ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第141巻-2 赤いトロフィー

2009-07-31 23:35:21 | 第141巻~第145巻

ゴルゴ13 141巻 ミステリーの女王・2 (SPコミックス)
■赤いトロフィー(第466話) 発表2000年10月

評価   ★★

依頼人 ①②米国政府 親中国派

ターゲット ①国防総省 国家画像地図作成局 ブラントン・カーチス局長②FBI本部書類庫

報酬 ①②不明 

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 2,540

今回殺害人数      1/ 通算殺害人数   4,873

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
米中接近の裏で、公にされたくない対中国工作の資料隠滅の動きが・・・。一方、空港で荷物を盗まれたゴルゴは・・・。

<この一言>
・・・

<解説>
ニューアーク空港に降り立ったゴルゴ。しかし、ゴルゴの荷物は盗まれて故買屋に持ち込まれてしまう。ニュージャージー警察のゲティ警部は、故買屋に踏み込み盗品を回収、ゴルゴの荷物であった”赤いトロフィー”を飾っておく。ゲティ警部が席を立った隙に男がトロフィーを持ち出されると、ゲティ警部は男を泳がせ後を追う。男がゴルゴにトロフィーを渡すのを見るが、ゲティ警部はゴルゴの眼光にに怯み、何もすることができなかった。

ゲティ警部は米中接近の背後に潜む、下記のような政治的な証拠隠滅が進行していると推測し捜査を進める。
①NATO軍がベオグラードの中国大使館を誤爆した事件は、誤爆ではなく狙ったものだった。
②しかし、米中接近を妨げることとなるこの爆破事件は、誤爆と処理する必要があった。
③誤爆の原因は誤った地図の作成にあったことにする。
④そのため口封じのために地図作成局長を殺害した。
⑤さらに、証拠書類を隠滅する可能性がある。

ゴルゴは取り返した”赤いトロフィー”をベースにレーザー銃を用い、FBI本部の書類庫をレーザー照射することで火災を発生させ、すべての証拠書類を消失させる。局長殺害と書類抹消の実行犯がゴルゴであることを確信するがゲティ警部であるが、闇の深さを知りそれ以上の追求をあきらめざるを得なかった。

レーザー照射による火災を描きたいが故に作られたストーリー。”赤いトロフィー”などという陳腐なギミックを用いたり、過去のスパイ事件や大使館誤爆事件を無理矢理からめようとしているため、展開がぎくしゃくしている。唯一の見せ場は、ゴルゴがゲティ警部にガンを飛ばすところか。それだけで、ゲティ警部は汗だくになっているのが可笑しい。

ゴルゴ13(141) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第141巻-1ミステリーの女王・2

2009-07-29 23:55:00 | 第141巻~第145巻

ゴルゴ13 141巻 ミステリーの女王・2 (SPコミックス)
■ミステリーの女王・2(第465話) 発表2001年5月

評価   ★★★★

依頼人 ①フランク・コステロ ②不明

ターゲット ①フランク・コステロ ②コンゴ民主共和国 マクンベ大統領

報酬 ①不明 ②不明 

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 2,538

今回殺害人数      18/ 通算殺害人数   4,872

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
ゴルゴを題材にした映画を作ろうとする新「ミステリーの女王」が登場。狙われていると知ったゴルゴは・・・。名作「ミステリーの女王」の続編!

<この一言>
その辺で口をつぐんで、メモの用意をしろ・・・

<解説>
映画会社”シネガイア・ピクチャーズ”CEO『サラ・キャンドレス』は、映画のデジタル化に注力することを発表する。同社の役員『ジョン・バーリン』は、ゴルゴ13を題材にした映画を撮ることをキャンドレスに上申する。この提案に食いついたキャンドレスは、傭兵を雇ってゴルゴを抹殺することを画策、そのシーンを映画に用いることを思いつく。

キャンドレスは、傭兵の世界では伝説的存在の『マックス・シュナイダー』少佐にゴルゴ抹殺を打診する。シュナイダーは、かつてゴルゴに煮え湯を飲まされた経験を持つ。第43巻-1『ミステリーの女王』にて、ゴルゴは女流ミステリー作家『マッジ・ペンローズ』に命を狙われる。ゴルゴはペンローズに復讐すべく、”ボスナフェルジェル基地”に匿われたペンローズを爆殺したのであった。この時、基地の警護担当として任務についていたシュナイダーは責任を問われ軍を退職し、傭兵へ身を落としていた。ゴルゴへの復讐に燃えるシュナイダーは、キャンドレスの申し出を受け入れ、ゴルゴ抹殺の作戦を練る。

傭兵学校をゴルゴの迎撃基地として、ゴルゴを待ち受けるシュナイダー。キャンドレスもゴルゴの殺害シーンを撮影すべく傭兵学校に乗り込む。ゴルゴはシュナイダーに情報戦を仕掛け、陽動し遠距離からの砲撃により鵬兵学校を壊滅させる。しかし、黒幕であるキャンドレスの死亡は確認されていない・・・

『ミステリーの女王』の続編というよりは、派生作品と考えられる本作、前作との共通項も多く楽しめる。
[武器の調達屋]
本作で登場する調達屋はだいぶ太っているが、『ミステリーの女王』に登場する調達屋の老けた姿であろうか?それとも別人であろうか?お金に対するがめつさ、ゴルゴに余計なアドバイスをするなど、性格に共通点がある。シュナイダー一派の拷問にあうのだが、図太い性格のこの男なら生きながらえているだろう・・・
[爆殺]
『ミステリーの女王』では、ミサイルによる爆殺を敢行したゴルゴだが、本作では長距離無反動胞による爆殺を行っている。女性に銃を向けるのはさすがのゴルゴもあまり好きではないのかもしれない。といいつつ、キャンドレスは死に至っていないようだが・・・。

ゴルゴ13(141) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
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ゴルゴ13第140巻-3静かなる草原

2009-07-19 12:04:37 | 第136巻~第140巻

ゴルゴ13 140 (SPコミックス)
■静かなる草原(第464話) 発表2001年4月

評価   ★★★★★

依頼人 ―

ターゲット ―

報酬 ― 

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 2,533

今回殺害人数       5/ 通算殺害人数   4,854

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
アメリカ・ウィスコンシン州マディソン郡て秘密トレーニングに励むゴルゴ。しかし、傭兵部隊がゴルゴを襲う。現場に居合わせたジャーナリスト「マンディ・ワシントン」は・・・

<この一言>
・・・

<解説>
ゴルゴの過去に興味を持ち、出生の秘密に肉薄したジャーナリスト『マンディ・ワシントン』は、引退を決意しマディソン郡に居を構えた。ワシントンはある日、野生動物の生態を研究しているという男と出会う。男が夜間の動物の生態を撮影するために録画したテープを見せてもらうと、そこにはトレーニング中のゴルゴが写っていた。ワシントンが居を構えるすぐ近くにゴルゴの秘密別荘があるらしい。あまりの因縁におののくワシントン・・・。

近くの牧場でワシントンは少年『カイン』と出会う。カインは、けがをした老馬を無二の親友として手厚くケアをしていた。そのカインの父親が経営するガソリンスタンドにゴルゴがやってきた。予期せぬゴルゴとの遭遇に思わず身を潜めるワシントン。その刹那、5人の武装兵士がゴルゴに向かって銃を乱射する。カインの愛馬を奪って森へ逃走するゴルゴを、武装兵士はバイクで追いかける。後にカイン、ワシントン、警官が見たのは、武装兵士とカインの愛馬の死体であった。

カインの愛馬は眉間を射抜かれ、肉の一部がはぎ取られていた。あまりのむごたらしさにカインは”あの男を許さない”と絶叫する。直後、牧場主の口座に200万ドルの振込があり、カインにはハンター種の名馬が送られてきた。ワシントンは、ゴルゴが迷惑料として200万ドルを振り込み、名馬を送ったのだと確信する。

ゴルゴの義理堅さと殺生に対する哲学が見事に表現された短編。ページ数は少ないものの、読後には深い感動に包まれる。語り部として『マンディ・ワシントン』を起用しているのも絶妙。暗闇でトレーニング中のゴルゴが、卵を踏まないように避けたが、これを見たワシントンは、ゴルゴの殺生に対する哲学を洞察している。曰く、
『修羅場に身を置いたONの瞬間には一切の感情を捨て去る反面、OFFの時にはあらゆる生命の去就に関わらないというルールが無意識裡にある』
ワシントンは、
第14巻-1『日本人・東研作』
第21巻-1『統計解析射撃』
第43巻-1『ミステリーの女王』
第51巻-1『毛沢東の遺言』
に登場、本作で5回目の登場だ。静かな余生を送れるといいのだが・・・。

ゴルゴ13(140) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
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ゴルゴ13第140巻-2 1億人の蠢き

2009-07-11 23:53:06 | 第136巻~第140巻

ゴルゴ13 140 (SPコミックス)
■1億人の蠢き(第463話) 発表2001年1月

評価   ★★★

依頼人 ①人民解放軍 龍東民 副総参謀長 ②康国良 国家主席

ターゲット ①新興宗教『金鵬来』の始祖 柴洪史 ②龍東民

報酬 ①不明 ②不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 2,528

今回殺害人数       2/ 通算殺害人数   4,849

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
インターネットを布教活動に利用した新興宗教『金鵬来』が中国全土を席巻。事態を重視した中国共産党は『金鵬来』撲滅に乗り出す・・・

<この一言>
だが・・・”虎は死しても皮を残す”ぞ・・・

<もう一言>
演出効果は、俺の仕事では、ない・・・

<さらに一言>
それは、あくまで”結果”だろう。俺は、依頼された通りの仕事を終えた・・・

<解説>
中国全土で新興宗教『金鵬来』が大流行、信者の数が一億人を超える事態となった。『金鵬来』の始祖『柴洪史』は、インターネットを用いた布教で瞬く間に信者を獲得、国外の有力華僑をも巻き込み一大勢力となっていた。事態を重く見た『康国良 国家主席』は、『龍東民 人民解放軍副総参謀長』に金鵬来撲滅の全権を委任する。軍の掌握を目指し己の地位向上を目論む龍は強権を発動、信者への弾圧や教団サイト閉鎖を行う。しかし、アメリカに亡命したとされる柴洪史の居場所を突き止めることができない龍は、最後の手段としてゴルゴに接触、教団の最大祠祭である”天目祭”当日に柴洪史の殺害を依頼する。

”天目祭”当日、厳重な警備に守られた柴洪史は防弾ガラスに囲まれた屋外ブースで、パフォーマンスを行う。ゴルゴはブース内に空気を送り込んでいるエアコンに毒ガス弾を撃ち込むことで、柴教祖を屋外に誘い出すことに成功、柴教祖の眉間に弾丸を撃ち込む。その刹那、柴教祖の体内に仕込まれた爆弾が炸裂、教祖は肉片一つ残さず、この世から消え去ったのである。

龍東民の目論見は達せられたかに見えたが、信者達はこの事件を「柴教祖が予告通り天に召され、我々の心に生き続ける」と解釈、より信仰を強める結果となった。龍東民の失態に立腹した国家主席は、ゴルゴに龍東民の殺害を依頼、作戦失敗の責任を死刑にて償わせるのであった・・・

中国共産党を揺るがす新興宗教を題材にした作品。経済自由化を進める中国であるが、統治の根源を揺るがす宗教問題や民族問題に対しては強硬な態度を示すことは、昨今のチベット問題や新疆ウイグル問題でも明らかになっている。インターネットが普及している今日では、本作のような事態も頻発しているのではなかろうか?インターネットを利用した新興宗教を描いた篠田節子の『仮想儀礼』 という小説を最近読んだ。軽い気持ちで”エセ宗教”を始めた男が教祖となり、次第に教団を大きくしていくストーリーなのだが、日本の病理を描ききっている秀作。一読をお勧めする。

仮想儀礼〈上〉 仮想儀礼〈下〉

ゴルゴ13(140) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
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ゴルゴ13第140巻-1パンドラの柩

2009-07-06 00:37:31 | 第136巻~第140巻

ゴルゴ13 140 (SPコミックス)
■パンドラの柩(第462話) 発表2000年11月

評価   ★★★★

依頼人 ―

ターゲット ―

報酬 ―

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 2,525

今回殺害人数       2/ 通算殺害人数   4,847

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数   113

<ストーリー>
ゴルゴのDNAを利用して最強の”人間兵器”を作ろうとするマッド・サイエンティストが暗躍。沖縄サミットに集結した先進国首脳は、ゴルゴ抹殺に合意するが・・・

<この一言>
理由を話す前に、・・・頼みを聞いてくれるか、断るのか・・・まず、それに・・・答えてくれ・・・

<解説>
体細胞からクローン作製に成功した『F・ヘルドマン』は、ゴルゴの細胞を利用して最強の人間兵器を作ることに野望を燃やすマッド・サイエンティスト。軍事評論家でありながら裏世界に武器を売り込む『貴美島 淳』は、ヘルドマンとともにゴルゴのクローン作成を目論む。ゴルゴの宿泊するホテルの部屋からゴルゴの髪の毛を入手したヘルドマンは、ゴルゴのDNAを抽出し、これを別の男に注入。ゴルゴDNAを注入された男は飛躍的な身体能力の進化を遂げる。より完璧なゴルゴ・クローンを作るためには、ゴルゴの死体が必要であると考えたヘルドマンは、貴美島にゴルゴの死体確保を依頼する。

一方、自分の生体サンプルを奪われたことを知ったゴルゴは、遺伝子研究家『マリナ・パットナム』のもとを訪れる。ジャーナリストを装ってパットナムに近づいたゴルゴは、遺伝子工学について教えを請うとともに、ある協力を要請する。

ヘルドマンと貴美島はCIAのコンピューターに侵入、ゴルゴと先進諸国の関わりについて情報を入手する。これら情報を暴露されたくなければゴルゴの遺体を差し出せ、とCIAを脅迫する。CIA高官であるマリナの父は、ゴルゴ殺害を大統領に進言、大統領は沖縄サミットに集結していた各国首脳に対しゴルゴ殺害のコンセンサスを得る。ゴルゴは、ヘルドマンの罠に嵌ったかのように見せるため、わざと狙撃され仮死状態に陥る。しかし、ヘルドマンの助手に迎えられていたマリナは、ゴルゴを蘇生させる。ゴルゴは自らのクローンをなぎ倒し、ヘルドマン、貴美島とともに完全焼却する。ゴルゴ殺害計画を主導したマリナの父にも死罰を与える。マリナの父親は、政府首脳に累が及ばぬよう、全ての責任を引き受けたのである。

ゴルゴの”髪の毛”が奪われ、更にはゴルゴの”死体”が確保されるというショッキングな展開がいい。加えて、ゴルゴの協力者であるマリナの実父と育ての親が、ゴルゴに絡み合うことで命を落とすというドラマも切ない。マリナ自身の救済と自立、再度の喪失というディープな構成なのだ。笑えるのが、ホテルで採取されたゴルゴの”髪の毛”。ゴルゴの髪の毛にしては長く、縮れていて太さも不均一だ。となると、この毛は”髪の毛”ではなく、もしやあそこの・・・。

ゴルゴ13(140) 巻掲載
ゴルゴ13(153) 巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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