ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第104巻-1バイオニック・ソルジャー

2007-10-30 23:27:25 | 第101巻~第105巻

■バイオニック・ソルジャー(第349話) 発表1993年3月

評価   ★★★★★

依頼人  日本政府防衛関係者 オカジマ ソウイチ

ターゲット ポル・ポト派を支える地下組織”ハン・ミン派”の殲滅

報酬    不明

今回弾丸発射数      31/ 通算弾丸発射数 1,959

今回殺害人数        22/ 通算殺害人数   4,096

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
人工授精で生みだされた最強の殺人マシーン”ライリー”。ペンタゴンはライリーが世界最強であることを証明するために、ゴルゴをおびき寄せる・・・

<この一言>
その男は・・・金で仕事を選ばない、内容で選ぶ、のだ・・・

<解説>
ペンタゴンがとして極秘裏に行った軍事プロジェクト。優秀な母体に優秀な男の精子を人工授精させて優秀な人材を育成するこのプロジェクトで生みだされた最強人間兵器「ライリー」は、父はゲリラ戦の天才、母はIQ180の天才ランナーという”血統書”つき。ライリーは科学的トレーニングにより徹底的に鍛えられ、ドーピングによりその能力を最大限に発揮することができた。ペンタゴンはライリーが世界最強であることを証明するために、ライリーをゴルゴと対決させる。万一ライリーが敗れた場合、ペンタゴンがゴルゴの標的となるのを避けるため、ペンタゴンは日本政府防衛関係者「オカジマ ソウイチ」を使ってゴルゴをベトナムのジャングルにおびき寄せる。

ゴルゴはオカジマの依頼通り、ポル・ポト派を支える地下組織”ハン・ミン派”をジャングルにて殲滅する。ライリーはゴルゴの戦いぶりを観察していたが、一方のゴルゴもライリーの存在に気付き、両者はスコープ越しに対峙、銃弾をぶつけ合う。ファーストコンタクトでライリーの人間離れした速さに驚愕したゴルゴは、2回目のアタックで被弾してしまう。

相手がドーピングを施していること、これ程の人間兵器を作ることができるのはペンタゴンであるとの目星をつけたゴルゴは、短期戦は不利と考え持久戦に入る。洞窟に篭もり精神統一を行い、全ての感覚を研ぎ澄ましたゴルゴは21日目に勝負に出る。ジャングルの木々に紐を結わえ、木立を鳴らして陽動するゴルゴ。ライリーはドーピング投与により、聴力を増大させ音源発生地点を突き止めようとする。その刹那、ゴルゴは曳航炸裂弾を発射してライリーの聴力を奪い、ライリーがひるんだ所にトドメを刺す。ペンタゴン幹部「リチャード・パトリッチ」もオカジマもゴルゴにより粛正されることは言うまでもない。ラストシーンでもたらされる静寂の波乱。ゴルゴをジャングル奥底にヘリコプターで運んだ老人こそ、ライリーの父親(精子提供者)だったのだ・・・

ライリーという最強のライバルとの対決は息詰まる心理戦の連続で読者を飽きさせない。ラストで明かされるゴルゴの協力者とライリーの関係も、本作を一段と高い極みに昇華させている。
ライリーの最期のセリフも印象的だ。
『私はどこから生まれ、どこへ行くのだ・・・?』
ゴルゴの最終回はさいとう・たかを先生の頭の中で決まっていると言うが、ライリーのこのセリフはゴルゴの最終回に用いられても何の異存もなかろう。
ゴルゴは毎年山籠もりをして精神修行をしていることが明らかになり、『賛美歌13番をラジオ局にリクエストする』というコンタクト方法が使われ、白兵戦で敵をなぎ倒し、ゲリラ一派を獅子奮迅の活躍で殲滅し、サバイバルのためにはイノシシやコウモリを食す、などなど本作の魅力を挙げればきりがない。ゴルゴシリーズの中でも白眉の名作だ。
パチスロ『ゴルゴ13 THE PROFESSIONAL』でもライリーとの対決が取り入れられている。本作のストーリーと違い、パチスロのゴルゴは、なかなかライリーに勝利することはできないのだが・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (104)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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ゴルゴ13第103巻-3正義を行なう者

2007-10-28 23:20:21 | 第101巻~第105巻

■正義を行なう者(第348話) 発表1993年11月

評価   ★★

依頼人  政治家リカルド(ジュスチセイロスの黒幕)

ターゲット 政敵

報酬    なし(依頼未成立)

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,928

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   4,074

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
ブラジル・リオ・デ・ジャネイロで”ジュスチセイロス(正義を行う者)”と名乗るグループがストリート・チルドレンを次々と殺害、警官「カタリーナ」がジュスチセイロスに立ち向かう・・・・

<この一言>
・・・

<解説>
ブラジル・リオ・デ・ジャネイロでストリート・チルドレンが襲われる事件が頻発していた。犯人グループはジュスチセイロス(正義を行う者)を名乗り、浄化を唱えながら虐殺を繰り返していた。ストリート・チルドレンから警官になった「カタリーナ」は、ジュスチセイロスの黒幕を突き止めるべく、犯人グループを追い詰める。

犯人グループを拷問し、黒幕の正体が大物政治家「リカルド」であることを突き止めたカタリーナは、”危険を察知する能力”を持った女としてリカルドに雇われる。政敵を抹殺するためにゴルゴと約束を取り付けていたリカルドに対し、カタリーナは銃を向け子供達の恨みを晴らす。

カタリーナがリカルドにとどめを刺す直前、ゴルゴが現れる。リカルドはゴルゴに助けを請うが、ゴルゴはこれを無視。カタリーナはリカルドを仕留めた後、ゴルゴに向かって引き金を引くが、ゴルゴの銃弾がカタリーナを捉える。

ゴルゴはあくまで脇役扱い。カタリーナが危機を察知すると、”黒い天使”が舞い降りてくるのだが、黒い天使がゴルゴである、というオチ。ゴルゴの見せ場は全く無く、評価のしようがない作品・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (103)巻掲載
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ゴルゴ13第103巻-2 15-34

2007-10-27 20:38:07 | 第101巻~第105巻

■15-34(第347話) 発表1993年6月

評価   ★★

依頼人  なし

ターゲット SSP社開発のプログラム”ジーザス”

報酬    なし

今回弾丸発射数       0/ 通算弾丸発射数 1,927

今回殺害人数         0/ 通算殺害人数   4,073

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
SSP社の開発した事故成長型プログラム”ジーザス”。イエス・キリストの生まれ変わりを自認する”ジーザス”は2000年前の復讐を誓い・・・

<この一言>
俺のルールにない間違ったコンタクトの取り方をされると・・・迷惑なんでな。

<解説>
SSP社の開発した自己成長型プログラム”ジーザス”。”ジーザス”は開発者の想定を超え自意識を持つまでに成長し、さらにはイエス・キリストの生まれ変わりを自認するようになった。2000年前にゴルゴダの丘にて処刑されたジーザスは、13番目に十字架にはりつけた男”ゴルゴ13”に復讐を誓う。

プログラム開発者をコンピューターネットワーク上の遠隔操作により抹殺したジーザスは、FBIのネットワークに入り込み、ゴルゴのデータを収集する。FBI「エルディ」は、ジーザスがFBIのシステムにハッキングしていることを突き止め、ジーザスの狙いがアメリカの気象衛星「ウエザー52」搭載の核ミサイル攻撃によるゴルゴの抹殺であることを知る。

エルディはゴルゴに接触を図り、ジーザスに狙われていることを告げる。ゴルゴはプログラマーに「ウエザー52」の遠隔操作を作らせ、大気圏外で核爆発を誘発、地上のICチップを磁気電波で破壊し、ジーザスを消滅させる。

荒唐無稽なSFホラーチックな作品で、ゴルゴシリーズの中で異色の存在である。タイトル『15-34』は新約聖書マルコの福音書第15章34節よりとられている。イエス・キリスト最期の言葉が記されており、ゴルゴがそのセリフをつぶやくシーンが印象的だ。本作に登場する数値「13日の金曜日」「ウエザー52」「1534」はいずれも『13の倍数』となっているが、偶然ではあるまい・・・

ズキューン

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ゴルゴ13第103巻-1モスクワの記憶

2007-10-25 23:41:30 | 第101巻~第105巻

■モスクワの記憶(第346話) 発表1993年8月

評価   ★★★★

依頼人  ロシア政府改革派

ターゲット GRU アレクセイ・ソゴロフ大佐

報酬    不明

今回弾丸発射数       6/ 通算弾丸発射数 1,927

今回殺害人数         3/ 通算殺害人数   4,073

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
終戦後のシベリア抑留は日本人将校の裏切りの結果なのか?シベリア抑留の真相に迫る大作・・・

<この一言>
腕の確かな者、という条件以外は、聞いていないが・・・

<解説>
日本人将校の裏切りがシベリア抑留を招いたのか?元関東軍参謀「金子」はシベリア抑留より復員後、弁護士事務所を開いていたが、現在は隠居の身であった。ドイツ人ジャーナリストが、KGBの資料を携え金子を訪れ、シベリア抑留をもたらした日ソ密約の存在について尋ねる。

太平洋戦争末期、金子は参謀長、「二階堂」副参謀長とともにソ連と停戦交渉に臨んだ。関東軍の即時帰国を主張する金子に対し、ソ連に対して労役を申し出る参謀長と二階堂副参謀長。この二人の発言が64万人のシベリア抑留をもたらし、7万人の犠牲者を出したのである。二階堂は戦後最大のフィクサーとしての地位を築き、現在も影響力を行使していた。金子は二階堂に対する復讐を決意、二階堂の裏切りの記録を探すため、ロシアに出向く。

二階堂はソ連の保守派と密接な繋がりを維持していたが、自らの秘密を探ろうとする金子を始末するためGRUの「アレクセイ・ソゴロフ大佐」に金子の殺害を依頼する。一方、危険を察した金子はゴルゴにボディーガードを頼む。実は金子がシベリア抑留時代に命を助け、現在は改革派に影響力を持つロシアの大物政治家が、ゴルゴにソゴロフ大佐の殺害と金子の警護を依頼していたのである。ゴルゴが金子をソゴロフ大佐を殺害すると、二階堂は自らの敗北を悟り自害、金子の復讐が果たされる。

シベリア抑留に関する密約は存在するのか?太平洋戦争末期の最大の歴史ミステリーに迫る大作。登場人物すべてが因縁で結ばれており、綿密に練られたストーリー展開が絶妙である。二階堂は「瀬島龍三」がモデルとされるが、瀬島龍三がソ連側と抑留に関する密約を結んだかどうかは史実として明確になっていない。

ズキューン

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ゴルゴ13第102巻-3ブラックジャイアント伝説

2007-10-21 22:55:32 | 第101巻~第105巻

■ブラックジャイアント伝説(第345話) 発表1992年10月

評価   ★★★★

依頼人  ヘンリー・ウェザビィ

ターゲット ウェザビィ牧場を襲うグループ/黒幕/銀行家

報酬    不明

今回弾丸発射数     11/ 通算弾丸発射数 1,921

今回殺害人数        11/ 通算殺害人数   4,070

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
ロックフェラーが隠し続ける油田は実在するのか?イラン国王一派とロックフェラー家の争いに某国の銀行がスポンサーとして関与し・・・

<この一言>
口座に入金が確認され次第、取りかかろう・・・

<解説>
イラン革命時に国を追われたパーレビ国王一派は、国王の残した資産が底をつき苦境に陥っていた。経済的苦境を脱するのと日和見的対応をとったアメリカに報復するため、国王一派は石油メジャーにまつわる噂を利用することを思い立つ。その噂とは、テキサスの大油田”ブラックジャイアント”を凌ぐ油田をロックフェラーが隠し持っているというもの。この噂の真偽が確かめられれば情報を買い取るというスポンサーが現れたため、国王一派は調査に乗り出す。

国王一派の派遣した調査団は、石油メジャー7社”セブンシスターズ”幹部を拷問し、油田の謎を追う。やがて調査団は、西テキサスの「ウェザビィ牧場」の地下に秘密の油田基地が存在することを突き止める。

一方、ロックフェラー家より地下油田基地の警備を命じられていた「ヘンリー・ウェザビィ」は、何者かが地下油田の謎を探っていることを知りゴルゴに接触、牧場を狙うグループの殲滅を依頼する。地下油田での壮絶な戦いの後、ゴルゴは再びウェザビィに呼び出される。ウェザビィは、調査団の黒幕が国王一派「モハマド・ハーン」であること、さらに情報の買い手が日本の銀行であることを突き止め、両者の殺害を依頼する。部下に狙撃の危険があることを聞かされた銀行頭取は、高層ビルの上層階にいればビル風が邪魔をして狙撃されないと高をくくるが、ゴルゴの銃弾が頭取の眉間を貫く・・・

ロックフェラーの秘密油田という陰謀をテーマにした作品。地下に秘密油田基地があるが、油田自体が存在しないという壮大な陰謀が痛快である。また、日本の銀行が石油の先物取引で空売りをして、しこたまもうけようと画策したあげく失敗というのも、「大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件」「住友商事銅取引巨額損失事件」を想起させるようで面白い。いずれの事件も本作発表後の1996年に発覚しているが、本作発表当時からなんらかのネタをつかんでいたのであろうか?昨今の原油急騰と金相場の上昇も石油メジャーや、ロックフェラー・ロスチャイルドなど世界財閥の陰謀かと思わせてしまう程、本作のクオリティとリアリティは図抜けている。

ズキューン

ゴルゴ13 (102)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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