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山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

もっと知力を:めんどうかい115

2018-07-18 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
もっと知力を:めんどうかい115
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
 営業リーダーは、幅広く勉強をしなければなりません。日常を磨いていない営業リーダーには、部下は育てられません。部下たちは、上司の「知力」を敏感に受け止めています。
 
 日常を磨くためには、良質の本をたくさん読むこと。そして、優れた社外の人と交わること。「気力」と「体力」だけでは、もはや部下たちは動いてくれません。「知力」とは、単なる製品知識や雑学のことではありません。一言で表現するなら、知力とは「人間力」のことです。

「おれが、おれが」の一人称に封印をし、「君はどう考える?」「きみたちの成功例を聞かせてもらいたい」の世界に、早く踏みこんでもらいたいと思います。

「CP」受講会社の支店会議で、「3シの話法を研究した」との報告がありました。思いつく限りの話法を、考えたようです。

藤本篤志『御社の営業がダメな理由』(新潮新書)に、私たちが長年唱えていることと同じことが書かれていました。心強いメッセージでした。営業リーダーの大切な仕事は、ヒアリングと同行。まさにその通りなのです。


考えさせる、聞き取る:めんどうかい114

2018-07-17 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
考えさせる、聞き取る:めんどうかい114
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
 人間系マネジメントは、「考えさせる」「聞き取る」ことが主体となります。営業リーダーは少しでも早く、「提出させる」「命ずる」の世界と決別しなければなりません。

「考えさせる」「聞き取る」には、営業リーダーの深い関与が必要となります。つまり、部下とのコミュニケーションが取れていなければ、成り立たない世界なのです。

「提出させる」は、受身の世界。「命令する」は、一方通行の世界。これらには、コミュニケーションは介在していません。

 営業リーダーが、淘汰される時代がきました。「知力」「気力」「体力」の3つが揃っていることが、新しい営業リーダーには求められています。野中郁次郎先生(ナレッジマネジメントの世界的権威・一橋大学院名誉教授)の言葉を借りるなら、イメージとしては「知的体育会系」となることです。
 
 同時に、営業リーダーには「3シ」の行動が求められています。「3シ」とは、支持、指導、支援のことです。部下がレベルアップするように、その人に最もふさわしい指導を実施するわけです。部下の仕事を、現場で支援する。そして、彼らの考えを支持するが「3シ」のポイントです。

「いいじゃないか、その考えには、賛成だな」(支持)
「私も応援させてもらうよ」(支援)
「さっきの話し方だけど、こうしたらどうだろうか?」(指導)

管理系から人間系へ:めんどうかい113

2018-07-16 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
管理系から人間系へ:めんどうかい113
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
 マネジメントスタイルを、「管理系」から「人間系」へと変えなければならない時代になりました。これまで組織力で戦ってきた企業は、社員の個別能力を高めることに軸足を移し出しました。私が提唱する「人間系ナレッジマネジメント」に、フォーカスがあたりはじめたわけです。

「管理系」と「人間系」の違いを、さまざまな角度から切り取ってみたいと思います。人間系マネジメントと管理系マネジメント(カッコ内)は、明らかに異質なものです。

①仕事に関するスタンス:率先垂範(管理)
②中心となる仕事場:現場(オフィス)
③部下指導の方法:個別(一律)
④部下に求めるもの:変革(秩序)
⑤指導の目線:未来(現在)
⑥部下との接し方:支援(指示)
⑦部下評価:プロセス(アウトプット)
⑧部下とのコミュニケーション:考えさせる、聞き取る(命令する、提出させる)
⑨活用する人称:二人称(一人称)
⑩指導の背景:ベストプラクティス(自らの経験)

 いかがでしょうか。管理系と人間系では、こんなに違っています。私は企業に対して、人間系へのギアチェンジを半年かけて指導しています。

 これらの項目は、すべて「同行道」の基本的な作法です。オフィスにいて、電話で的確な指示を与える。日報に長々とコメントを書き込む。これらも(すべて「形式知」)大切な営業リーダーの仕事ですが、部下のレベルアップには直結しにくいのが現実です。

 それぞれの項目に関して、説明する必要はないでしょう。ただし、⑨がわかりにくいかもしれません。「おれが、おれが」と言わないで、「きみはどう考えるのか」「きみたちはどう思うのか」という話し方をするという意味です。

 営業リーダーは自らの「暗黙知」(スキル、ノウハウ)を、もっと現場で発揮しなければなりません。営業担当者の70%は悩んでいます。彼らの悩みを聞き、仕事ぶりをほめてあげ、新たな方向性を明示できるのは、営業リーダーの大切な仕事です。

私は、「管理系」がダメだといっているのではありません。少しだけ、軸足を「人間系」に移すべきだと主張しているのです。なぜなら、営業担当者のモチベーションを上げるには、「人間系」のマネジメントしか方法がないからです。

育てる:めんどうかい112

2018-07-15 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
育てる:めんどうかい112
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
「育てる」方は、何よりも結果責任がともないます。部下の個性を熟知し、それにふさわしい育成プログラムを作成します。愛情を注ぎ、相手を信頼し、相手からも尊敬されなければなりません。

 それが優秀なコーチです。営業リーダーは、一流のコーチになるべきです。愛がなければ、選手は育てられません。

 個性は変えられないけれど、能力は伸ばすことができる 、との信念を持っている必要があります。ときどき部下の個性に、罵声をあびせている上司がいます。ため息が出ます。個性は変えられない、といってあげたくもなります。

育てるという気持ちを大切にすると、部下は上司の変化に気づくようです。照れくさそうに、受講者が教えてくれました。
「部下から急にやさしくなりましたね、といわれました」

教えると育てる:めんどうかい111

2018-07-14 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
教えると育てる:めんどうかい111
――第8章:人間系ナレッジマネジメント
「個人知」を、「組織知」にしましょう。営業リーダーの暗黙知(スキル、ノウハウ)を、もっと現場で活用しましょう。これが「人間系ナレッジマネジメント」の基本理念です。
「人間系ナレッジマネジメント」は、私の造語です。システム偏重のナレッジマネジメントに、警鐘を鳴らすつもりで意図的に用いています。

 勘違いしないでもらいたいことがあります。同行は、教えるための場ではありません。育てるのが目的の場です。「教える」と「育てる」の違いを、ご存知でしょうか。2つには、歴然とした違いがあります。

「教える」には、成長させるというニュアンスはありません。コーチングなどの技法も、必要としません。結果責任も発生しません。辞書的には、さとす、戒める、知っていることを告げ示すなどとなります。
 
 これまでの企業は、集合教育と称して一律に教えてきました。集合教育は若干の気づきや刺激を与えますが、その域を出るものにするのは難しいと考えます。
 
この点に関しては、経済同友会がまとめた「第14回企業白書」(1999年2月18日発表)でも明らかにされています。ちょうどSSTプロジェクトを実施しているときで、私も鼓舞されたものです。

企業は一律の社員研修を、止めるべきである。そうした前提で、次のように書かれています。
「企業はビジネスパートナーである個人に対して、自己実現の場や自己啓発プログラムの多様なメニューを提供するといった環境面でサポートに徹するべきである。企業の最も重要な役割は「場」と「機会」の提供であり、選択は個人に委ねることが望ましい」

 つまり、一律に「教える」から「育てる」へと変革すべきであるというのが、「企業白書」の提言です。「育てる」には、成長させる、教え導く、おだてる、しつけるなどのニュアンスがあります。部下のレベルに合った指導をすることから、「テーラメード指導」とも呼ばれています。

顔からツララ:めんどうかい110

2018-07-13 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
顔からツララ:めんどうかい110
――第7章:その他の効果的な同行
◎同行ものがたり

 北海道の冬道は怖い。同行中に4回ほど、事故に遭った。いずれも大事に至らなかったが、スリップした車からのもらい事故だった。
 部下の運転で、高速道路に乗った。途中までは見通しがよかったが、突然地吹雪に見舞われた。まったく前が見えない。おまけにワイパーが凍り付いて、機能しなくなった。
「課長、どうしましょうか?」
「ゆっくり前に進むしかないだろう」
 運転席と助手席の窓を開け、身を乗り出して自分たちの位置を確認した。停まると、追突される恐れがある。
 20分ほど車を走らせた。地吹雪が止んだ。部下の肩を叩きながら、「無事でよかったな」と告げた。2人の顔には、何本ものツララが垂れ下がっていた。私と部下は、お互いの顔を見ながら笑った。

新人の加入は、「大きな負担だけれどチャンスだ」と答える営業リーダーがたくさんいました。「新人育成をチーム会議の議題としました」と、胸を張った人もいました。

新人営業担当者の同行:めんどうかい109

2018-07-12 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
新人営業担当者の同行:めんどうかい109
――第7章:その他の効果的な同行
 新人営業担当者の加入は、チームを強くするチャンスです。過去3年間、1度も年度目標を達成していないチームがありました。新しい営業リーダーが赴任しました。あっという間に、チームがよみがえりました。着任した営業リーダーは、チームメンバーに次のように告げたのです。

「新人営業担当者を、みんなで育てよう。きみたちの手腕に期待している」
 そんなことでチームが変わるのか、と思われる方がいるかもしれません。新人を育てるというのは、仕事の基本を学んでもらうことです。メンバーは忘れかけていた、営業活動の基本を学び直すことになります。

 営業リーダーはチーム内から、何人かを新人の「育成同行」役として選出します。もちろん育成同行役は、優秀な人でなければなりません。新人育成の手順は、次の通りです。

①社会人としての常識を身につけてもらう
②ビジネスマナーを学んでもらう
③事務処理などを理解してもらう
④営業活動を体感してもらう
⑤製品知識を学んでもらう
⑥代理店などの機能を理解してもらう
⑦やってみせ、やらせてみる
⑧単独で活動できるか否かを見極める

 新人同行のときも、1冊のノートを用意します。営業リーダーを含めて、3人が新人育成を担当したとしましょう。指導がぶれるとまずいので、何を指導したのかを書き留めておく必要があります。いわゆる、申し送り事項を記録するのです。

 このノートは、新人営業担当者に書かせても構いません。その際のポイントは、次の通りです。

・今日発見したこと
・今日学んだこと
・今日注意を受けたこと
・明日の目標

新人をチーム全員で育てる。実際にやってみた、営業リーダーのメッセージを紹介したいと思います。
「確かにチーム内に、連帯感が生まれました」

◎考えてみましょう

新人の育成をチーム内で共有する。これは双方にとって、どんな効果があるのでしょうか。考えてみましょう。

新人の育成は上司だけの仕事。それではせっかくのチャンスを、ムダにしているだけです。チーム全員で新人を育てる機運を、作り出したいものです。

代理店との同行:めんどうかい108

2018-07-11 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
代理店との同行:めんどうかい108
――第7章:その他の効果的な同行
 メーカーと代理店の営業が、連れ添って顧客を訪問します。これも「同行」のひとつの形態です。メーカーには高い製品知識があるし、代理店は顧客ニーズを掌握しています。私も代理店の営業担当者と、何度も同行した経験があります。

 このときに大切なのは、訪問先に関する事前の情報交換です。2人が役割分担し、何としてでも攻略したい。この意思がなければ、あまり成果は期待できません。

 製薬会社の営業担当者時代を、振り返ってみたいと思います。

 代理店には、午前8時前に行くようにしていました。代理店の営業担当者よりも早く出勤し、1人ひとりにあいさつをしました。病院中心の活動だったため、開業医は代理店の協力が必要だったのです。他社の営業担当者がこないうちに、情報交換をする必要がありました。
 
 重点開業医のほとんどは、優秀な代理店の営業担当者が担当していました。そんな関係で、長く話しこまなければならない人は決まっていました。必然的に、彼らの顧客への訪問頻度が高くなります。彼らとは、よく酒も飲みました。彼らの訪問ルートは熟知していたので、意図的にバッタリと顔を合わせる工夫もしました。

 重点開業医とは、次の条件を満たしているところのことです。これは私の考えで大雑把ですので、もっと整理することをお勧めします。

・患者さんが多い
・自社品の大量処方が期待できる
・代理店営業担当者との連携ができる
・予想される新薬の採用の可能性が高い

◎考えてみましょう

 あなたの「重点顧客」定義とは何ですか。

顧客リストのなかから、重点顧客を選ぶことは大切です。「選択と集中」と書けば、理解していただけると思います。仕事に優先順位をつけるためにも、そしてメリハリをつけるためにも、この作業は軽視できません。

メーカーと代理店との同行は、双方に新たな発見が生まれます。お互いの強みを知ることで、仕事に広がりをもたらします。

引継ぎ同行:めんどうかい107

2018-06-30 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
引継ぎ同行:めんどうかい107
――第7章:その他の効果的な同行
 担当交代にともなう引継ぎも、「同行」のひとつの形です。もちろん本書で解き明かしている「同行道」とは意味合いが違います。

 引継ぎ同行は、前任者と後任者が一緒に行ってはいけません。
「担当交代のごあいさつにうかがいました」
 この一言で、顧客は前任者にフォーカスをあててしまいます。「どこへ行くの?」「きみにはお世話になった」などという展開になります。

 引継ぎでは、後任者にフォーカスがあたらなければ意味はありません。ところが、一緒に引継ぎのあいさつに行くと、こうなってしまいます。

 営業リーダーが、担当交代になるとしましょう。まず前任者が単独訪問して、顧客に担当交代になる旨を伝えます。次に新任リーダーがあいさつに出向きます。単独でもいいし、営業担当者との同行でも構いません。この方法なら、顧客のフォーカスは新任者にあてられるわけです。

 あるいは前任の営業リーダーが、担当交代を事前に顧客に伝え、その後2人が同行します。この場合も、後任者に目線が向くことになります。つまり唐突に新旧の2人が、担当交代のあいさつに行かないこと。それが引継ぎの鉄則なのです。

 営業担当者の引継ぎに備えて、詳細な顧客情報を書かせている企業があります。私の経験では、それはまったく役に立たない代物です。営業担当者は、自分の経験で顧客との距離を測ります。データベースに、頼ることは少ないのです。

 本社がせっせと書かせているあの情報を、有効に活用している事例があれば聞かせてもらいたいと思います。残念ながら、「顧客管理リスト」が役に立ったという声は聞いたことがありません。

後任者にフォーカスがあたる引継ぎ。ぜひ考えてもらいたいと思います。現状の引継ぎは、機能しているとはいえません。

上司の関与が重要:めんどうかい106

2018-06-29 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
上司の関与が重要:めんどうかい106
――第7章:その他の効果的な同行
 プチ同行には、もうひとつの大きな意味があります。チームの連携が強まり、知の交換が加速されます。営業担当者同士が相談し合い、活発な情報交換も生まれるようになるのです。
チーム内で実施する「プチ同行」以外にも、全国規模で考えるのもひとつの方法です。チーム内という小さな枠を超えての体験は、営業担当者にとってとてつもなく大きな刺激になります。

 ひんぱんに実施する必要はありませんが、新たな方法として理解しておいてもらいたいと思います。「プチ同行」は、営業担当者が希望していることなのですから。

「プチ同行」はSSTプロジェクトが入らなかった支店で、実際に実施されていました。実際に「成果あり」の報告がたくさんあります。

絶対にやってはならないのは、ボトム2割を「プチ同行」に組みこまないことです。したがって、部下全員に対して実施してはなりません。

「プチ同行」で大切なのは、いかに上司が関与するかです。上司が無関心で実施されると、放り投げられたとの被害者意識が芽生えます。