ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第56巻-2バンプ・ザ・ガリバー

2007-03-22 23:58:49 | 第056巻~第060巻

■バンプ・ザ・ガリバー(第196話) 発表1982年12月

評価    ★★★

依頼人   元東大ボート部5人衆(交渉:旭製作所 石井泉)

ターゲット  旭製作所 ファーム・ウェア・ボード

報酬    不明

今回弾丸発射数    2/ 通算弾丸発射数 1,220

今回殺害人数      0/ 通算殺害人数   1,326

今回まぐわい回数  0/  通算まぐわい回数    78

<ストーリー>
旭製作所の最新鋭コンピューター・ボードが奪われた。産業スパイが蠢く中、ボードの中心部が狙撃された・・・

<この一言>
俺の人種がどうあれ・・・仕事には関係ないことだ・・・

<もう一言>
では・・・日本人は、どうなるのだ?・・・アジア人同士は?・・・国境や人種を前提としている以上、”おなじ穴の狢”・・・だ。所詮、狭いところで寄り添って生きていく類の”人間だ”!・・・

<解説>
日立産業スパイ事件を題材にした日米半導体戦争を描く社会派作品。
「旭製作所 石井」は産業スパイ容疑でアメリカにて有罪判決を受けた。この件を不当なアメリカの国策的圧力と考えた石井を含む元東大ボート部5人衆は、アメリカに警告を与えることを計画。旭製作所の開発中のウォーム・ウェア・ボードが盗難にあったと見せかけ、KGBと組んでアメリカに高値で買い取らせるが、その取引現場で一発の弾丸がボードの中心部を貫く。アメリカは日本が高性能チップを開発したと考え開発費をつぎ込むものの、全ては「日本を舐めるな!」とアメリカに警告を与えるために石井たちが仕込んだ芝居だった。

ゴルゴの語る日本人論が興味深い。
「では・・・日本人は、どうなるのだ?・・・アジア人同士は?・・・国境や人種を前提としている以上、”おなじ穴の狢”・・・だ。所詮、狭いところで寄り添って生きていく類の”人間だ”!・・・」
このセリフを受けた石井のゴルゴ像の描写も深い。
「この世に生まれ、ヒフの色、国、家族に関係なく、生きていこう、なんてことが・・・とてもあの男のようにはなれん!あの男はどのように育ち、なにを見たのか!?・・・あの男の知っているのは”自由”か、それとも”無”か!」

世の中の変遷は早い。本作は1982年の発表。作品中の「ICM」は言うまでも無くIBMを、「旭製作所」は日立製作所を指すのだろう。日米半導体戦争は、その後パソコン競争へと発展、パソコンはIBMが一世を風靡するが、その後ハイテク産業の主戦場はソフトウェア・ネットワークへと移行する。IBMはパソコン事業を中国レノボに売却、一方の日立もパソコン事業を売却することが先日発表された。本作で描かれている日米双方の企業がパソコン事業を売却しているが、本作が歴史を先読みしているようで面白い。

ズキューン

ゴルゴ13 (56) 巻掲載
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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