自転車のペダルを漕ぐと少し暑いくらいの昼下がり、郵便局へ
向かう途中、松の木の新芽が勢いよく伸びている民家が
何軒もあることに気づいた。
子供の頃、海の近くで育った私と松の木には色々な縁があり、
我が家から道路を挟み海までの間は通称「小松原」あるいは
「小松林」という名で呼び、家の後ろに控える大きな松の林と共に
一年中私たちの遊び場であり、鳩の子育ての様子や野鳥の
生態を知る学習の場でもあった。
そして500メートルほど離れた海辺に拡がる松林は家族全員が
大好きな「松露」を採るための私だけが知っている秘密(?)の
場所でもあった。
松露は大きなもので直系3cm位あっただろうか、炒めても
揚げてもよし、味噌汁もよし、どんな料理にも合うあの香りと食感は
何十年も経った今でも忘れてはいない。
指で触るとあの弾力のある触感と切ったときのあの白さと香りと
その食感は決して松茸に劣らないと思う。
山の松茸、海辺の松露は本当に希少価値のきのこだと思う。
そんな貴重とも思える松露はスーパーなどでも見かけることはなく
最近はあちこち探してもなかなか見つからないという。
その他にもいろんな学習の場として利用した松林に新芽が出る頃になると
私たちは競ってその新芽を摘み取って水たまりや池でロケット遊びを
したことも懐かしく思い出し、大人げなく(?)久しぶりにやってみたいという
衝動に駆られ、郵便局からの帰りに前述の民家へ伺い5、6本いただけるか
聞いてみようと思ったが・・・・
このあたりの家では新芽を摘み取るときは専門家(造園屋さん)に
依頼し、綺麗に育つよう剪定してもらうのかもしれないとも考え、
いきなりの訪問を止めることにして後日あらためて行ってみようと思った。
丁寧にお願いすれば分けてもらえるかもしれない・・・と少し甘く考えて。
小学校時代はいろいろな友達が、鳩、ジュウシマツ、メジロ(いまは保護鳥ですが・・・)、インコなどを飼っていて、トリモチを自分達で作り、山にメジロを獲りに行ったものです。
そう言えば、山菜も海藻、貝類も豊かにありました。そして採集も無料でした。
いまは空港ができて全く何も獲れないし、可能なところに行って漁協から入漁料を請求されたり、山菜も下手に採集しようとすると個人の山林だったりしてとんだ目に遭うことも少なくありません。
およそ、遊び道具は何でも肥後ナイフだったり、子供のころ流行った鋸付きナイフを器用に使って作っていました。いまの子供はナイフを待たせないので、怪我の怖さも知らないし、命の大切さも判らないまま育っていて、いろいろな弊害が出ています。
女の子は小さい時からいろんな手芸を覚え、手先の器用な大人に育ちました。
古いき良き時代とは、そんな時代でしたよね。