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ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第105巻-3神の眼力

2007-11-06 23:49:06 | 第101巻~第105巻

■神の眼力(第354話) 発表1993年4月

評価   ★★★

依頼人  アメリカ国家写真解析センター ベルマイヤー博士

ターゲット 不明

報酬    不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 1,980

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,112

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    99

<ストーリー>
高解像度カメラを搭載するアメリカの軍事偵察衛星「KH-13」は、『神の眼力』の異名を持つ。KH-13を利用してアメリカ政府とゴルゴを支配しようという「ベルマイヤー博士」は・・・

<この一言>
ところで・・・俺への依頼の”約束事”は知っているな・・・?

<もう一言>
依頼者が、俺を罠にはめたり、裏切ったりした時は・・・

<解説>
アメリカの軍事偵察衛星「KH-13」は、衛星軌道上から地球上の5cm四方の情報を読み取ることのできる高解像度カメラを搭載し、『神の眼力』の異名を持つ。KH-13を操るアメリカ国家写真解析センターの「ベルマイヤー」博士は、衛星写真がもたらすハード・インテリジェンスに、博士ならではの状況分析・心理分析を加えたソフト・インテリジェンスを加味して、アメリカの外交政策に重大な影響を与えていた。

KH-13を利用して政権メンバーを監視し、アメリカ政府をも動かそうと目論むベルマイヤー博士。支配欲が暴走したベルマイヤーは、ゴルゴを衛星で監視し身動きのできない状況に追い込むことで、ゴルゴを自由に操ることを企てる。ゴルゴに接触したベルマイヤーは、KH-13がゴルゴの狙撃を撮影できる日時を指定して殺害依頼を行う。

殺害を指定した日が荒天となりKH-13からの撮影ができないため、スナイプの日時を変更するベルマイヤー。しかし、再設定した当日にKH-13が送ってきたのは、狙撃の瞬間ではなく、ゴルゴが天空を睨む画像であった。ベルマイヤーの依頼内容に不審を抱いたゴルゴは、衛星の軌道周期計算によりベルマイヤーの陰謀を暴いたのである。ベルマイヤーはゴルゴに両眼を射抜かれて最期を迎える。

偵察衛星を使ってゴルゴを支配しようというベルマイヤーの偏執狂的誇大妄想が面白い。画像に写っていない情報を読み込むベルマイヤーであるが、ゴルゴの洞察力までは読めなかったようだ。本作にはクリントン大統領が登場しているが、KH-13はクリントンとモニカ・セレンスキーのセックス・スキャンダルも捉えていたのかもしれない・・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (105)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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ゴルゴ13第105巻-2北緯九十度のハッティ

2007-11-05 23:53:14 | 第101巻~第105巻

■北緯九十度のハッティ(第353話) 発表1993年11月

評価   ★★★★

依頼人  インド北部の豪族の娘でインド核開発統括者

ターゲット ソ連原子力潜水艦ポリニア号(ハッティ)内での対テロ対応

報酬    不明

今回弾丸発射数       0/ 通算弾丸発射数 1,977

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   4,110

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    99

<ストーリー>
ロシアからインドに売却される老朽原子力潜水艦”ハッティ”。しかし、原潜のインド売却を快く思わない中国は、原潜内でのテロを計画する・・・

<この一言>
俺は、原潜には、なんの興味もない・・・俺が引き受けるとすれば・・・”対テロ”としての”仕事”だ。 

<解説>
ロシア共和国海軍の原子力潜水艦”ポリニア”は、北極海への航海後、”ハッティ”という艦名でインドへの売却が決まっていた。しかし、原潜を安価に入手したい中国もポリニアに触手を伸ばす。インドへの売却は覆らなかったが、インドの軍備強化を妨害するため中国は原潜事故を装ったテロを計画する。

テロ計画を掴んだインド核開発統括者は、ゴルゴに原潜内での警護を依頼、ゴルゴは警護ではなく”対テロ”活動としてこの依頼を応諾する。

インド海軍武官として原潜に乗り込んだゴルゴは、北極観測隊に扮して原潜に乗り込んできた女性工作員と対決する。原潜内で次々と破壊工作をおこなう工作員を、次第に追い詰めるゴルゴ。他の乗組員と隔離された原子炉近くで工作員の原潜破壊活動を阻止し、任務を完遂する。

原潜という密室で次々と繰り広げられる殺戮と破壊工作が極限の緊迫感をもたらす、サスペンスタッチの作品。原子力による環境汚染、中国・インドの軍拡競争、旧ソビエトの軍事資産売却など、時事性の高い内容もストーリーにリアリティをもたらしている。残念なのは、原潜が氷床に激突した際、ゴルゴが拳銃を落としてしまうシーン。ゴルゴらしからぬ失態に、ゴルゴ自身も臍を噛む思いであろう。直後の女を見下ろす表情には微かに憐憫の相が浮かんでいるが、一歩間違えば自身が亡骸になっていたことを思っての表情に違いない・・・

ズキューン

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ゴルゴ13第105巻-1バスク・空白の依頼

2007-11-04 23:55:58 | 第101巻~第105巻

■バスク・空白の依頼(第352話) 発表1993年10月

評価   ★★★★

依頼人  神父

ターゲット ETAリーダー ヴァーノン神父

報酬    不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 1,977

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,109

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    98

<ストーリー>
依頼遂行前に記憶を失ったゴルゴ。ミッションも、自分の名前さえも忘れてしまったゴルゴは・・・

<この一言>
思い出せない・・・俺の体が、本能が”時間がない急げ”と告げる・・・どこで、何をやれと・・・?

<解説>
スペイン・バスク州のホテルに入ったゴルゴ。しかし、ゴルゴを待ち受けていた右派テロ組織「ETA 」がホテルごと爆破する。九死に一生を得、重傷を負いながら現場から逃げ延びたゴルゴは通りがかりの女に助けられたものの、記憶を失い自身の名前すら忘れてしまっていた。

自分が何者かも分からない状態にありながらも「俺の体が、本能が”時間がない急げ”と告げる・・・どこで、何をやれと・・・?」とつぶやき、ミッションを課されていることを本能的に悟るゴルゴ。女の協力を得ながら、断片的な記憶を頼りに自らの使命を想起する。やがて、洞窟にたどり着いたゴルゴは、ここが狙撃ポイントであることを確信し、銃弾の飛び交う中に身を置くことで記憶を取り戻す。

ゴルゴのターゲットは、国王を爆破テロにて葬り去ろうというETAのリーダー「ヴァーノン神父」であり、爆破スイッチを押す寸前にゴルゴの銃弾がヴァーノン神父を捉える。女はゴルゴがプロの狙撃手であることを知り、ゴルゴに殺されることを覚悟するが、ETAの放った弾丸が女を直撃。ゴルゴは亡骸となった女の手を胸の上で組ませて現場を立ち去る。

ゴルゴがビル爆破の直撃を受け、瀕死の重傷を負い記憶を失うという逼迫した展開がスリリングだ。記憶を失いながらもミッション遂行のために、自らを駆り立てる原動力はどこから来るのであろうか。銃を手にして無意識に調整し、銃と弾丸を本能に従い携行する。銃弾の雨の中に身を晒すことで記憶を取り戻す。ゴルゴの闘争本能と生存本能に驚かされずにはいられない。一方、自らを助けた女への恩を忘れないゴルゴの情も、深い感動を呼び起こす。本作は、男女の機微を描いた上質な作品として第21巻-2『海へ向かうエバ』と双璧をなす作品と言ってよかろう。ゴルゴが死者の手を胸の上で組ませるのは、第10巻-6『ラ・カルナバル』に続き2度目である。ゴルゴは自分のために命を捧げた者に対しては手篤く葬るのだ。

ズキューン

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ゴルゴ13第104巻-3呉越同舟

2007-11-03 23:52:23 | 第101巻~第105巻

■呉越同舟(第351話) 発表1993年11月

評価   ★★★

依頼人  中国政府:周、台湾政府:東

ターゲット 台湾の守旧派「許大秀」

報酬    不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,974

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   4,107

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
中国政府と台湾政府が歩み寄る中、台湾の守旧派の存在を疎ましく思った両国政府は守旧派の殺害を依頼する・・・

<この一言>
それから先は俺の仕事だ。心配してもらう必要はない!質問に答えろ。

<解説>
香港の返還を1997年に控え、中国・台湾は歩み寄り中華民族大団結が現実味を帯びてきた。しかし、台湾の守旧派「許大秀」は、中国との融和に拒否反応を示しアメリカに対しロビー活動を展開していた。中国・台湾両政府は日本に住む許の殺害をゴルゴに依頼する。

許は江東区の高層マンション最上階に住んでいるが、マンション周辺には狙撃ポイントがなく、走行中の総武線から狙うしかない。ゴルゴは『成田空港から東京に向かう電車の、全車両の写真』『総武線の時刻表』を依頼人に要求し、狙撃計画を練る。

中国国際航空機で成田入りしたゴルゴは、映画撮影を装って総武線快速グリーン車に乗り込む。グリーン車は2階建て車輌で、2階の窓ガラスが上空に向かって切れ上がっていた。ゴルゴは許の住む高層マンションの下を快速が通過する瞬間にグリーン車2階から許を狙撃。同時刻に走る成田エクスプレスにダミーの撮影クルーを配していたため、警察は成田エキスプレスの終点東京駅へ集結するが、快速を錦糸町で降りたゴルゴは羽田空港へ向かい、台湾の中華航空にて日本を脱出する。

西村京太郎ばりの鉄道ミステリー的展開を見せる異色作。
・1991年開通の成田エキスプレスを題材にしている
・成田エキスプレスの成田空港駅発が15時”13分”、東京駅着が16時”13分”とディテールにこだわっている
 (07年11月3日時点では、15時13分発の列車は、東京駅16時16分着となっている)
・成田エキスプレスと総武線快速列車の通過待ち、停車駅の違いが鍵になっている
・快速列車の2階建てグリーン車の特徴を活かしている
などなど、てっちゃん(鉄道マニア)も唸らせることのできる、密度の濃い作品だ。

ズキューン

ゴルゴ13 (104)巻掲載
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ゴルゴ13第104巻-2黒い星

2007-11-02 23:45:52 | 第101巻~第105巻

■黒い星(第350話) 発表1993年2月

評価   ★★★★

依頼人  ”竹連幇”の張金栄

ターゲット ”客家幇”の雇った「中国特殊兵」

報酬    $1,000,000

今回弾丸発射数      13/ 通算弾丸発射数 1,972

今回殺害人数        10/ 通算殺害人数   4,106

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
台北で華僑を束ねる”竹連幇”の張金栄。大家姐(大あねご)と呼ばれる張金栄はトカレフの密輸も牛耳っていたが、何者かが密輸ルートを破壊しようと・・・

<この一言>
俺は一人で動く・・・この約束が守れないのなら俺は降りる・・・

<もう一言>
スコップを武器にするのは、スペツナズでも訓練したはずだ・・・

<解説>
台北の華僑組織”竹連幇”は、華僑社会に厳然たる影響を及ぼし、表社会からウラ社会までを牛耳っていた。しかし、何者かが竹連幇のトカレフ密輸ルートを破壊せんと妨害を繰り返していたため、張の側近はゴルゴに接触する。竹連幇を束ねる「張金栄」は大家姐(大あねご)と呼ばれ畏怖されていた。妨害工作を行っている者が竹連幇の身内であることを察した張は、ゴルゴへの依頼を断り、竹連幇で問題を解決しようとする。張はゴルゴに台北滞在を強引に勧め、「ゆっくりとお話を交わしてみたい」と色目を使い、ゴルゴのスケジュールを押さえてしまう。

竹連幇の放った殺し屋が全滅させられたとの知らせを受けた張は、中国共産党中枢に食い込んでいる”客家幇”が竹連幇の弱体化を企てていると断定。ゴルゴは、客家幇の狙いは張金栄であり、中国の特殊部隊「特殊兵」を繰り出していることを指摘する。張は、ゴルゴに客家幇に雇われた特殊兵の全滅を依頼する。

ゴルゴは特殊兵のアジトへ単身突入、スペツナズの訓練を受けたと言われる特殊兵を次々になぎ倒し、リーダー格の男と対峙する。男は武器庫にゴルゴを誘い込み、銃ではなく得意とするナイフによる決闘を申し入れる。ゴルゴはこれを応諾、M16を手放してナイフを手に対峙。ゴルゴは右手を斬りつけられるや、スコップを武器にして男の頸動脈を切断、決闘にケリを着ける。

ゴルゴと中国特殊兵との闘いが見事である。ナイフによる白兵戦を申し込まれたゴルゴはこれを応諾するが、形勢不利となるやスコップを武器にするシーンが最高だ。『ナイフ戦のはずがスコップを使ったら反則だろう』という特殊兵と読者の思いを粉砕するセリフが凄い。
「スコップを武器にするのは、スペツナズでも訓練したはずだ・・・」
ある意味、開き直りとも逆ギレとも思える理論展開はゴルゴならではだ。手段を選ばないマキャベリズムと言うべきか・・・
また、大家姐と呼ばれる張金栄もいい味を出している。年齢不詳(60才位?)の張がゴルゴを強引に誘っているのが面白い。ゴルゴファンとしては、『まさかゴルゴが張とまぐわうのか?』という怖いもの見たさの期待を抱くのだが、残念ながら実現しない。張としては心残りのようだが・・・。礼儀にうるさい張がゴルゴのテーブルマナーを「優雅な手つきです事」と褒めているのも見逃せない。

ズキューン

ゴルゴ13 (104)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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