行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

国籍法についての考察④

2016-08-13 10:46:12 | 行政書士のお仕事
 「みなし国籍選択者」と政府から

 一方的にみなされた数万人以上にも及ぶ

 重国籍者達には、外国籍の離脱の宣言も

 含まれますが、彼らが国籍を離脱するように

 と言われたとか、二つの旅券を持っている

 ことに注意されたという話しは聞きません。

 それは、なぜかというと、

第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。

2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国 籍の喪失の宣告をすることができる。

3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。

5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。

 つまり、外国籍の離脱が、義務規定ではなく、

 努力規定であるからなのです。

 それには、いたって合理的な理由があります。

 例えば、国籍離脱には、国によっては、
 
 大統領の署名が必要であったり、

 その国の国会の決議が必要であったり、

 更には国籍離脱そのものが認められない

 と国もあるのです。

 ただし、重国籍者が、外国公務員として

 重要な職に就任した場合などでは、

 法務大臣が、日本国籍の喪失宣告が

 できる旨の規定を設けています。

 ただし、ペルーのフジモリ大統領のように、

 国家元首に就任した重国籍者に対しても、

 日本国籍の喪失が宣告されたという

 事実もなかったようです。

 以上のことから、ひとたび、日本国籍を

 選択し、外国籍を離脱する旨の宣言を

 行っておけば、外国籍の離脱は、

 努力義務ですから、引き続き重国籍者として

 認められているのが実情です。

 しかしながら、みなし国籍選択者ではない

 1985年1月1日以降に出生した重国籍者については、

 市区町村窓口で、国籍の選択宣言を指導している

 模様ですし、また、外務省ではこれらの者のうち、

 明らかに外国籍の旅券を有している者については、 

 日本国旅券の発給を認めていない運用が

 なされているようです。

 ちなみに、旧国籍法では重国籍者に対して、

 どのような扱いを定めていたのでしょうか?

 (以下、次回)

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