山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

115cut:パクられた

2018-07-13 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
115cut:パクられた
――Scene17:終りのはじまり
影野小枝 漆原さんと片岡さんは、K社を出て喫茶店にいます。
漆原 片岡さん、すみませんでした。負けたのは私のせいです。
片岡 どうしちゃったんですか?
漆原 Q社はうちの提案をパクったんです。うかつでした。先日Q社に呼ばれて、私がしゃべってしまったんです。
片岡 今回のプレゼンの内容をかい?
漆原 そうなんです。先方が製薬会社とは縁がないので、というもんですから、ついつい気をゆるしてしまいました。まさか、コンペのライバルだったなんて……。
片岡 ちくしょう、やられましたね。
漆原 すみません。あいつらを信じた私がバカでした。これから抗議に行ってこようと思います。
片岡 ムダです。そんなことをしても仕方がない。いい勉強になったと、さっさと忘れてしまいましょう。
漆原 この業界は怖い。あんな大きな会社が、汚いことをするなんて、思ってもみなかった。

新・知だらけ033:読む本を選ぶ

2018-07-13 | 新・知だらけの学習塾
新・知だらけ033:読む本を選ぶ
――第3講義:読む
よい本を読みたい。誰もが願うことでしょう。良書を選ぶのは、結構難しいことです。名作については、あふれるほどのガイドブックがあります。そのなかでぜひ読んでいただきたいのは、次の著作です。

・モーム『世界文学読書案内』(岩波文庫)
・モーム『世界の十大小説』(上下巻、岩波文庫)
・ナボコフ『ナボコフの文学講義』(上下巻、河出文庫)
・篠田一士『二十世紀の十大小説』(新潮文庫)
・『新版ポケット・日本名作事典』(平凡社)
・『近代日本文学案内』(岩波文庫別冊)

「山本藤光の文庫で読む500+α」は、これらの著作で推挙されている作品のほとんどを網羅しています。

新刊文庫の検索をしたい場合は、ネット「ほんのひきだし」が便利です。このサイトは、発売日順や出版社別に検索することができます。

雑誌では「ダ・ヴィンチ」と「本の雑誌」が広く良書を紹介しています。特に「本の雑誌」は書評家が厳選しているので、比較的推薦作にアタリが多いように思われます。

老齢期向けには、斎藤孝『50歳からの名著入門』(海竜社)や勢古浩爾『定年後に読みたい文庫100冊』(草思社文庫)などがあります。ちょっと背伸びしなければならない本が、混じっています。しかし丸くなりつつある背中を伸ばすには、格好のラインナップだと思います。

老齢期をつづったエッセイでは、早川良一郎『散歩が仕事』(文春文庫、山本藤光の文庫で読む500+α推薦作)が秀逸です。

質を測る059:育成同行の威力

2018-07-13 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る059:育成同行の威力
――第5章:同行道
「接点同行」には、意外な落とし穴があります。1日に3人のM
Rの担当先を、駆け回っている営業リーダーがいました。その営
業リーダーの1日を再現してみます。

08:30-10:00 内勤
10:00-11:00 Aくんのところへ移動
11:00-13:00 Aくんと同行
13:00-13:30 昼食
13:30-14:30 Bくんのところへ移動
14:30-15:00 Bくんと同行
15:00-16:00 Cくんのところへ移動
16:00-16:30 Cくん同行
16:30-17:00 オフィスへ移動
17:00-18:30 内勤

 よく働く営業リーダーだと思います。リストのなかの「移動」
の文字を合算してみてください。なんと4時間も移動に費やして
いることになります。営業担当者とともに移動しているのなら、
車中で彼らのモチベーションを上げることは可能です。しかしこ
の営業リーダーの場合は、単独で移動しています。とてつもなく
非生産的な時間なのです。一見よく「同行」していると見える営業
リーダーには、こんな落とし穴もあるのです。

顔からツララ:めんどうかい110

2018-07-13 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
顔からツララ:めんどうかい110
――第7章:その他の効果的な同行
◎同行ものがたり

 北海道の冬道は怖い。同行中に4回ほど、事故に遭った。いずれも大事に至らなかったが、スリップした車からのもらい事故だった。
 部下の運転で、高速道路に乗った。途中までは見通しがよかったが、突然地吹雪に見舞われた。まったく前が見えない。おまけにワイパーが凍り付いて、機能しなくなった。
「課長、どうしましょうか?」
「ゆっくり前に進むしかないだろう」
 運転席と助手席の窓を開け、身を乗り出して自分たちの位置を確認した。停まると、追突される恐れがある。
 20分ほど車を走らせた。地吹雪が止んだ。部下の肩を叩きながら、「無事でよかったな」と告げた。2人の顔には、何本ものツララが垂れ下がっていた。私と部下は、お互いの顔を見ながら笑った。

新人の加入は、「大きな負担だけれどチャンスだ」と答える営業リーダーがたくさんいました。「新人育成をチーム会議の議題としました」と、胸を張った人もいました。

町おこし175:どん底って

2018-07-13 | 小説「町おこしの賦」
町おこし175:どん底って
――『町おこしの賦』第6部:雪が溶けたら11
二月になった。暦がめくられるのを、心待ちしていたかのように大雪が降った。恭二は、釧路のハローワークに通い続けている。希望の仕事は、見つからないままだった。留美からは何の連絡も入らなかったし、詩織とも一度も会っていない。無職のままで、春を迎えてしまうかもしれない、という焦りが出てきた。

釧路からの帰りの電車で、恭二はばったり詩織に会った。詩織は藤野温泉ホテルの備品を、買いに行っての帰りだった。
二人は誰もいない、ボックス席に座った。開口一番、詩織はいった。
「水臭いわよ、恭二。帰ってきているのは、コウちゃんから聞いていた。でも私から連絡するのは、恭二に失礼かと思って……」
 詩織はモスグリーンの、オーバーを着ていた。くるくる回る大きな瞳に射すくめられ、恭二は言葉を失ってしまう。
「詩織とは、立派な社会人になってから、会いたかった。ごめん、連絡しなくって」
「恭二、他人を見るときに使っていた不幸の色眼鏡で、今度は自分を見ている。色眼鏡のこと、以前に注意したじゃないの」
 ずっしりと、重い言葉だった。以前は臀部(でんぶ)をくっつけて、並んで座っていた。電車のなかで、詩織と向かい合わせに座るのは、初めてだった。恭二は遠くなってしまった、詩織を思う。

「おれ、プー太郎で、彼女にも逃げられてしまった。完全なるどん底状態だよ。でもどん底って、それ以上落ちることのない場所なんだ」
「少しだけ、恭二らしさが出てきた。恭二は安っぽい、ポエムの世界が似合うのかもしれない」
 二人はこれまでの空白を埋めるように、お互いの思い出したくないことを披露し合った。詩織は別れた旦那の、暴力を語った。恭二は会社を辞めて、同居中のマンションに戻ったら、もぬけの殻だったことを話した。

「お互いに、つらい日々を過ごしてきたんだね」
 詩織は笑って、つけ加えた。
「恭二、元気を出そうね。このままだと、負け犬で終わっちゃう」
 警笛を鳴らしながら、電車は急にスピードを落とした。「エゾシカが通過中ですので、しばらく徐行します」との、アナウンスがあった。
 恭二は向いの席に座っている、詩織の目尻に薄いしわを発見した。詩織は四月で、二十七歳になる。恭二は詩織から視線を移して、小さな咳払いをした。


妙に知180713:「THERMOS」は優れもの

2018-07-13 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180713:「THERMOS」は優れもの
▼午前2時起床。2つの「THERMOS」を準備します。このグラスは優れもので、冷めない、温くならない、の特長をもっています。したがって、ひとつは入れ立てのコーヒー用。もうひとつは氷を入れた冷たいお茶用です。▼佐藤多佳子『しゃべれども しゃべれども』(新潮文庫)読みはじめる。これがおもしろい。近いうちに紹介させていただくことになります。
山本藤光2018.07.13