行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

国籍法についての考察⑦

2016-08-19 09:38:53 | 行政書士のお仕事
 このブログで新国籍法の施行日が、

 昭和25年7月1日であったことを

 たびたび書きましたが、

 実は、これには重要な意味が

 込められています。

 逆に言えば、旧国籍法は、昭和25年6月30日まで

 有効であったことになるのです。

 例えば、昭和25年6月30日以前に、

 勅令指定国である米国、カナダ、メキシコ、

 ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー以外の

 海外で出生した、父又は母が日本人の子のうち、

 その出生によって外国籍を与えられたり、

 父母のいずれかが、外国人であることで、

 自ら意思と無関係に外国籍を与えられた者

 すべてが、今現在でも日本国籍を

 有していることになるのです。

 それも、その方々の生死に関わらず、

 戸籍に記載され、日本人として扱われるのです!

 つまり、昭和25年7月1日に施行され、

 平成20年12月31日まで認められていなかった

 新国籍法での、日本人父の婚外子

(胎児認知した子を除く)や同様に

 昭和58年1月1日まで認められいなかった

 日本人母の子などの日本国籍が、

 「法の不遡及の原則」に従って、

 すべて認められることになるのです。

 具体的には、南米ボリビア共和国で、

 1929年3月に日本人父とボリビア人女性との間で

 生まれたボリビア人女とその実子である

 1950年6月に出生したボリビア人男の母子は、

 いずれの方々も日本国籍があったことになります。

 当然に、今現在の生死に関わらず、

 戸籍に記載されることになります。

 仮に、1929年3月生まれの方が、

 今現在、既に死亡している場合には、

 その死亡も戸籍に記載され、子がすべて婚姻を

 していれば、その方の戸籍は除籍となります。

 また、これらはケースでは、フィリピンなど

 出生当時、出生によって外国籍が、

 本人の意思とは無関係に与えられた国であれば、

 勅令指定国を除くすべての国々のケースで

 旧国籍法が適用されることになります。

 更に、先ほどの1950年6月に出生した

 ボリビア人男性に仮に、未成年の子が

 いる場合、その未成年の子も、現行の新国籍法

 第2条又は第3条又は第17条により、

 何と3世代に渡って日本国籍が取得できるのです!

 いや、父と祖母は日本国籍を回復できたと

 言い換えた方が良いかも知れません。

 ところが、前述した勅令指定国で出生した

 日本人父又は日本人母を持つ者すべてが、

 日本国籍を回復できない方々であると、

 必ずしも、そうは言えないのです。

 つまり、この詳細を知らずして、旧国籍法

 を熟知しているとは言えないことになります。

(以下、次回)

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