奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その296)

2017-06-16 01:04:28 | 奈良・不比等
世界遺産・古都奈良の興福寺では「平成の中金堂法相柱・柱絵の特別展示(平成29年6月13日~7月2日)」を開催している。来年(平成30年)、興福寺中金堂は天平伽藍の規模で落慶予定であり、現在中金堂内部の荘厳(しょうごん)を進めて居るところだとか。画家の畠中光享氏に依頼して書き上げられた法相宗の14人の祖師の図版が完成し、柱絵として再建中金堂の列柱の内の1本の法相柱に貼り付ける前にじっくりと観賞できるように興福寺・三重塔の西側の興福寺会館に展示されている。-----
14人の内訳は4人のインド人と4人の中国人、そして残り6人が日本人である。インド人4人の内、無着菩薩と世親菩薩は特に有名である。また、中国人4人の内、三蔵法師は勿論知らない日本人は居ないだろう。彼(か)の女優・夏目雅子(1957~1985)のTVドラマ当り役であった三蔵法師のお姿とは全く似て居ないので少しばかり残念に思う人も多いことでしょう。残りの6人の日本人の中では歴史に名前の出てくる玄昉(げんぼう)僧正は知っている人も多いだろう。
日本画家の畠中光享(はたなかこうきょう1947年生れ)氏は、大谷大学文学部を卒後、京都市立芸術大学専攻科を修了されている。画風は日本画なので線画を基本としており、アニメチックであったり、週刊朝日の山藤章二の似顔絵っぽい気もするが、それもご愛嬌であり、江戸時代から数百年振りに再建される興福寺中金堂の荘厳の一つになることはそれはそれで賑やかで良いのではないかと思う。------
北円堂の有名な運慶作・無着世親立像は中国風の御顔をされており、インド人なのに可笑(おか)しいのではと思っておられた畠中光享氏は自身の考え通りに柱絵ではしっかりとインド人の風貌を無着世親菩薩に与えている。-------
興福寺境内ではこの時期(6月)修学旅行生の姿を多く見掛ける。男女5人づつで計10人で周(まわ)っている中学生らしきグループの一人が「国宝が多過ぎる一体どれだけ国宝があるんだろう」との会話が聞こえてきて、子供達は素直に感心するんだなと思った。余計な事かも知れないが、世界遺産・古都奈良の興福寺は日本で一番に国宝を沢山保有している寺院だからだよと云ってみたくなったが自重した。-----
来年(平成30年)以降に修学旅行に訪れる子供達は平成の再建中金堂の煌(きら)びやかな姿にどのような感想を持つのだろうか。興福寺の中で国宝の一つも無い堂宇になって仕舞うが如何。
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