山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

123cut:A社のゴジラ・キャンパス

2018-07-21 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
123cut:A社のゴジラ・キャンパス
――Scene18:帰ってきたビリーの挑戦
影野小枝 A社のゴジラ・キャンパスが終了を迎えました。ちょっとのぞいてみましょう。
磯貝 みなさん、ゴジラ・プロジェクトは終りました。6回のプログラムはもちろんですが、ゴジラ・キャンパスで「桃太郎の謎に迫れ」からはじまり、「面白看板を探せ」「消えゆく風景を撮れ」などの課題に、まじめに取り組んでいただきありがとうございます。みなさんはCPプロジェクト卒業者として、今後は株式会社コラボプランのホームページ「めんどうかいキャンパス」で、積極的な知の交流をしていただくことになります。
小乃 「めんどうかい」っておかしな名前ですが、面談・同行・会議の頭の文字を重ねたものです。「めんどうかいキャンパス」には、さまざまな会社の人たちが参加しています。すべてハンドルネームを使っていますので、会社名も個人名もわかりません。ただし全員がCP受講者ですので、安心して参画してください。
磯貝 それではこれから終了式を行います。まずはCP社代表の漆原からお願いします。
漆原 半年間みなさんは、熱心によくがんばってくれました。「ゴジラ・プロジェクト」は、古い体質をみごとに打ち壊し、新たなカルチャーを醸成しました。さきほど小乃から報告があったように、半年間でみなさんの担当したMRは2ケタアップの実績を上げました。非受講者の平均値はマイナス4%だった現実を考えると、これは画期的なことです。みなさんの暗黙知は確実に、育成対象MRに移植された、と断言いたします。ありがとうございます。
A社事務局長 CP社から学び、実践した仲間から学び、みなさんの力でMRのレベルアップを成し遂げました。素晴らしい成果を上げていただき、ありがとうございます。MRの意識と行動が大幅に改善されたのは、2度目のアンケート結果に明白に表れています。意識の質、行動の質を高めれば、結果は自ずから着いてくる。CP社の教えにしたがい、私たちはひたすらMRの意識と行動に着目し続けました。多くのMRは「仕事が楽しくなった」といっています。この言葉は「ゴジラ・プロジェクト」の、大切な財産になりました。
A社社長 最終報告を聞いて、びっくりしています。みなさんは本当によくやってくれました。CP社が第1回目に、みなさんに与えた課題が「桃太郎の謎に迫れ」でしたね。正直にいうと、そんなことを1か月考えて何になる、と心配していました。でも「ゴジラ・キャンパス」でのみなさんのやりとりを見ていて、「ゴジラ・プロジェクト」成功の確信を持ちました。みなさんが知っている世界の中に、違う文脈が入りこんできました。そしてみなさんは「考える」世界を学びました。これが漆原さんがいちばん最初にいった「人間系ナレッジマネジメント」の原点だったのです。なぜ家来がイヌ、サル、キジなのか。ネコではダメなのか。家来が出てくる順番はどうなっているのか。そんなことを考えたことのある人は、いないと思います。さっき漆原さんと話していたら、今度は「花咲爺」をやるといっていました。みなさんの成功を次なるステップにつなげるために、終った本日から2組目の「ゴジラ・プロジェクト」のスタートを決めました。先輩として、次に参加する営業リーダーへの支援をよろしくお願いします。
影野小枝 終りましたね。受講者がやってきて、漆原さんや磯貝さんととハグしています。泣いていますね。さすがに小乃さんは女性ですので、握手だけのようです。みなさん「ありがとう」と告げて、帰って行きます。私も思わずもらい泣きしてしまいました。

知だらけ041:「読書メモ」の取り方

2018-07-21 | 新・知だらけの学習塾
知だらけ041:「読書メモ」の取り方
――第3講義:読む
私も書評を書いてみたい、という人はたくさんいます。しかしなかなか、まとまった文章にはできません。そんな人のために、塾長の書評を書くプロセスをお教えします。

JECS『思考停止企業』(ダイヤモンド社)を読み終えました。当然「WINKS」の記号や書きこみが施されています。読み終えて最初にすることは、帯がついていたら「帯コピー」を読みます。そして読後の所感と、コピーを照合します。

◎帯コピー
・本音のナレッジマネジメント実践ドラマ
・その日、会社の神経細胞が繋がり始めた
・リアルな組織の復活劇で読み解く変革実践書

ビジネス書を読むときは、およそ次のような見出しに所感を書きこむことにしています。

◎読書メモ
舞台:精密機械部品メーカー。従業員2300名の大企業
背景:業績不振
課題:社長から2年後に20%アップを厳命された
展開:プロジェクトチームが立ち上げられる
物語:
・第1ステップとして、営業革新にテーマを絞る
・ノートパソコンとベストプラクティスの導入を決める
・営業からの評価が高まる
所感:
・ナレッジマネジメントと謳っているが、「システム系」の一般的なもの
・新規性はない
・もう少しシステムを活用する側(営業マン)の現状に触れてもらいたい
・この人たちは「人間系ナレッジマネジメント」をご存知なのだろうか
(読書メモ2005.09.29)

ここまでが1冊の本を読んだときの、私の「読書メモ」です。これだけのメモがあると、書評を書くのは容易です。塾長は常に本の間にA4用紙を折りたたんでいれておくか、または書店からもらったブックカバーを裏返して本のカバーとしています。そこに前記の手順で書きこむだけのことです。

「読書メモ」の最後は、メモを書き上げた日を記入し署名をします。メモは捨てないで、本にはさんだまま書棚に納めます。時間を経て本を取り出しても、メモがあれば鮮明に内容を思い出すことができるわけです。事例に示した著作は、「山本藤光の文庫で読む500+α」で取り上げていません。

 外国の小説を読むときは、登場人物の名前で苦労させられます。このときは片っ端から名前のメモをし、愛称や続柄や職位までも書きこみます。ビジネス書の書評は比較的容易なのですが、外国の小説は時代背景でも苦労させられます。

質を測る066:ひと昔前の会議

2018-07-21 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る066:ひと昔前の会議
――第6章:会議道・面談道
◎ひと昔前の営業会議まとめ
・会議の日はきまっているが、会議案内がない
・ダラダラと会議がはじまる
・営業リーダーが一方的にしゃべりまくる
・それぞれの部下に先月の報告をさせる
・今月の積み上げを時間をかけて実施する
・「おれが」の一人称を連発する
・明日の糧になることが見つからない
・会議終了の時間がわからない
・会議が終わったら、上司の馴染(なじ)みの店に連れて行かれる

 こんな会議はたまりません。CP(コラボプランの営業リーダー研修)導入会社では、第1回目に受講者が「会議案内」を持参してくることになっています。我流のオンパレードで、首をかしげたくなるものが数多くあります。CPは通常毎月1日×6回コースですので、3回目あたりから見違えるほど良質なプログラムに変貌(へんぼう)します。なにが変革したのか、受講者の声を拾ってみます。

――「積み上げ」「先月の活動報告」は、個別面談でやることにしました。お陰でディスカッションの時間を、とれるようになりました。
――静かな落ち着いたところで開催すると、雰囲気がさまがわりすることを実感しました。
――会議での役割分担により、全員参画の会議になりました。
――司会を営業担当者にしたため、会議準備を営業担当者といっしょにしています。営業担当者に責任感が生まれました。
――ディスカッションでは、ファシリテーターに徹していますが、しゃべりたくてムズムズしています。


企業が放つ不発弾:めんどうかい118

2018-07-21 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
企業が放つ不発弾:めんどうかい118
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
ざっと企業の放つ不発弾と不燃物のコストを計算してみたいと思います。

検証されていない定期人事異動:250万円×100人=2.5億円
定期集合研修+研修所維持費=1億円
ぶらさがり営業担当者:500万円×50人=2.5億円
部下育成できない営業リーダー:700万円×20人=1.4億円
活用されていない支店の会議室、応接室:1億円
活用されていない営業向けシステム、データベース:1億円

 営業リーダーには、「人間系ナレッジマネジメント」の勉強を徹底的に叩きこみます。ちなみに、コラボプランの「コラボレーション・プロジェクト」(CP)は、半年間(月に1回×6)かけて営業リーダーのレベルアップを図ります。

私が紹介した企業の不発弾・不燃物は、年間で約10億円になります。私たちはその予算で、営業リーダーのスタッフを雇うことを提案しています。また「CP」に投資すべきだとも、ぬけぬけと申し上げています。

営業リーダーの70%は、「多忙でこれ以上同行する時間がない」と答えています。同行の阻害要因はどこにあるのでしょうか。企業は検証しなければなりません。

町おこし183:温泉郷推進室

2018-07-21 | 小説「町おこしの賦」
町おこし183:温泉郷推進室
――『町おこしの賦』第6部:雪が溶けたら18
 標茶町役場の一室に、「標茶町温泉郷推進室」の看板が掲げられた。本日が第一回目の会議である。瀬口恭二と宮瀬幸史郎の顔もある。責任者の斉藤観光課長から、温泉郷構想の具体的な説明がなされた。
「オープンは三年後の九月一日。それまでに、客室百超のホテルを四軒建設します。観光客向けの商店は、当面二十軒を予定しています。ここまでで何か質問はありますか」
 恭二が手を上げた。
「藤野温泉ホテルの客室数は五十ですが、増築するなりの対応が必要ですか?」
「そこまでは検討していません。四軒並べることが現状での最大の課題です」
「四軒のホテルをフル稼働させるための、具体策をおうかがいしたいんですが」
 幸史郎は、北村広報課長の方に顔を向けて質問した。
「団体客を集めるための方策を、現在検討中です。大手旅行会社への働きかけを含めて、修学旅行や同窓会なども誘致したいと考えています。あとは新聞などのメディアの活用と、テレビコマーシャルも念頭に入れています。そのほか駅などでのポスター掲示なども、視野に入れています」
 恭二は、また手を上げた。
「温泉を訪れる客のウエイトは、団体よりも個人が増えているという話を耳にしています。個人客に向けた有効なメッセージも必要だと思います」
「個人客の誘致には、観光資源と料理を含めたホテルのもてなしが重要になります。見る、体験する、食べる、を満喫していただくしかけは大切でしょうね」

 北村の話を引き取って、斉藤が続けた。
「これは過去にない、標茶町の大事業です。町民の一人ひとりも、観光客誘致の大使になってもらわなければなりません。先日議会で承認されましたが、冬場対策の一環として、『おあしす』に温水プールを建設することになりました」
 恭二は初めて聞く構想に、驚きを隠せない。手を上げて、質問する。
「冬でも活用できる温水プールは大賛成ですが、規模とか併設施設とかはどうなっていますか?」
「五十メートルで八レーンの競泳大会が可能なサイズです。二階には、スポーツジムとサウナとシャワー室を予定しています」
 
宮瀬町長は力強く、標茶町を引っ張っている。恭二の脳内に、標茶町の地図が広がる。まだ白地図だったが、「おあしす」と温泉郷の部分に、淡い色が浮き出てきた。
恭二は力になりたい、と思った。ホテルと商店街の誘致は、恭二の役割になった。ここに固有名詞を書きこむのが、恭二に期待されている役割だった。


妙に知180421:筒井康隆『読書の極意と掟』

2018-07-21 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180421:筒井康隆『読書の極意と掟』
▼午前2時。書斎の温度計は30度。猛暑は続く。関西の被災地を思うと、胸が痛む。そんなときに、自公はカジノ法案成立に邁進。今の政権は完全に腐っている。しかし野党がアホなので、政権の支持率が下落現象を起こさない。▼筒井康隆『読書の極意と掟』(講談社文庫をゲット。新刊だと思って購入したが、『漂流・本から本へ』(朝日新聞出版)を改題して文庫化したものだった。筒井康隆誕生の原点を知る良書である。
山本藤光2018.07.21