ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第95巻-3安全地帯の亡霊

2007-09-15 13:33:18 | 第091巻~第095巻

■安全地帯の亡霊(第323話) 発表1992年3月

評価   ★★★

依頼人  ゲオルグ・ギュンター

ターゲット エリッヒ・ラインハルトの頭蓋骨の犬歯

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,763

今回殺害人数         0/ 通算殺害人数   3,912

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
ベルリン以外で同一地区が統一分割されていたドイツ「メガラロイガ村」。東西分断の壁が取り壊されることになり・・・

<この一言>
俺への依頼に、修飾はいらない・・・必要な事実が伝わればいい・・・

<もう一言>
掘り出してもらいたくない”過去”と、いうわけか・・・

<解説>
ドイツ「メガラロイガ村」は、ベルリン以外で同一地区が東西分割された村として知られているが、東西ドイツ統合によりメガラロイガ村の壁がとりこわされることになった。

ドイツ連邦議員「エリッヒ・ラインハルト」は、メガラロイガの壁が取り壊されることを知ると、自身の過去が暴かれることを恐れ行動を起こす。旧東ドイツの「ゲオルグ・ギュンター」は、国家保安省「コッホ」の命令でベルリンに潜入しエリッヒ・ラインハルトを殺害、以降ラインハルトに成り代わって連邦議員にまで登り詰める。ベルリン潜入直後より、コッホからギュンターへの連絡は途絶えると、ギュンターは東ドイツのイデオロギーを捨て、ラインハルトとしての人生を歩む。真のラインハルトの死体はメガラロイガ村の壁に埋め込まれていたが、ラインハルトには特殊な虫歯の治療痕があり、壁の取り壊しによりラインハルトの死体が見つかれば、ギュンターが偽ラインハルトであることが発覚してしまう。ギュンターはゴルゴにラインハルトの死体の”歯”の狙撃を依頼する。

壁が取り壊され、ラインハルトの頭蓋骨が顕わになると、ギュンダーは虫歯の治療痕を見つけゴルゴに合図を送る。ゴルゴは頭蓋骨の”犬歯”を狙い撃ち、ギュンダーの依頼を遂行する。

ベルリン以外にも東西分断されていた場所があったとは驚きである。”壁”の崩壊が冷戦の終結を象徴しており、ゴルゴへの依頼も冷戦の後始末に移行しつつある。時代のターニングポイントを暗示している作品だ。

ズキューン

ゴルゴ13 (95)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第95巻-2円い村

2007-09-12 23:50:58 | 第091巻~第095巻

■円い村(第322話) 発表1991年12月

評価   ★★

依頼人  不明(ユダヤ人男性)

ターゲット ユダヤ人部隊の英雄”フィリップ・ベロー”

報酬    不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,762

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,912

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
イスラエルのモシャバ・ナハラル。円形の村の中心部に据えられた演台にナチス抵抗運動のヒーロー”フィリップ・ベロー”が立つ。ゴルゴがベローを狙撃するとの情報がもたらされるが・・・

<この一言>
十一月二十日・・・ヒトラーが、ベルリンの地下壕に入った日、か・・・

<解説>
イスラエル「モシャバ・ナハラル」。円形のこの村の中心部には広場があり、広場に達する道は縦横の2本のみ。ヒトラーが地下壕に入った11月20日、ナチス抵抗運動で名を馳せた”フィリップ・ベロー”氏がこの広場で演説を行う。しかし、ベローにはユダヤ人をナチスに売ってアメリカに逃れたという疑惑がつきまとっており、ベローを裏切り者と思う者がゴルゴにベロー殺害を依頼したとの情報が流れる。

警備を固める警察の動きをあざ笑うかのように、ゴルゴは狙撃ポイントと思われる場所に手がかりを残す。ホテルの一室にスコープとライフルを置き去りにし、賃貸アパートにも予約の痕跡を残し弾丸通過点にウォッカの瓶を放置、さらにはビデオに自らの姿を撮影させるなど、露骨に犯意を表明する。

ベローが演台に立つや、銃弾がベローのこめかみを捉える。ゴルゴはホテルの非常階段に設置した銃を狙い撃ち、その銃から発射された弾丸でベローを狙ったのである。

これまで兆弾を利用した狙撃は何度か登場したが、”中継狙撃”は今回がはじめての登場。意外な殺害方法に驚かされる。しかし、これほどまでに遺留品を残し、自らの犯行を誇示するゴルゴの行動には疑問を抱かざるを得ない。刑事が到着する直前まで素手でスコープを扱っており、ホテルに残したスコープとライフルには、ゴルゴの指紋が残っているのではなかろうか?ウォッカを燃焼させて空気抵抗をなくし射程距離を伸ばしたり、中継狙撃を行ったりとギミックに富んだ内容ではあるが、ゴルゴの行動に納得できない作品だ。

ズキューン

ゴルゴ13 (95)巻掲載
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ゴルゴ13第95巻-1日・米コメ戦争 虎の尾を踏んだ男たち

2007-09-11 23:53:02 | 第091巻~第095巻

■日・米コメ戦争 虎の尾を踏んだ男たち(第321話) 発表1991年1月

評価   ★★★★

依頼人  RMA(全米精米業者協会)理事長

ターゲット パプア・ニューギニア政府 開発大臣オットー・ベルガー

報酬    不明

今回弾丸発射数       6/ 通算弾丸発射数 1,760

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,911

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
パプア・ニューギニアに対するコメ作りのODA(政府開発援助)を巡り、政治家・企業の黒い欲望が蠢く。一方、コメ市場の開放を求めるアメリカは・・・

<この一言>
あんたらの望みは、工業、農業両面での、完全な世界支配・・・

<解説>
パプア・ニューギニアに対する巨額のODA(政府開発援助)が決定。日本の九州の広さに相当する40,000平方キロメールを灌漑し、農工業の拠点にするという壮大な計画で、パプアのコメ自給を促し、将来的にはコメの輸出を見込むものであった。

しかし、日本からのODAは日本企業が現地工事を受注し、資金が日本に還流する構図が定着、さらには受注企業の選定にあたり政治家に賄賂が流れ、政官財の利権の温床となっていた。また、ODAを受ける側も同様で、援助金の一部は政治家と官僚に流れ、現地住民の生活向上に結びついていないのが実態。パプア・ニューギニアで昔ながらの手法による農業を浸透させようとする「藤岡」と「浜林」は大規模な援助に反対、開発大臣「ベルガー」と結びついた富士通商「阿部」と対立する。日本国内では、富士通商と結びついた最大与党の幹事長「鬼島」と農村票田をバックボーンとする「相川」議員がODA利権を貪るべく暗躍していた。

日本がコメ市場を開放しないことにいらだちを募らせるアメリカは、ロビー団体であるRMA(全米精米業者協会)が日本への圧力を強める。市場を開放しない上、ODAを通じて発展途上国のコメ輸出を手助けする日本に業を煮やしたRMA理事長は、ODAを中止に追い込むべくゴルゴに開発大臣ベルガー殺害を依頼する。ゴルゴは現地に伝わる”ニオコマドの呪い”に見せかけてベルガーを殺害、大規模開発は中止となる。

ODAを巡るドス黒い欲望と利権を、生々しく描いた作品。金権政治の実態、ODAにまつわる負の側面、コメの自由化といった重いテーマを描き込んだ社会派作品である。最終コマで描かれる、選挙カーに乗って名前を連呼する旧態依然とした政治屋の日常がなんとも白々しい・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (95)巻掲載
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ゴルゴ13第94巻-4アンコールの微笑

2007-09-10 23:54:14 | 第091巻~第095巻

■アンコールの微笑(第320話) 発表1991年3月

評価   ★★★

依頼人  ユネスコ

ターゲット 香港の貿易商「チョウ・イーソー」/盗掘一味のブレーン

報酬    不明

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 1,754

今回殺害人数         4/ 通算殺害人数   3,910

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
カンボジア・プノンペンのアンコール遺跡は、盗掘が繰り返され文化遺産が荒れる一方であった。遺跡保護を推進するユネスコは・・・

<この一言>
一つ、確認しておくが、標的のチョウに渡ったレプリカの罠は・・・間違いなのだな・・・?

<解説>
カンボジア・プノンペンから240キロ。そこには東洋最大の石造遺跡であるアンコール遺跡が遺されている。しかし、遺跡の風化、度重なる戦乱に加え盗掘が相次ぎ、遺跡は荒れるがままになっていた。

考古学者「モーア」教授は、ユネスコから派遣されアンコール遺跡の保護活動にあたっていた。旧友の「ジャマン」とともに遺跡保護にあたるモーアであるが、その間にも盗掘一味により貴重な石像が奪われてしまう。

ジャマンは盗掘一味の黒幕である香港の貿易商「チョウ・イーソー」を罠にはめることを企てる。その存在が記録されているものの、未だ発見されていない”東洋のビーナス”像が発見されたとの偽情報を流し、”東洋のビーナス”のレプリカをチョウに盗ませ、その一部始終を記録して公開する作戦にでる。しかし、ジャマンは作戦途中にチョウの部下によって殺されてしまう。ユネスコはゴルゴにチョウの殺害を依頼するが、モーア教授はゴルゴへの殺害リストに、チョウに考古学的知識を授けるブレーンの殺害を加えるよう進言する。

ゴルゴは屋敷に隠れたチョウを殺害した後、東洋のビーナスを発見したというモーア教授の息子「ジャレット」の会見場に訪れる。モーア教授らは東洋のビーナスのレプリカに赤外線に反応するクロロフィル溶液を塗ることで偽物の証拠を残していた。ゴルゴはジャレットが発見したという東洋のビーナスが、モーアの作成した偽物であることを確認した後、ジャレットがチョウのブレーンであると判断し、ジャレットの眉間を射抜く。モーア教授は実の息子の殺害依頼をしたことになったのである。

本作は1991年発表であるが、翌1992年アンコール遺跡は世界遺産に登録される。また、本作では新発見に重きを置いた考古学のスタンスに疑問を呈しているが、2000年に日本で「旧石器捏造」事件が発生。ゴッドハンドの異名を持ち新発見を連発させていた学者が、実は自分で埋めていた偽石器を掘り返して新発見としていた自作自演が発覚した事件は、記憶に新しい。いずれも、本作の内容を歴史が追従することになり、ゴルゴシリーズのテーマの広さが伺われる。

ズキューン

ゴルゴ13 (94)巻掲載
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ゴルゴ13第94巻-3クラウン夫妻の死

2007-09-09 23:52:22 | 第091巻~第095巻

■クラウン夫妻の死(第319話) 発表1992年2月

評価   ★★★

依頼人  アメリカ国防省

ターゲット 火山学者 クラウン夫妻

報酬    $1,000,000

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,749

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   3,906

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
雲仙普賢岳の噴火により火砕流が発生、フランスの火山学者夫妻が命を失った。夫妻の膝には弾丸状の火砕流片が刺さっていた・・・

<この一言>
それをあんたが心配しなくてもいい・・・

<解説>
1991年6月3日、雲仙普賢岳より大規模な火砕流が発生し多くの人命が失われた。犠牲者の中には世界的な火山学者「クラウン夫妻」も含まれていたが、FTVの「伊東」はクラウン夫妻のに死に疑問を抱く。

調査を進めると、火砕流発生の直前にゴルゴが現場から逃げ去っていたこと、クラウン夫妻の膝には火砕流片が弾丸の様に突き刺さっていたことが判明する。

アメリカ国防省は、フィリピンのアメリカ軍基地撤退を表明していた。デタントが進行し、ソ連の脅威が弱まったアメリカにはフィリピン基地を維持する戦略的根拠も、経済的な余裕もなくなっていた。ピナツボ火山の不安定な状態も基地撤退の理由に挙げていたが、ピナツボ火山の調査していたクラウン夫妻が、ピナツボ火山の噴火は一過性と発表すれば、フィリピンの基地存続派を勢いづけるため、国防省はクラウン夫妻の殺害をゴルゴに依頼したのである。

1991年の大火砕流で火山撮影家として名高いフランスの「クラフト夫妻」が亡くなっており、本作の「クラウン夫妻」はクラフト夫妻にかけたものと思われる。本作の見所は、盟友の銃職人「デイブ・マッカートニー」が登場する冒頭シーンだ。ゴルゴはデイブに火砕流の塊から弾丸を作るように依頼するのだが、デイブとゴルゴの”お約束”とも言えるやりとりが面白い。デイブ・マッカートニーは、第7巻-1『AT PIN-HOLE!』第39巻-1『軌道上狙撃』第54巻-2『穀物戦争 蟷螂の斧』第75巻-1『G線上の狙撃』に続き5回目の登場。ラストのコマにゴルゴ13シリーズが連載されている「ビッグ・コミック」の看板が描かれているのも隠れキャラ的な味がある。

ズキューン

ゴルゴ13 (94)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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