北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「馬が動かした日本史(蒲池明弘著・文春新書2020刊)」を読んだ。蒲池明弘(かまちあきひろ1962生れ)氏は、早大卒、読売新聞に入社。退社後、歴史/神話にかかわる出版/著述活動を始めた。歴史ライターを名乗っている。-------
この本の章立ては次の通り。“馬の日本史のはじまり”、“巨大古墳と武士の文化/関西”、“火山と馬産地/九州”、“なぜ鎌倉に武士政権が誕生したのか/関東”、“南部馬その栄光と悲劇/東北”、“将軍の牧を駆け抜けた野馬たち”-------
扉の抜き刷り文は次の通り。日本に朝鮮半島から馬が持ち込まれたのは古墳時代の中期。その軍事的/経済的なインパクトによって、この国の形は大きく変わった。水田稲作が普及した後は、西日本にあった国の軸が、東日本へと傾き始めたのだ。巨大古墳の造営/武士の誕生/武士政権の成立など、この国の歴史は馬が動かした。-------
蒲池明弘氏は、気軽な読み物として、この本「馬が動かした日本史」をお書きになったようだ。蒲池明弘氏の相当に高い日本史の知識をベースにして、日本全国に実地調査をしながら馬の文化を歴史を追って解説してくれているのだ。-------
騎馬民族征服王朝説論争で馬の去勢文化が日本に根付いていないことが、否定説の論拠となった話などが登場するのかと期待したが、これには触れておられない。また、現代の競争馬のようなサラブレッドの話も全く出てこない。面白いことは面白いが、全体的なボリュームの割りに、起承転結の無い寄せ集めの内容の本となっているのは、仕方が無いのだろう。------
これまでに見聞きしてきた日本の馬の歴史としては、かなり纏まった新書となっているのは確かだ。魏志倭人伝によれば邪馬台国には馬はいなかった。でもその後、馬の輸出国になると記紀に書かれていることを紹介されている。
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