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059cut:野中郁次郎先生の取材

2019-04-20 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
059cut:野中郁次郎先生の取材
――Scene08:SSTプロジェクト折り返し
影野小枝 野中郁次郎先生が若い先生2人をお連れして、SSTの取材にいらっしゃいました。社長室には漆原さん以下SST事務局3人も同席しています。野中先生と社長は、懐かしそうに親しくお話をしています。
社長 では河野くん、SSTをご紹介してもらえるかい。
影野小枝 河野さん、汗びっしょりで説明を終えました。
野中先生 最初にマニュアルを放棄したのは、象徴的なできことだね。形式知からの決別をして、暗黙知に特化しようとの強い意思を感じ取ることができる。
影野小枝 河野さんたちは、野中先生のおっしゃる「形式知」「暗黙知」という言葉は初耳です。何度か登場している単語ですが、大切なポイントなので、筆者に説明していただきましょうか。
筆者「形式知」というのは文字や言葉になった知のことです。代表格としてはマニュアルやデータベースがあげられます。SSTはまず、これを廃棄したのです。「暗黙知」は文字や言葉に表しにくい知のことで、スキル、ノウハウ、名人芸が代表格といえます。SSTはこの名人芸の移植に特化した、プロジェクトなわけです。
野中先生 多くの企業はナレッジマネジメントと称して、成功例などを蓄積していますが、それを実践に移せるか否かが問題なのです。SSTは移転に時間のかかる「暗黙知」に着目した、稀有なプロジェクトです。23%アップのグラフを見ても、効果はじわじわと出てきていますね。これが「暗黙知」の特質なのです。
影野小枝 その後、野中先生は雑誌『プレジデント』に、SSTの記事を2回に渡って連載されました。タイトルだけご紹介しますね。
・「暗黙知の共有化で売る力を伸ばす・R製薬のSSTプロジェクト」
・「これが知の営業・成功のノウハウだ・R製薬のSSTプロジェクト」
岸本 この連載が出て以来、私は河野さんと磯貝さんへの、取材依頼に振り回されました。製薬会社はもちろん、有名な会社からも依頼がきました。SSTプロジェクトは、知らないうちに、暗黙知に特化した初めてのプロジェクトとして、世間に認知されはじめたのです。


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