■オーバー・ザ・スカイ(第406話) 発表1997年1月
評価 ★★★★
依頼人 郵政族議員 野本
ターゲット 郵政官僚 前橋清司
報酬 不明
今回弾丸発射数 1/ 通算弾丸発射数 2,250
今回殺害人数 1/ 通算殺害人数 4,386
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 105
<ストーリー>
”東洋テレビ”の株式をメディア王『ワールドロップ』が取得へ。護送船団に守られてきた放送局は突然の黒船来襲に動揺する・・・
<この一言>
科白なし
<解説>
世界のメディア王と呼ばれる『エルビス・ワールドロップ』が、”東洋テレビ”の株式取得を発表した。東洋テレビを支配する猪狩は具体的な対抗策を示せないまま、いたずらに時を浪費してしまう。一方のワールドロップは、東洋テレビを足がかりに日本の放送コンテンツを買い占め、有料多チャンネル・デジタル放送”オーバー・ザ・スカイJ”にて独占放送し、日本のテレビ放送を牛耳る目論みを企てていた。
ワールドロップの娘『リンダ』は、目的達成のために手段を選ばないワールドロップに反目、ワールドロップ親子の仲は分断していた。リンダは郵政役人の『前橋清司』と恋仲にあったが、ワールドロップは前橋にリンダとの結婚を打診、結婚後はワールドロップ社内で重用するとの誘いをかける。政略結婚とも取られかねない提案であったが、前橋は自らの理想とする放送の実現のためにリンダにプロポーズをする。
前橋のプロポーズを悩みながらも受け入れたリンダは、郵政議員『野本』がゴルゴに接触し殺人依頼をしているシーンを撮影する。野本がターゲットをゴルゴに告げる場面は録画できなかったものの、リンダは野本がワールドロップの殺害を依頼したと確信、前橋に相談する。ワールドロップがゴルゴに狙撃されれば、日本の放送を牛耳れるとの野望に燃える前橋。しかし、ゴルゴの標的はワールドロップではなく、前橋本人であった。日本の電波法では、国内放送局の経営者を日本国籍に限定しているため、リンダと前橋の結婚を妨害すれば、リンダの日本国籍取得ができなくなり、ワールドロップの日本放送支配を阻止できると、老獪な野本が手を打ったのである。
本作は、96年にメディア王『マードック』氏がテレビ朝日の買収に動いた事件をベースに描かれている。作中では、『マードック』=『ワールドロップ』、『テレビ朝日』=『東洋テレビ』とされている。東洋テレビは『フジテレビ』をモチーフにしているようで、お台場のフジテレビ社屋が描かれていたり、フジテレビの元大株主『鹿内』氏が作中では『猪狩』として登場するなど、ニヤリとさせられる。このテレビ朝日買収事件は、マードック氏とソフトバンク孫氏が共同でテレビ朝日の株を買い取り、後日親会社である朝日新聞社に全株を売却して落着を見たのだが、その後、ライブドアがフジテレビの親会社であるニッポン放送株を買い占めたり、楽天がTBSの株を買い占めたりと、メディアの支配権を巡る騒動が繰り広げられたのは記憶に新しい(講談社刊『メディアの支配者』は、テレビを巡る壮絶な権力闘争を生々しく描いたノンフィクションで必読!)。ゴルゴとの接触に「”G13”型トラクター買いたし!!」という新聞広告を出していたり、ゴルゴがレインボーブリッジから狙撃したりと、さりげなくディテールにも拘っているあたりも面白い。本作は、黒船来襲により右往左往する内向きなメディアを批判し、メディア買収時代の到来をリアルに描いた作品として高く評価されていいだろう。
ズキューン
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