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山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

黄金連鎖:めんどうかい125

2018-07-28 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
黄金連鎖:めんどうかい125
――第9章:同行時の話法・ツール
 同行するにあたり、営業リーダーは「営業活動のバリューチェーン(価値連鎖)」を理解していなければなりません。営業活動を大きく分けると、次のようになります。

①知識(製品知識、情報など)
②ターゲティング(重点顧客の選定)
③アクセス(面談効率)
④ディテーリング(話法、ツールの活用、クロージングなど)

 4つがつながっていれば、その営業担当者は優秀なはずです。しかし、多くの営業担当者は、どこかの部分が弱いはずです。

 営業リーダーは4つのどこの部分が、つながっていないのかを冷静に判断します。そして、つながっていない部分を、集中的に強化しなければなりません。

 そのときに使うのが「身の丈コンピタンシー」なのです。

◎ショートストーリー

 あなたが営業リーダーであるなら、このショートストーリーに答えていただきたいと思います。

筆者「あなたの同行は、部下のレベルアップにつながっているだろうか。この観点から、5点満点で何点くらいだと思いますか?」
あなた「……」
筆者「それでは、あなたの考えるもうワンランク上の同行って何だろう?」
あなた「……」
筆者「それはいい、ぜひ実現してもらいたい」
あなた「……」

「身の丈コンピタンシー」は、1度にたくさんの質問をしてはなりません。お互いに質問項目を忘れてしまいますし、目指すものが散漫になります。1つの活動がレベルアップしたらほめてあげ、次の課題に取り組むようにしたいものです。

「CP」では営業リーダーと部下が面談し、3つだけレベルアップすべき活動項目を、決めてもらっています。1つがクリアされたら、新たなレベルアップ目標を定めるのです。

営業担当者にとって等身大の「身の丈コンピタンシー」を、データベースにしはじめた企業があります。こちらの方はすぐに実践可能なので、営業担当者にとってもとりつきやすいとのことでした。

身の丈コンピタンシー:めんどうかい124

2018-07-27 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
身の丈コンピタンシー:めんどうかい124
――第9章:同行時の話法・ツール
 企業のコンピタンシーモデルは、あまり活用されていません。活用されない理由は2つあります。データ量が多過ぎて、読むのが困難である点。レベルが高過ぎる行動モデルであるため、平均的な営業担当者には真似ができない点です。

 私たちが勧めているのは、「身の丈コンピタンシー」。営業担当者自身に、ワンランク上の活動を考えてもらうのだから「身の丈」の冠がつきます。同行現場で、こんなふうに進めるわけです。

上司「ところで、きみのクロージング力は、5点満点で何点くらいだと思う?」
部下「平均ぐらいですから、3点ですかね」
上司「では、きみが考えるもうワンランク上のクロージングって、どんなものだ?」
部下「……」
上司「時間をあげるから、じっくりと考えてごらん」
部下「顧客に買ってくださいと言えることです」
上司「それはいい。きみの4点はそれにしよう」

 4点は何でもよかったのです。営業担当者自身がそれを考え、可視化させることが大切なのです。自分がひねり出した、ワンランク上の活動です。彼ら自身が責任を持って、クリアするように努力するようになります。

 同行時に気になった活動があったら、営業担当者に「身の丈コンピタンシー」を投げかけます。またほめてあげる材料が、増えたわけです。

前回・今回・次回:めんどうかい123

2018-07-26 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
前回・今回・次回:めんどうかい123
――第9章:同行時の話法・ツール
過去・現在・未来の質問を、発展させたのが、次のやりとりとなります。こちらは、前回・今回・次回を質問します。

上司「今度の顧客は、前回訪問時にはどんな具合だったの?」(前回を質問している)
部下「パンフレットを渡したのですが、読んでももらえませんでした」
上司「それは残念だったな」(共感している)

上司「それで今回はどんな成果をねらっているの?」(今回を質問している)
部下「今日はパンフに、ラインマーカーで線を引きました。そこだけは、読んでもらいます」
上司「それはいい。今度はうまくいくさ」(賞賛している)

上司「パンフに目を通してもらったら、どうなるの?」(次回を質問している)
部下「○○を買ってもらいます。来月には、この店のトップ商品にしたいと思います」
上司「それはすごい。私も協力するから、実現しよう」(ゴールを共有している)

「PPF」は、1分間で完結する話法です。営業担当者は質問に答えるたびに、「共感・賞賛・支援」されるので、心地よく顧客訪問ができる展開になっています。

「PPF」を会議で、活用している企業があります。重点顧客の発表を、「前回、今回、次回」の形でまとめるのです。そうすると、活動の進捗状況がよくわかります。活動が未来軸に動いていたら、順調に攻略していることになるわけです。

「PPF」を顧客攻略履歴として、データベースにしている企業もあります。営業担当者の活動が理解できるので、引継ぎのときに重宝するようです。

PPF話法:めんどうかい122

2018-07-25 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
PPF話法:めんどうかい122
――第9章:同行時の話法・ツール
 部下のモチベーションを、上げる話法があります。いずれも、1分間で完結します。「CP」受講者は、盛んに活用してくれています。

 次の顧客に向かう車中でも、活用できる「PPF話法」を紹介します。「PPF」とは、英語の過去・現在・未来の頭文字です。
 初訪問の同行先だったら、こんなやりとりになります。

上司「今度の顧客は、きみが担当する以前はどうだったの?」(過去を質問している)
部下「ひどいものでした。引継ぎもなく、定期訪問もされていませんでした」
上司「それはひどいな。たいへんだったね」(共感している)

上司「それで今はどんな具合なの?」(現在を質問している)
部下「やっと話を聞いてくれるようになりました」
上司「それはすごい。がんばったな」(賞賛している)

上司「で、どんな成果をねらっているの?」(未来を質問している)
部下「○○をコンスタントに買ってもらいます」
上司「いいね、私も目標を達成するために、協力させてもらうよ」(ゴールを共有している)

 いかがですか。胸のすくような、心地よいリズムだと思います。私は営業リーダー時代に、PPF話法を発見しました。それからは部下とのぎこちない会話が、弾むようになったと思っています。 

あなたは?:めんどうかい121

2018-07-24 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
あなたは?:めんどうかい121
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
・あなたのマネジメントは、「人間系」でしょうか。それとも「管理系」ですか。考えてみましょう。

・「教える」から「育てる」へのシフト。容易なことではありません。誰をどう育てるのか、考えてみましょう。

・「命令する」「提出させる」の世界を、「考えさせる」「聞き取る」に変えた営業リーダーは、チーム内の風通しがよくなったと語ってくれました。なぜ風通しがよくなるのか、考えてみましょう。

◎同行ものがたり

 夏の函館。免停中の部下と歩いて同行した。函館は坂道が多く、汗だくの同行となった。部下は何度も「すみません」を連発した。
 
「アイスでも食うか?」
「はい」
 部下はうれしそうに笑った。アイスをかじりながら、病院へと向かった。

人間力のステップアップ:めんどうかい120

2018-07-23 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
人間力のステップアップ:めんどうかい120
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
「人間力」3要素のステップアップについて、考えてみました。3つの要素が高いレベル(第5段)で融合し、はじめてプロフェッショナル・ビジネスパースンとなります。

 仕事と日常は、説明がいらないでしょう。「知的活動」について、紹介したいと思います。 知的活動とは仕事と日常に対して、どう向き合っているかをはかるステップです。どんなによい仕事をしていても、社内だけで完結してしまっていれば、「知的活動」のレベルが低くなります。

『仕事』のステップアップ
第1段:与えられた仕事を、着実にこなすことができる
第2段:与えられた仕事に、工夫を加えることができる
第3段:新しいどんな仕事にも、十分に対応することができる
第4段:誰からも尊敬される、仕事をすることができる
第5段:自ら企画し、新しいビジネスを展開することができる

『日常』のステップアップ
第1段:楽しみながら取り組んでいる、小さな研究テーマを持っている
第2段:そのために、積極的に資料や情報を収集している
第3段:収集した資料や情報を、論理的に整理している
第4段:整理したものを、第3者に発信している
第5段:小さな研究は社会的な価値があり、新しいビジネスとなり得る可能性がある 

『知的活動』のステップアップ
第1段:知的な刺激を求め、その場へ足を運んでいる
第2段:知的な刺激を受けられる人と、積極的に交わっている
第3段:知的な人脈が、横展開されている
第4段:自らの下に、知的な刺激を求めて複数の人が集う
第5段:新しいビジネスを展開することができる 

 第5段のゴールはすべて「新しいビジネス」になっています。つまり3つの要素が完璧にこなせた場合、総合力は15段ということになります。あなたは何段だったでしょうか?

新しいビジネスとは、独立自営することだけを意味していません。社内のプロジェクトを引っ張るなど、新たな挑戦ができるという意味です。

部下の「人間力」を鍛える:めんどうかい119

2018-07-22 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
部下の「人間力」を鍛える:めんどうかい119
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
「人間系」マネジメントを究めるためには、営業リーダー自身の「人間力」を高める必要があります。人間力とは、人としての総合力のことです。仕事ができるだけではなく、魅力的な人間か否かが問われているのです。

 自分自身を磨かない上司は、部下の「人間力」は鍛えられません。次の設問に「はい」「いいえ」で答えていただきたいと思います。「はい」が多ければ、合格点です。

・自分には夢がある
・自分自身を磨くために、新書やビジネス書を月1冊以上読んでいる
・読書をするときは、赤線を引いたり付箋紙を張ったりする
・社外の優れた人と、積極的に交わっている
・社外セミナーには、自己負担で出席することがある
・定期購読している、週刊誌や月刊誌がある(マンガ以外)
・定期購読している、メールマガジンがある
・休日には、家族とショッピングに行くことがある
・家には、自分専用のパソコンがある
・家には、書斎(スペース)がある
・毎朝30分、自分の時間を持っている
・国語辞典を持っている
・手紙やハガキを書く習慣がある
・近所の人には、必ずあいさつをする
・おいしいと評判の店には、行ってみる
・第三者に向けて、継続して発信しているものがある
・施設や店のサービスには、関心がある
・写真を撮るのが、好きである
・植物をよく観察する
・キャンプやバーベキューなど、家族以外の人との交流がある
・趣味のために、投資をしている
・健康のために、継続していることがある
・大切にしている、座右の銘がある
・これまで何をしてきたのかを、明確に言うことができる
・いま何をしているのかを、明確に言うことができる
・いまの努力が将来の何につながるかを、明確に言うことができる
・わからないことがあったら、相手に質問するか自ら検索する

「人間力」については、現在コラボプランで研究中です。近いうちに、研究の成果を発表できると思います。


企業が放つ不発弾:めんどうかい118

2018-07-21 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
企業が放つ不発弾:めんどうかい118
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
ざっと企業の放つ不発弾と不燃物のコストを計算してみたいと思います。

検証されていない定期人事異動:250万円×100人=2.5億円
定期集合研修+研修所維持費=1億円
ぶらさがり営業担当者:500万円×50人=2.5億円
部下育成できない営業リーダー:700万円×20人=1.4億円
活用されていない支店の会議室、応接室:1億円
活用されていない営業向けシステム、データベース:1億円

 営業リーダーには、「人間系ナレッジマネジメント」の勉強を徹底的に叩きこみます。ちなみに、コラボプランの「コラボレーション・プロジェクト」(CP)は、半年間(月に1回×6)かけて営業リーダーのレベルアップを図ります。

私が紹介した企業の不発弾・不燃物は、年間で約10億円になります。私たちはその予算で、営業リーダーのスタッフを雇うことを提案しています。また「CP」に投資すべきだとも、ぬけぬけと申し上げています。

営業リーダーの70%は、「多忙でこれ以上同行する時間がない」と答えています。同行の阻害要因はどこにあるのでしょうか。企業は検証しなければなりません。

廃止すべき:めんどうかい117

2018-07-20 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
廃止すべき:めんどうかい117
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
 営業リーダーを鍛えると、確実に業績は向上します。ところが、多くの企業は営業担当者への研修ばかりで、営業リーダーのレベルアップは考えてもいません。これはあまりにも、もったいない話です。

 私たちは、次のことを廃止すべきだと提言しています。

「プレーイング・マネージャー」
 営業担当者をレベルアップさせたいのなら、中途半端な体制では、絶対にダメです。人間はそんなに器用ではありません。2つの職務を、完璧にこなせる人はいません。

「ムダな提出物」
 本社からは、湯水のごとく通達が発信されます。それを読むだけで、毎朝2時間ほどを要しています。意味のない通達は、同行の阻害要因のひとつです。ぜひ考え直し、交通整理をしてもらいたいと思います。

「量的管理に使う日報」
 日報には、本当のことが、書かれているのでしょうか。自分自身の役に立たない日報に、営業担当者は真剣な対応をするのでしょうか。そんな日報を分析して、何がわかるのでしょうか。

「膨大なデータベース」
 本社はさまざまなデータを、提供してくれます。ところが、営業担当者はそれを検索する時間がありません。もったいない話だと思います。

「支店・営業所の会議室、応接室」
 月に1回しか使わない会議室。ほとんどお客さんがこない応接室。もったいないと思います。営業担当者のための、知的な空間に改善できないものでしょうか。

「一律の集合研修」
 集めて、教える。もちろん、一時的な刺激は受けます。でも、持続する効果は希薄です。営業リーダーに、個別の指導してもらわなければならない時代なのです。

「唐突な同行」
 何度も指摘しているので、おわかりでしょう。

これらを廃止して浮いたコストを、営業リーダーに回します。営業リーダーには、専用のスタッフをつけ、すべての雑用を肩代わりしてもらいます。

なぜ「同行」なのか;めんどうかい116

2018-07-19 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
なぜ「同行」なのか;めんどうかい116
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
 なぜ「同行」なのでしょうか。ここを理解しておかなければ、生産性の高い同行にはなりません。私たちはここまで、繰り返し同行の意義を述べてきました。

 営業担当者の優劣を決めている原因は、「営業活動のブラックボックス」にあります。営業生産性を上げたいのなら、プロセス部分に特化した指導が必要になります。そのための最も有効な手段が、同行であることを力説してきました。

 営業担当者は企業から、均一の「インプット」(知識・情報・経費)を与えられています。ところが「アウトプット」(売上・利益)には、大きな格差が生じています。なぜでしょうか。いちばん大きな要因は、「プロセス」部分にあると断言できます。
もちろん、「インプット」部分にも、優劣は生まれます。それにも増して「アウトプット」を左右しているのは、「プロセス」部分なのです。ここはデータ解析もできず、端から垣間見ることも不可能な世界です。唯一垣間見ることを可能にするのは、営業リーダーが現場で「同行」することだけです。

「人間系ナレッジマネジメント」では、営業リーダーの仕事の中心を「現場」と定義しています。営業リーダーは、週に2、3日は「同行」しなければなりません。

 できることなら、内勤日を決めてしまいます。あとのすべては、現場で同行する。このくらい思い切った、変革が必要です。部下を支援する。プロセスを評価する。これらは、現場でなければできないことです。