニコラヴィッチの銃から発射された弾丸は、コーナンではなくスティグナーを捉える。人差し指を失ったニコラヴィッチをその直後ゴルゴが仕留めたことは言うまでもない。

射撃のクセを読み取り、0.99秒というコンマ以下のタイミングでニコラヴィッチのトリガーを狙い撃つスーパーテクニックが凄い。ゴルゴシリーズの中でもかなりの精密さが求められている依頼内容だ。一方のニコラヴィッチもキャラが立ったスーパースナイパーで、まさにスーパースターの”競演”となっている。各登場人物の人間ドラマもうまく描きこまれており、読み応えのある作品だ。

数値の検証をしてみたが、整合性がとれている。参考までに根拠を記しておこう。

<0.99秒後に銃口がスティグナーの眉間を通過>
銃口は2.237mを1.30秒かけて移動。
スティグナーの眉間の位置は2.237m-0.53m=1.707m。
1.707mを通過する時間(秒)をxとする

2.237m:1.30秒=1.707m:x秒
x=1.30×1.707÷2.237=0.99(秒)

<590m先の0秒13分上方にずれた距離>
590m先の0秒13分上方にずれた高さをyとする
y=590m×tan(0度13分)
エクセルでyの数値を計算するには「=590*(TAN(13/60*PI()/180))」と入力
y=2.23112319556784 ≒ 2.237

ズキューン

ゴルゴ13 (79) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)
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ゴルゴ13第78巻-4ロシア・クライシス

2007-06-23 18:49:52 | 第076巻~第080巻

■ロシア・クライシス(第270話) 発表1988年1月

評価   ★★★★

依頼人  KGB長官

ターゲット キリール/反乱部隊のモスクワ進入阻止

報酬    不明

今回弾丸発射数      3/ 通算弾丸発射数 1,536

今回殺害人数   2,003/ 通算殺害人数   3,673

今回まぐわい回数    0/  通算まぐわい回数    90

<ストーリー>
KGB工作員「キリール」はアメリカ側に情報を提供していたことが発覚。モスクワ当局はキリールの銃殺刑を免除し、ソ連国内不満組織「10月」への潜入を命ずる・・・

<この一言>
キリールの性格、仕事内容、それと行動パターンを知りたい・・・

<解説>
KGB工作員「キリール」は、アメリカ側にも情報を提供する2重スパイとなっていたが、KGBに捕らえられ、モスクワにて銃殺刑に処せられる。しかし、銃殺刑の執行は免除され、国内不満組織「10月」への潜入を命じられる。

「10月」に潜入したキリールは、メンバーをKGBに告発するも、スパイであることの疑いをかけられる。弁舌巧みに強硬論を展開、ゴルバチョフ書記長暗殺を主張することで疑いを晴らすキリールであるが、暗殺作戦実行時にKGBに捨てゴマにされ、KGBからも「10月」からも追われる身となる。しかし、開き直ったキリールは「10月」のアジトに戻り、クーデター計画をぶちあげることでまたも組織を懐柔、一路アフガニスタンへ向かう。
アフガニスタンに送られたソ連軍は、旧ブレジネフ派が中心で現ゴルバチョフ体制に不満を持つものが多い。ここに着目したキリールはアフガン展開中のソ連軍の将校を扇動、貨物列車に将兵2,000名と戦車を運ばせ、モスクワを目指す。

アフガンから将兵2,000名が消えたとの情報を掴んだものの将兵の所在を把握できずにいたKGBは、ゴルゴに2,000名の軍隊のモスクワ進入阻止を依頼する。モスクワ行きの列車の情報を元に、ゴルゴはキリールらが貨物列車でモスクワ入りすることを突き止め、線路のポイントを切り替え列車ごと湖に沈める荒業により依頼を完遂する。

一話中での殺害人数「2,003人」というのは、ゴルゴ史上最多であろう。殺害方法・殺害人数とも度肝を抜かれる。
ゴルバチョフの登場は、共産主義の崩壊と冷戦の終結をもたらすが、ゴルゴ・シリーズにおいても東西スパイ戦からソ連国内の権力闘争に題材がシフトしているのが感じられる。

ズキューン

ゴルゴ13 (78) 巻掲載
ゴルゴ13 144巻(最新刊)発売
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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