ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第140巻-3静かなる草原

2009-07-19 12:04:37 | 第136巻~第140巻

ゴルゴ13 140 (SPコミックス)
■静かなる草原(第464話) 発表2001年4月

評価   ★★★★★

依頼人 ―

ターゲット ―

報酬 ― 

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 2,533

今回殺害人数       5/ 通算殺害人数   4,854

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
アメリカ・ウィスコンシン州マディソン郡て秘密トレーニングに励むゴルゴ。しかし、傭兵部隊がゴルゴを襲う。現場に居合わせたジャーナリスト「マンディ・ワシントン」は・・・

<この一言>
・・・

<解説>
ゴルゴの過去に興味を持ち、出生の秘密に肉薄したジャーナリスト『マンディ・ワシントン』は、引退を決意しマディソン郡に居を構えた。ワシントンはある日、野生動物の生態を研究しているという男と出会う。男が夜間の動物の生態を撮影するために録画したテープを見せてもらうと、そこにはトレーニング中のゴルゴが写っていた。ワシントンが居を構えるすぐ近くにゴルゴの秘密別荘があるらしい。あまりの因縁におののくワシントン・・・。

近くの牧場でワシントンは少年『カイン』と出会う。カインは、けがをした老馬を無二の親友として手厚くケアをしていた。そのカインの父親が経営するガソリンスタンドにゴルゴがやってきた。予期せぬゴルゴとの遭遇に思わず身を潜めるワシントン。その刹那、5人の武装兵士がゴルゴに向かって銃を乱射する。カインの愛馬を奪って森へ逃走するゴルゴを、武装兵士はバイクで追いかける。後にカイン、ワシントン、警官が見たのは、武装兵士とカインの愛馬の死体であった。

カインの愛馬は眉間を射抜かれ、肉の一部がはぎ取られていた。あまりのむごたらしさにカインは”あの男を許さない”と絶叫する。直後、牧場主の口座に200万ドルの振込があり、カインにはハンター種の名馬が送られてきた。ワシントンは、ゴルゴが迷惑料として200万ドルを振り込み、名馬を送ったのだと確信する。

ゴルゴの義理堅さと殺生に対する哲学が見事に表現された短編。ページ数は少ないものの、読後には深い感動に包まれる。語り部として『マンディ・ワシントン』を起用しているのも絶妙。暗闇でトレーニング中のゴルゴが、卵を踏まないように避けたが、これを見たワシントンは、ゴルゴの殺生に対する哲学を洞察している。曰く、
『修羅場に身を置いたONの瞬間には一切の感情を捨て去る反面、OFFの時にはあらゆる生命の去就に関わらないというルールが無意識裡にある』
ワシントンは、
第14巻-1『日本人・東研作』
第21巻-1『統計解析射撃』
第43巻-1『ミステリーの女王』
第51巻-1『毛沢東の遺言』
に登場、本作で5回目の登場だ。静かな余生を送れるといいのだが・・・。

ゴルゴ13(140) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第140巻-2 1億人の蠢き

2009-07-11 23:53:06 | 第136巻~第140巻

ゴルゴ13 140 (SPコミックス)
■1億人の蠢き(第463話) 発表2001年1月

評価   ★★★

依頼人 ①人民解放軍 龍東民 副総参謀長 ②康国良 国家主席

ターゲット ①新興宗教『金鵬来』の始祖 柴洪史 ②龍東民

報酬 ①不明 ②不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 2,528

今回殺害人数       2/ 通算殺害人数   4,849

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
インターネットを布教活動に利用した新興宗教『金鵬来』が中国全土を席巻。事態を重視した中国共産党は『金鵬来』撲滅に乗り出す・・・

<この一言>
だが・・・”虎は死しても皮を残す”ぞ・・・

<もう一言>
演出効果は、俺の仕事では、ない・・・

<さらに一言>
それは、あくまで”結果”だろう。俺は、依頼された通りの仕事を終えた・・・

<解説>
中国全土で新興宗教『金鵬来』が大流行、信者の数が一億人を超える事態となった。『金鵬来』の始祖『柴洪史』は、インターネットを用いた布教で瞬く間に信者を獲得、国外の有力華僑をも巻き込み一大勢力となっていた。事態を重く見た『康国良 国家主席』は、『龍東民 人民解放軍副総参謀長』に金鵬来撲滅の全権を委任する。軍の掌握を目指し己の地位向上を目論む龍は強権を発動、信者への弾圧や教団サイト閉鎖を行う。しかし、アメリカに亡命したとされる柴洪史の居場所を突き止めることができない龍は、最後の手段としてゴルゴに接触、教団の最大祠祭である”天目祭”当日に柴洪史の殺害を依頼する。

”天目祭”当日、厳重な警備に守られた柴洪史は防弾ガラスに囲まれた屋外ブースで、パフォーマンスを行う。ゴルゴはブース内に空気を送り込んでいるエアコンに毒ガス弾を撃ち込むことで、柴教祖を屋外に誘い出すことに成功、柴教祖の眉間に弾丸を撃ち込む。その刹那、柴教祖の体内に仕込まれた爆弾が炸裂、教祖は肉片一つ残さず、この世から消え去ったのである。

龍東民の目論見は達せられたかに見えたが、信者達はこの事件を「柴教祖が予告通り天に召され、我々の心に生き続ける」と解釈、より信仰を強める結果となった。龍東民の失態に立腹した国家主席は、ゴルゴに龍東民の殺害を依頼、作戦失敗の責任を死刑にて償わせるのであった・・・

中国共産党を揺るがす新興宗教を題材にした作品。経済自由化を進める中国であるが、統治の根源を揺るがす宗教問題や民族問題に対しては強硬な態度を示すことは、昨今のチベット問題や新疆ウイグル問題でも明らかになっている。インターネットが普及している今日では、本作のような事態も頻発しているのではなかろうか?インターネットを利用した新興宗教を描いた篠田節子の『仮想儀礼』 という小説を最近読んだ。軽い気持ちで”エセ宗教”を始めた男が教祖となり、次第に教団を大きくしていくストーリーなのだが、日本の病理を描ききっている秀作。一読をお勧めする。

仮想儀礼〈上〉 仮想儀礼〈下〉

ゴルゴ13(140) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第140巻-1パンドラの柩

2009-07-06 00:37:31 | 第136巻~第140巻

ゴルゴ13 140 (SPコミックス)
■パンドラの柩(第462話) 発表2000年11月

評価   ★★★★

依頼人 ―

ターゲット ―

報酬 ―

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 2,525

今回殺害人数       2/ 通算殺害人数   4,847

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
ゴルゴのDNAを利用して最強の”人間兵器”を作ろうとするマッド・サイエンティストが暗躍。沖縄サミットに集結した先進国首脳は、ゴルゴ抹殺に合意するが・・・

<この一言>
理由を話す前に、・・・頼みを聞いてくれるか、断るのか・・・まず、それに・・・答えてくれ・・・

<解説>
体細胞からクローン作製に成功した『F・ヘルドマン』は、ゴルゴの細胞を利用して最強の人間兵器を作ることに野望を燃やすマッド・サイエンティスト。軍事評論家でありながら裏世界に武器を売り込む『貴美島 淳』は、ヘルドマンとともにゴルゴのクローン作成を目論む。ゴルゴの宿泊するホテルの部屋からゴルゴの髪の毛を入手したヘルドマンは、ゴルゴのDNAを抽出し、これを別の男に注入。ゴルゴDNAを注入された男は飛躍的な身体能力の進化を遂げる。より完璧なゴルゴ・クローンを作るためには、ゴルゴの死体が必要であると考えたヘルドマンは、貴美島にゴルゴの死体確保を依頼する。

一方、自分の生体サンプルを奪われたことを知ったゴルゴは、遺伝子研究家『マリナ・パットナム』のもとを訪れる。ジャーナリストを装ってパットナムに近づいたゴルゴは、遺伝子工学について教えを請うとともに、ある協力を要請する。

ヘルドマンと貴美島はCIAのコンピューターに侵入、ゴルゴと先進諸国の関わりについて情報を入手する。これら情報を暴露されたくなければゴルゴの遺体を差し出せ、とCIAを脅迫する。CIA高官であるマリナの父は、ゴルゴ殺害を大統領に進言、大統領は沖縄サミットに集結していた各国首脳に対しゴルゴ殺害のコンセンサスを得る。ゴルゴは、ヘルドマンの罠に嵌ったかのように見せるため、わざと狙撃され仮死状態に陥る。しかし、ヘルドマンの助手に迎えられていたマリナは、ゴルゴを蘇生させる。ゴルゴは自らのクローンをなぎ倒し、ヘルドマン、貴美島とともに完全焼却する。ゴルゴ殺害計画を主導したマリナの父にも死罰を与える。マリナの父親は、政府首脳に累が及ばぬよう、全ての責任を引き受けたのである。

ゴルゴの”髪の毛”が奪われ、更にはゴルゴの”死体”が確保されるというショッキングな展開がいい。加えて、ゴルゴの協力者であるマリナの実父と育ての親が、ゴルゴに絡み合うことで命を落とすというドラマも切ない。マリナ自身の救済と自立、再度の喪失というディープな構成なのだ。笑えるのが、ホテルで採取されたゴルゴの”髪の毛”。ゴルゴの髪の毛にしては長く、縮れていて太さも不均一だ。となると、この毛は”髪の毛”ではなく、もしやあそこの・・・。

ゴルゴ13(140) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第139巻-4フィアレス

2009-06-22 00:13:26 | 第136巻~第140巻

■フィアレス(第461話) 発表2001年3月

評価   ★★★★

依頼人 なし

ターゲット 元KGB職員イギーリ・ソルベノ

報酬 なし

今回弾丸発射数        3/ 通算弾丸発射数 2,524

今回殺害人数       3/ 通算殺害人数   4,845

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   112

<ストーリー>
死を恐れず自爆覚悟でゴルゴを襲う刺客たち。陰で糸を引いているのは・・・

<この一言>
死の恐怖・・・恐怖だけが我々を危険から遠ざけてくれる。そうすれば生き残っていく事ができる・・・俺は・・・そうしてきた・・・

<解説>
自爆覚悟でゴルゴを襲う者が続出。自らの体を貫通させてゴルゴの射殺を試みる男、列車の通路で自らの体内に仕掛けた爆弾で爆殺を試みる少年。情報屋を使って刺客の共通項を調べてみると、いずれもが大事故や災害を生き残った者ばかり。ゴルゴは情報屋にインターネットに長けた人材を釣り上げるよう依頼する。

情報屋がネットに流した呼びかけは『事故・救出・誘拐の三題噺』。このキーワードに応じたのは年端もいかない”オタク”少年。恐怖心を失った”フィアレス”がこの三題噺の解であると少年は説く。ゴルゴの面前でFBIのコンピューターに進入した少年は、フィアレスを操っているのが元KGB職員『イギーリ・ソルベノ』であることを突き止める。FBIの記録には『ソルベノは、”あるスナイパー”に職務上の証人を何人も射殺され、そのことに対して異常な憎しみを抱いている』と記されていた。

ゴルゴは決着をつけるべく、ソルベノの隠れ家へと向かう。ゴルゴを迎撃するソルベノは、次々とフィアレスを繰り出すが、ゴルゴはこれを退けソルベノの屋敷にたどり着く。暗闇に乗じゴルゴを陥れようとするソルベノであるが、ゴルゴに心臓を射抜かれ最期を迎える・・・。

自爆テロを企てる”フィアレス”を次々とかわすゴルゴが素晴らしい。その一方で、え?と思わせる描写もあり、楽しませてくれる。ホテルにチェックインしたゴルゴは、ボーイにアタッシュケースを預けている。M16を格納していると思われるケースをボーイに預けるとは、ゴルゴらしくない。それとも、ボーイがフィアレスと見抜いていて、わざと渡したのだろうか?爆発後にアタッシュケースを取りに行かなかったところを見ると、M16も仕込んでいなかったのかもしれない。このホテルは5階建てだが、エレベーターはないのだろう。ゴルゴとボーイがエレベーターに同乗したタイミングで、自爆すればゴルゴを仕留められたのだから。慎重なゴルゴのこと、エレベーターのないホテルを予約したのに違いない。とすると、作品冒頭のエレベーター内での襲撃はどうだろう?銃撃ではなく爆殺を企てていれば、ゴルゴ・シリーズが終わってしまうところだった・・・。駐車場での攻防も興味深い。迎撃を想定していたゴルゴであるが、スロープで前後からトラックに挟まれたゴルゴは驚きに目を見開いている。さらに、車から飛び降りるシーンでは、目と口を最大限に開いているのが確認できる。危険度としては相当高かったのであろう。さらに!ゴルゴは2ちゃんねるユーザーではないかとの疑惑が!!2ちゃんねるでは、偽の書き込みをして他のユーザーを反応させることを”釣り”というが、ゴルゴは『インターネットで釣り上げてほしいものがある』と情報屋に依頼している。ゴルゴの情報アンテナは2ちゃんをも網羅しているのか・・・。

ゴルゴ13 (139) 巻掲載
ゴルゴ13 (152) 巻(最新刊)
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ゴルゴ13第139巻-3 炎の証言

2009-06-20 00:29:56 | 第136巻~第140巻

■炎の証言(第460話) 発表2000年12月

評価   ★★★

依頼人 パトリオット社『ニールセン』社長

ターゲット カルト教団教祖

報酬 不明

今回弾丸発射数        3/ 通算弾丸発射数 2,521

今回殺害人数      82/ 通算殺害人数   4,842

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   112

<ストーリー>
カルト教団の教祖の狙撃を依頼されたゴルゴ。跳弾狙撃を狙ったゴルゴだが、教祖の死因は焼死だった・・・

<この一言>
俺に偽りの依頼をしたという事だ・・・これは、俺のルールに反する・・・

<解説>
カルト教団への立ち入り捜査を巡り、教団内部に立て籠もった信者とFBIが撃ち合いに。FBIは催涙弾を建物内部に打ち込む。武器メーカー『パトリオット社』の社長『ニールセン』から教祖の殺害依頼を受けていたゴルゴは、跳弾狙撃により教祖殺害に挑む。ニールセンの情報を元に、金属製のランプを狙ったゴルゴであるが、ゴルゴの放った弾丸がランプをかすめるや爆発が引き起こり、建物が炎上する。FBIは引火性の催涙弾を使っていたのである。

この事件で夫と娘を失った『イヴリン』は、三流ゴシップ誌のカメラマンとなっていた。そのゴシップ誌の記者『ジャコブ・アルマン』はイヴリンの過去を知り、事件の真相を探る。FBI捜査官に探りを入れると、その捜査官が殺される。事件の裏には、パトリオット社が密かに開発していた生物兵器の隠滅が潜んでいたのである。

極秘で開発してた生物兵器をカルト集団に盗まれたパトリオット社は、証拠隠滅のためFBIに引火性の催涙弾を使わせ、ゴルゴに教祖狙撃の依頼を行うことで、建物に火災を引き起こし、生物兵器の消滅を図ったのであった。証拠隠滅のために偽りの依頼をされたゴルゴは、ニールセンに死罰を与える。

ピューリッツア賞獲得の夢を取り戻しジャーナリズムへ回帰するアルマン、自らの過去を清算すべく真実に迫ろうとするイヴリン、二人の再生の物語が美しい。本作は2000年発表で物語の舞台も2000年と想定されるが、1993年に発生した事件を7年間もゴルゴは追い続けたのだろうか。ニールセンもゴルゴとの会話の中で「ずいぶん前の話」と言っているので、相応の時間が経っていることは確実だ。ゴルゴの執念と情報収集力、恐るべし・・・。

ゴルゴ13 (139) 巻掲載
ゴルゴ13 (152) 巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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