行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする25年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

第5回米国ビザ講座(最終回)

2013-06-30 09:26:19 | イミケン

   早いもので、今日6月30日で1年間の前半がちょうど終ります。

 仕事柄、当然ですが依頼人の企業・個人の皆さまから

 様々な手続やその概要について尋ねられることが多々あります。

 最終的には、自分の得意とする分野で無い場合には、

 その道の専門家をご紹介すれば良いのですが、

 それにしても、「その手続は私の専門外ですから!」と

 クライアントの方々を突き放して何もご説明しないことは、

 流石にできません。

 すくなくとも、どなたかをご紹介するにしても、

 アウトライン程度のご説明や最低限の情報を

 ご提供申し上げることは当然必要となります。

 そんなテーマの一つである、米国査証について、

 昨年の1月16日から、イミグレーションロー実務研究会を通じて、

 米国ビザコンサルタントの船曳先生から学ばさせて頂いておりましたが、

 とうとう、今回の6月15日(土曜日)が第5回目の最終回となりました。

 http://www.immigration-law.jp/past-seminar/2013-6-15/

 今回の最終回の講義は、特例査証制度である

 Eビザ申請の具体的申請方法についての

 仕上げ的な講義である実践・実務講座となりました。

 つまり、勤務先会社からの英文レコメンデーションレター

 の実際の書き方などについて、書かなければいけない点、

 逆に書き過ぎてはいけない点、文面で気をつける点、

 分量で考量すべき点、一般的に領事が最も重視している箇所や、

 逆に、読み飛ばす点、そして、最後には必ず法律文面に慣れた

 ネイティブスピーカーによるチェックの必要性等々、

 実に細かい点に至るまで丁寧なアドバイスを頂きました。

 ところで、Eビザについて、念のために「おさらい」をしてみましょう!

 まず、在日米国大使館でEビザ申請ができる米国に進出する

 本邦の会社ですが、

 1.米国と日本に通商協定があること。(これは問題ありません。)

   (注)ヨーロッパ系、中国系、韓国系などの日本の

      子会社(日本法に従って設立された会社でも)、

      外国系企業の支店・支社はすべて対象外となります。      

 2.その会社の純日本資本の比率が50%以上ある会社であること。

   (注)米国永住権を持った日本人株主が過半数を占める会社は、

      外国会社とみなされます。また、公開会社で外国人株主が、

      過半数を占めているような会社も対象外となります。

 次に、Eビザを申請できる社員としては、

 ① 米国移民法214条bに従って、その社員の赴任終了後には、

    必ず帰国する意思を表明すること。

 ② 日本国籍者であること。

    (注)在日する外国人社員の方々は、Eビザの対象外です。

 ③ 組織上、重要なポジションを務める者か、又は特殊な能力を

   持った者であること。

 ④ 基本的には、学卒者又は10年以上の専門実務経験者であり、

   学卒の新入社員や社内での経験の浅い社員も対象外です。

   ちなみに、MBA保持者や海外勤務経験者は有利となるようです。

 ⑤ 給料は、付加給も含めて7万ドル以上あること。

 ⑤ 過去に特に問題となるような刑事罰を受けていないこと。

 などが、基本要件です。

 これらの要件のうち、資本要件やポジションでの要件に満たない社員を

派遣しなければならない場合には、現地米国の移民局に対して、

日本の在留資格認定証明書に相当するペティションという、

在日米国大使館でL査証などを発給して貰える該当性の証明書を、

米国移民局から事前に取得(通常は、在米移民弁護士に依頼する!)

する必要があり、むしろこの方法がノーマルです。

 従って、米国移民法を真似た日本の在留資格制度で云えば、

「企業内転勤」か「投資・経営」に近い在留資格が、特定査証として、

事前の在留資格認定証明書の取得なしに、海外公館にて

例外的に取得できる制度だと考えて頂くと分かり易いかもしれません。

 また、Eビザ取得者の場合には、米国子会社間の転勤が容易の

ようですが、L査証(企業内転勤に相当)取得者では、本邦と同じく、

本邦の子会社間、孫会社への転籍は簡単には認めないようです。 

 最後に、米国査証について、知識は限りなくゼロに近い状態であった

多くの受講者達を、5回の受講にして、米国査証の「イロハ」程度が

語れるようにして頂いた船曳先生に心より御礼を申し上げたいと

思います。長い間、どうもありがとうございました。

 なお、この米国ビザ講座は、大阪府行政書士会でも6回のコースとして、

開催されるようですので、関西方面にお住まい方々はご期待下さい。

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情報交換会

2013-06-28 10:34:17 | 多言語行政書士協会

 昨日、私が代表を務める「多言語行政書士協会」の定時総会が行われ、

 委任状を含めて過半数以上の会員にご参加頂き、

 あと2年間代表を務めることのご承認を頂いた。

 また、小国香織会員から、児童園での協力活動について

 ご自身の直近の活動についてのご説明を頂いた。

 一方、私からは本年度の活動方針等をお伝えした。

 その後、約2時間に渡って、入管手続、渉外戸籍手続などでの

 実務面での情報交換が会員間で行われた。

 特に、東京入管本局就労審査部門での審査期間の大幅な遅れ、

 永住許可・不許可基準、資格外活動、変更申請等々での

 事例などにおいて、各会員から多くの実務情報が寄せられ、

 活発な情報交換や発言があり、会員の日常実務の

 大きな参考になったのではないかと思った。

 その後の懇親会では、当協会の顧問格のスペシャルアドバイザーで、

 東京都行政書士会元国際部長で現申請取次適正化委員のE先生にも

 途中参加頂き、昨今の行政書士業界の様々な情報を伺うことができた。

 また、総会からご参加頂いた、同じく当協会のスペシャルアドバイザーとして、

 ご協力頂き、行政書士よりも、むしろ渉外司法書士として著名なA先生からも、

 司法書士会のJICAやアジア諸国政府への協力関係の動向について、

 お話を伺うことが出来た。

 特に、ミャンマー政府の法整備の為に、司法書士会から専門家を派遣し、

 かつ、会として連絡事務所を開設するなど、画期的な協力態勢を

 構築されたことを伺い、日本行政書士会連合会のアジア諸国政府

 やJICAに対する今現在の協力スタンスでは、司法書士会には、

 到底足下も及ばない現状に大きな衝撃を受けた次第である。

 新たなる日行連の新体制に大いに期待したいものである。

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渉外戸籍手続ってご存じですか?

2013-06-26 08:07:16 | 行政書士のお仕事

 例えば、ある南米ペルー人夫婦が、本邦において、

 昨年の某月に、調停離婚を成立させ、

 同年某月に、居住地の市役所に離婚届を出したものの、

 気が変わって本国での手続を行わず、

 その数ヶ月後に再び同居を始め、

 そして、再婚の届出をしようとしたところ、

 婚姻具備証明書が提出できないので、
 
 受理できないといわれた事例の場合、

 皆さんならどうされますか?

 本来、外国人の実質的婚姻要件は、

 その外国人の本国法であるペルー民法によりますから、

 本国での離婚手続(裁判所で行う必要あり!)が

 終わっていないことから、彼らが日本で再婚すれば、

 重婚となる虞があります。

 そこで、市役所は、「婚姻要件が具備されていない!」上に、

 重婚となる可能性もあるので、再婚届は受理できないと

 回答することは当然の話です。

 ところが、以下のような戸籍先例があり、それを知らないと、

 そのご夫婦お二人の人生をも狂わせてしまうことにも

 なりかねないのです。

 つまり、平成18・1・20民一128回答によれば、
 
 「日本方式でブラジル人男と協議離婚したペルー人女が、
 
 ペルー人男との婚姻の創設的届出を提出してきた事案において、
 
 婚姻成立の問題の先決問題となる離婚の有無につき、
 
 先行する離婚が法例(法適用通則法)により定められた

 準拠法により有効に成立していれば、

 当事者の本国法上成立していない場合であっても、
 
 本件婚姻は重婚に当たらない
」という戸籍先例があります。

 この先例を知っていれば、このご夫婦が、この先例に従って、

 婚姻要件具備証明は提出はできないが、重婚とならずに

 再婚できることが分かります。

 そこで、彼らが居住する市役所の戸籍担当職員さんに、

 この戸籍先例を事前に説明すれば、手続がスムーズに進み、

 彼らご夫婦のやり直しに協力することができるのです。

 実際、そんな事案をつい先日に受任し、

 受理照会(いったん、届出を法務局へ上げて審査された後、

 「受理・不受理」の指示が、各市区町村戸籍窓口に下される制度)

 の上、先日受理(受理日は、最初の届出日に遡って受理)されました。

 http://kosekikenkyu.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html

 一方で、日本に居住する韓国人どうしの離婚を

 前述の考えに従って進めてしまうことは、

 あとあとに、大変な問題を引き起こすことになります。

 それは、韓国法では、離婚は熟慮期間を設けており、

 熟慮期間を経ないで行った離婚は、無効となってしまいます。

 つまり、日本に居る韓国人同士の協議離婚は、

 平成16年9月20日以後は、

 在日韓国大使館で離婚届(大使館離婚)する

 以外にはないのです。

 勿論、日本に常居所を有している韓国人の場合、

 市区町村の窓口で協議離婚届出が受理されてしまう一方で、

 本国である韓国では上記の熟慮期間が必要であり、

 安易に日本式で協議離婚をしてしまうと、

 それこそ韓国法上の重婚となってしまいます。

 このシステムを知らないと大変面倒なことになってしまいます。

 http://kosekikenkyu.blogspot.jp/2013/05/blog-post.html

 この様に、それぞれの外国人の方々の本国法や、

 婚姻や離婚の挙行地である日本法、

 更には、本邦の法務当局の判断などにより、

 手続方法や解釈が全く異なってくるのが、

 渉外戸籍手続なのです。

 この分野は、弁護士さんでも詳しい方は少なく、

 まして、司法書士さんの大多数はご存じ居ない方々ばかりです。

 また、この分野は、外国人の在留資格にも密接に関わることから、

 在留手続のプロである行政書士が、その専門家として、

 積極的に台頭すべき分野なのです!

 ところが、残念ながら、まだまだ多くの行政書士が、

 専門家と呼べるレベルに達していません!

 今からでも遅くありませんから、どうかお近くの同業者達と共に、

 この難しく、深い渉外戸籍を勉強して、定型業務の一つとして、

 組み込まれるよう、日々研鑽して頂きたいものです。

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死んだ弁護士名で商標登録を申請???

2013-06-24 09:39:05 | 行政書士のお仕事

 死んだ弁護士名で商標登録を申請???

 死んだ弁護士は、おそらく外国法事務弁護士であった

 と思われるので、一般の弁護士と違い商標の

 代理申請資格は無い筈である。

 http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20130621k0000e040189000c.html

 http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/membership/foreign/gaikokuhou.html

 つまり、本事件は、弁理士資格が無いのに、

 特許庁が本多容疑者を誤って弁護士として

 登録してしまったことが、そもそもの始まりのようだ。

 それを良いことに、商標登録業務を続けていた

 ということなのだろうと推察される。

 つまり、分かり易く云えば、大型2種運転免許が無く、

 普通免許しかないのに、免許証には大型2種にも

 印がついていたので、そのまま、知らんぷりして、

 違法に長年に渡ってバスを運転してしまっていた。

 こんな話のような経緯なのだと思う。

 勿論、違法行為であるから、当然許される行為では

 全く無いことは云うまでもない。

 

 一方、経営者だった米国人外国法事務弁護士が

 既に死亡して居なくなったにも関わらず、その名前を語って、

 営業行為を続けていたという、顧客を欺く別の違法行為も、

 存在していた可能性があると理解すべきであるようだ。

 一部の新聞の記事では、外国法事務弁護士でも

 弁理士と同様に商標登録ができるような、

 世間の方々の誤解を招きそうな記事内容が多かったようだ。

 それにしても、同じ千代田区であるから、この方の事は

 まんざら知らないでもなかったのだが・・・。

 まさか、こんな事を秘密裏にやっていたとは知らなかった!

 東京会の法規部長なども勤められた方だから、

 この様な違法行為に長年手を染めていたことは

 誠に遺憾であり、後進の一同業者としても大変残念な出来事

 と云わざるを得ない先週末に報道された事件であった。

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作成した定款にミスが見つかったら!

2013-06-21 09:27:28 | 行政書士のお仕事

 定款作成のプロであり、作成代理人でもある行政書士が、

 その定款の記載内容を誤記してしまうことは、

 本来あってはならないことだが、外国人の発起人や、

 外国人取締役がいる場合、あってはならないことだが、

 その記載が間違ってしまうことが時としてある。

 昨日、神奈川県の某公証役場から問題ないと

 回答を得ていた定款で、わずか1文字のミスを

 見つけてしまったのだ。それも、電子定款を送った後であった。

 公証役場への訪問は今日だったのだ。

 それも提出する紙ベースの定款で、

 訂正印を貰い忘れていたのである。

 「まず~い!」

 早速、当該公証役場に電話したところ、やはり訂正印は

 必要との事、そこでどうせなら訂正証明書を添付して貰うのも、

 美しくないので、定款を直して、再度、電子定款を送付し直し、

 前の分は、「却下」して貰うことに・・・・・。

 そして、再び依頼人のところへ印鑑を貰いに・・・。

 (ちょっと、恥ずかしいですね・・・。)

 まあ、別途に、ビジネスに関わるアドバイスをしたので、

 依頼人が上機嫌で、私のミスは、すっかり忘れて頂きました。

 ちなみに、定款認証後の訂正の場合には、

 以下の記事を参考にして下さい! 

 http://nakamura-office.blog.ocn.ne.jp/murmur/2012/09/

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