土曜日に、りょうちゃんの定期チェックで歯医者に行った時、待ち時間に「チコちゃんに叱られる」の本を読んでいた。
その中に、「お墓にお線香をあげるのは、お線香の煙が亡くなった人のご飯だから」というのがあった。亡くなった人はご飯を食べられないので、お線香の煙の良い香りがご飯なのだということだった。
それを読んだからだと思うけど、夕べ寝る時に、りょうちゃんが、
「ママ、りょうちゃんがママより先に死んだら、お墓を建てて、毎日お線香をあげてね」
と涙ぐみながら言うので、あまりの恐ろしさに、ザーッと血の気が引いてしまった。
「りょうちゃん、りょうちゃんがママより先に死ぬなんて、絶対にないんだから、そんなこと言わないで。大丈夫だから」
と言うと、
「だって、車にひかれたら? それに、ママが死んじゃったら嫌だ〜」
と、本格的に泣き出してしまった。
「ママが死んじゃったら、りょうちゃんもすぐにママのところに行くから、天国で待ち合わせしよう。閻魔さまにお願いする」
「ママがこのお家から引越したら、りょうちゃんに手紙書いてね。住所、教えてね」
と、自分が不安に思ってることを、あれこれ訴え出した。
閻魔さまのことは、ゲゲゲの鬼太郎で見たからかな? 引越しのことは、なんでそんな風に思ったのか分からないけど、りょうちゃんには、「りょうちゃんは、いつもとても優しくて、今日も小さい子に親切にしたり、お友達にオヤツあげたりしたし、いつもママのお手伝いをしてくれるし、学校でも勉強を頑張ってるし、お友達とたくさん遊んでニコニコしてたり、楽しいこともいっぱいあるし、そうやって、優しい心、楽しい心、良い心をたくさん持ってる子は、絶対に地獄になんて行かないんだよ。りょうちゃんみたいな良い子は、必ず天国に行くんだよ。だから、安心してね」と、とにかく、りょうちゃんに分かる言葉で説明した。
引越しのことも、ママがりょうちゃんを置いて引越しするなんて絶対にないし、この家は買ったんだから、どこにも行かないよと話したら、なんとなく安心したようで、その後は、わりとすんなり眠ってくれた。
りょうちゃんは、3年くらい前に、「死ぬのが怖い」と毎日のように泣いてた時期があって、でも最近は、あまりそういうことを言わなくなってたんだけど、ニュースで子どもが亡くなる事件の報道を見たり、色々なことが重なって、また「死ぬのが怖い」「死んだらどうなっちゃうんだろう」という気持ちが出てきたのかもしれない。
それにしても、りょうちゃんの言葉があまりにショックで、夕べはなかなか寝られなかった。
りょうちゃんが生まれた時、自分は、少なくともりょうちゃんが大人になるまでは、絶対に死ねない、と思ったけど、同時に、りょうちゃんを死なせないことにも心を砕いてきたし、当然、今も気をつけている。それでも、世間では、どんなに気をつけてても子どもが事故や事件や災害に巻き込まれるニュースは後をたたなくて、それは防ぎようもない場合もあり、あとは、本人の運としか言いようがない。
ママにできるのは、りょうちゃんが幸せに長生きしてくれるよう祈ることだけだけど、どれだけ強く願ってるか、できることならりょうちゃんに、ママの心を取り出して見せてあげたいな。そうしたらきっと、りょうちゃんも、今よりは安心してくれるだろうから。