ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第92巻-3 6月3日の死

2007-08-28 23:16:53 | 第091巻~第095巻

■6月3日の死(第313話) 発表1990年10月

評価   ★★★

依頼人   チベット亡命政府ドルジェ・ギャッツオ

ターゲット サムテン・シャカパ/シャカパの死後1年後にドルジェ・ギャッツオとティンレイ・ツェリン

報酬    不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 1,723

今回殺害人数         3/ 通算殺害人数   3,875

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
天安門事件に乗じてチベット独立を世界にアピールしようとする者。あくまで非暴力を貫こうとするチベット亡命政府。天安門事件のその日、ゴルゴは・・・

<この一言>
俺は”狙撃手(スナイパー)”だ・・・狙撃(スナイプ)を請け負うのが、俺の仕事だ・・・それ以外のコトを、引き受ける事は、ない!

<解説>
チベット独立を目指す急進改革派の「サムテン・シャカパ」は、天安門事件に乗じて世界にチベットをアピールしようと混乱する天安門広場に潜り込む。しかし”非暴力”を貫くチベット亡命政府の「ドルジェ・ギャッツオ」は、シャカパの行動を支援しない事を決定する。この方針に反対する「ティンレイ・ツェリン」は亡命政府を飛び出し、強硬手段に打って出る。

シャカパは学生デモに便乗し強硬な主張を展開。ツェリンもゴルゴに接触して中国要人の殺害を企てているのではとの噂が流れる。チベット問題は”非暴力”で解決すべきとのポリシーに基づき、ギャッツオはシャカパとツェリンの行動を封じる動きにでる。ゴルゴと接触し、ツェリンからの殺害依頼があった場合断るよう要請する。しかし、ゴルゴは「俺は”狙撃手(スナイパー)”だ・・・狙撃(スナイプ)を請け負うのが、俺の仕事だ・・・それ以外のコトを、引き受ける事は、ない!」とこの申し出を拒否。やむなく、ギャッツオはシャカパの狙撃を依頼する。あからさまな狙撃ではなく、事故に見せかけての殺害という条件付きの依頼をゴルゴは受託。シャカパの殺害から1年後に、ツェリンと自身の殺害も合わせて依頼。非暴力の方針に背いた罪滅ぼしのために自身と実の息子であるツェリンの殺害を申し出たのである。

ゴルゴは戒厳令下の天安門に潜入、中国軍戒厳部隊が人民に向けて発砲を始めたその刹那、手に隠し持ったペン型の銃でシャカパを狙撃する。なお、今回用いたペン型銃は第30巻-1『アサシン暗殺教団』でも用いられている。1年後、ギャッツオとツェリンが殺害されたことは言うまでもない。

天安門事件の推移を忠実になぞった作品。天安門広場での人民デモと治安部隊の攻防がリアルに描かれている。天安門事件の映像は記憶に新しいが、昨今の報道で中国国内のデモとして伝わってくるのは反日デモばかり。反日デモが、中国政府の扇動によるものなのか、あるいは人民の自発的な行動なのかは我々には伺い知ることはできないが、時代の変遷の早さに驚かされる・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (92)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第92巻-2神の領域

2007-08-27 23:55:48 | 第091巻~第095巻

■神の領域(第312話) 発表1990年7月

評価   ★★★

依頼人   CIAルーニー

ターゲット テキサス心臓研究所マシューズ医師

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,720

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,872

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
KGBの”スリーパー”が心臓病に。KGBは手段を選ばず、スリーパーに臓器提供がなされるように仕向けるが・・・

<この一言>
民間人に対するせめてもの良心・・・のつもりか、ルーニー・・・?

<解説>
KGBのアメリカ在住スリーパーが心臓病を患い、心臓移植を待つ身になる。KGBは陳情・買収工作で臓器移植手術を受けようとするが、テキサス心臓研究所の臓器移植患者決定会議の方針にそぐわず、移植手術の機会を得られずにいた。

テキサス心臓研究所の臓器移植患者決定会議は、「スミス所長」と「マシューズ医師」の合議制を採っていたが、実際にはスミス所長の恣意的な判断により移植患者が決定されていた。患者の生死を左右する臓器移植の決定は、臓器移植の相性を優先に考慮してなされるべきであると考えるマシューズはスミス所長の方針に反発する。

スミス所長の方針を快く思わないのはKGBも同様で、いつまでたってもスリーパーに臓器移植の機会が回ってこないとに焦りを感じたKGBは、スミス所長を殺害。マシューズと複数の選定委員による新たな臓器移植患者決定会議で、KGBに買収された選定委員がスリーパーへの移植を決定する。

CIAはKGBの動きを察知し、マシューズにスリーパーに対する手術を失敗するよう脅迫する。ベトナム戦争の徴兵回避をネタに強請られたマシューズは、手術を失敗しスリーパーを死亡させる。自責の念にかられたマシューは教会で懺悔するが、懺悔室で待ち構えていたのはゴルゴであった。CIAのルーニーはゴルゴにマシューズの殺害を依頼していたのである。

臓器移植については、公平性と倫理という問題がつきまとう。カネで命が買えるという状況は好ましくなく、本作が提示している公平性とは何かという命題は簡単には解決できない『神の領域』なのだろう。臓器移植に関する問題は一橋文哉『ドナービジネス』に明るい。臓器が売買の対象とされている現実に戦慄する。恋人マシューズの死亡後も、マシューズの提供臓器を活かそうとする女医マリアの気丈で気高い振る舞いに、公平性や倫理といった難題を解決する光明を見ることができる。

ズキューン

ゴルゴ13 (92)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
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ゴルゴ13第92巻-1東亜共同体

2007-08-26 23:40:40 | 第091巻~第095巻

■東亜共同体(第311話) 発表1991年7月

評価   ★★★★

依頼人   CIAピーター(CIAの依頼ではなく、ピーター個人としての依頼)

ターゲット 外務省 長倉局長

報酬    不明

今回弾丸発射数       1/ 通算弾丸発射数 1,719

今回殺害人数         1/ 通算殺害人数   3,871

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
外務省官僚が密かに進める日本・ソ連・中国の経済ブロック”東亜共同体”構想。保守政党重鎮、CIAの思惑が交錯し・・・

<この一言>
この男を除去する理由は?

<解説>
外務省「長倉」局長は、日本・ソ連・中国を中心とした経済ブロック”東亜共同体”構想を密かに推し進める。日ソ中にASEANをあわせた大経済連合を作り出すことで、北米経済圏・ヨーロッパ経済圏に対抗するという腹積もりであった。日本とソ連の接近はアメリカの抵抗が想定されるが、長倉はアメリカ企業が敷設するソ連→朝鮮半島→日本を経由するパイプラインに便乗して、なし崩し的にソ連との関係を強化しようと目論む。

この情報を掴んだCIAのピーターは、計画を阻止しようとゴルゴに接触。長倉を事故に見せかけて殺すように依頼する。冷戦終結とともにCIAは強攻策を採ることに消極的であるため、長倉暗殺はCIAの依頼ではなく、ピーター個人の依頼としてなされたのである。

クレー射撃が趣味の長倉であるが、ゴルゴは長倉がライフルに装填しようとした弾丸を狙撃、銃の暴発に見せかけて長倉を殺害する。

しかし・・・。東亜共同体構想は、CIAが長倉を利用して日本の出方を伺うために作成したシナリオであり、長倉はCIAに踊らされたピエロであった。ピーターのスタンドプレーによりCIAの計画は水泡に化す。共同体構想の背後のを知ったピーターは自らがピエロであることを悟るのであった。

ジャパンマネーが世界を席捲していたころに発表された本作。その後、日本経済の失速と沈降に伴い、日本を中心とする経済圏が作られる機会は永遠に失われたと言ってもいい。政治的外交力の欠如、歴史的背景もあり、日本がアジア経済の中心となるには非常に難しい。回復基調にあるとは言え、少子化が進む日本経済は縮小均衡にあり、成長著しいアジアにおける日本のプレゼンスは低下を免れない。ゴルゴよ、日本の窮地を救ってくれ・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (92)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
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ゴルゴ13第91巻-4ドイツはひとつ

2007-08-25 19:30:44 | 第091巻~第095巻

■ドイツはひとつ(第310話) 発表1990年8月

評価   ★★★★

依頼人   ベルギー選出欧州議会議員グールト(コンタクト=秘書モロー)

ターゲット 西ドイツ重工業コングロマリット・NPPグループ総帥 兼 ミュンヘン銀行頭取 ベルマン

報酬    300,000ドイツマルク

今回弾丸発射数       5/ 通算弾丸発射数 1,718

今回殺害人数         7/ 通算殺害人数   3,870

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊。EC統合を目前に、強大なドイツの出現を警戒する政治家たちが暗躍する・・・

<この一言>
あんたの依頼はわかった・・・しかし、俺は、同時に複数の依頼は、受けない・・・

<もう一言>
どうやら、依頼人が、俺のとの契約を、破ったらしい・・・

<解説>
ベルギー選出欧州議会議員「グールト」は、趣味のロールプレイングゲーム(独自のシナリオに基づきゲームを進行するテーブルゲーム)の会を主催、各国の欧州議会議員とともにゲームに興じていた。シナリオは秘書の「モロー」が策定した”EC統合”。各国議員がそれぞれの国の代表となり、政治シナリオにも基づいてゲームが進行する。西ドイツ選出議員の「リンデンバウム」は、東西ドイツの統合→ドイツ統合に反対するフランス大統領の暗殺→ドイツ統合→NATO脱退→ポーランド侵攻→核兵器使用と強硬なシナリオを展開する。核兵器の使用により勝者なく、ゲームは終了。ゲーム中に99%の成功率を誇るゴルゴの存在を知ったグールトは、ゴルゴの利用と排除に思いを馳せる。

1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊を目の当たりにしたグールトは、ドイツ財界の重鎮「ベルマン」が押し進める東西ドイツ統一に危機感を抱く。EC統合よりもドイツ統合が優先されると、欧州のパワーバランスが崩れ、EC統合そのものが危うくなる懸念があり、ベルマンはナチの幼年学校出身で右寄りな発言が目立ち、統一ドイツの暴走が想定されるためだ。グールトは、秘書のモローにベルマン暗殺をゴルゴに依頼するよう指示する一方、この機会にゴルゴの排除を目論みベルマン暗殺情報を流し警備を強化させる。ベルマンが殺されてもよし、ゴルゴが殺されてもよし、の両面作戦に打って出たのである。

ロールプレイングゲームで強硬な主張を唱えたリンデンバウムであるが、ベルマンの急進的なドイツ統合は近隣諸国からの理解を得られないと考え、ゴルゴにベルマンの殺害を依頼する。先にグールトからベルマン殺害の依頼を受けていたゴルゴは、「俺は、同時に複数の依頼は、受けない・・・」とリンデンバウムの依頼を断る。

ゴルゴはベルリンの壁越しにベルマンを狙う。ゴルゴに狙われていることをグールトより聞かされていたベルマンは、死の直前「私がゴルゴ13なら、壁越しに、狙撃するな」とつぶやき諦観する。スコープを通じてベルマンのつぶやきを読唇術で読みとったゴルゴはベルマンを葬る。しかし、警備を強化していた独側の反撃に合い、ゴルゴは負傷する。情報漏れを悟ったゴルゴはリンデンバウムに接触する。リンデンバウムは情報を漏らしていない事を証明するため、グールトとモローが漏洩源であることを確認、ゴルゴがグールトとモローに報復し幕を閉じる。

冷戦終結の象徴ともいうべきベルリンの壁崩壊を題材にした作品。各国政治家の思惑がからむロールプレイの記述が面白い。最も急進的かつ右翼よりのシナリオを採っていたリンデンバウムが実は穏健派で、急進改革派のベルマンの存在を快く思わないあたりに人物描写の妙が伺える。ゴルゴにスナイプを依頼するあたりは、リンデンバウムも強硬派ではあるが・・・。リンデンバウムのいう「ノブレス・オブリージュ」こそ、今日の政治家に求められる資質であると思うのだが、日本の政治屋にこれを求めるのは無理というものだ・・・。

ズキューン

ゴルゴ13 (91)巻掲載
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ゴルゴ13第91巻-3死仮面の館

2007-08-22 23:46:46 | 第091巻~第095巻

■死仮面の館(第309話) 発表1991年5月

評価   ★★

依頼人   クーベルト伯爵

ターゲット アクセル/アクセルの婚約者ナディネ

報酬    不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,713

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   3,863

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
仮面が至る所に飾られている古めかしい館を訪れたゴルゴ。仮面を被って部屋に来るよう女から言われたゴルゴは・・・

<この一言>
あんたから礼を言われることはない・・・

<解説>
仮面が至る所に飾られた古い館を訪れたゴルゴ。館の主「トルバルセン」夫人、夫人の甥「アクセル」、アクセルの婚約者「ナディネ」お手伝いの「ウラ」が集う不気味な館でストーリーが展開する。

ナディネはゴルゴに対し、午前二時に仮面をつけて自分の部屋を訪れるように誘いをかける。ゴルゴは約束通り仮面を被りナディネの部屋を訪れるもののナディネの誘いを断り、トルバルセン夫人の部屋に向かう。睡眠薬で熟睡したトルバルセン夫人を銃で狙うアクセルをゴルゴの銃弾が襲う。

財産目当てにトルバルセン夫人を殺そうとするアクセルとナディネの動きを察知した、トルバルセンの知人「クーベルト伯爵」がゴルゴに二人の殺害を依頼したのであった。

おどろおどろしい雰囲気のなかストーリーが展開する。第91巻-2『顔のない逃亡者』に続くミステリー仕立ての内容だが、トリックの仕掛けが単調で面白みに欠ける・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (91)巻掲載
ゴルゴ13 145巻(最新刊)
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