炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

脳神経細胞の新生とは

2008-09-14 12:09:21 | Weblog
ニューロンが発見されたのは19世紀末、1906年にノーベル賞を受賞したスペインのラモニ・カハールによるもので、脳神経細胞の数は幼児の頃最大になり、その後は消滅する一方、決して再生しないと考えられていた。1998年11月にヒトの脳の中にある海馬という部分で脳細胞が新生されていることがスェーデンのエリクソンとアメリカのゲージらによって報告された。追証も行われ、100年にわたる定説が覆されている。

海馬での脳細胞の新生は、脳全体に影響を及ぼし記憶機能の重要な役割をはたしているという。加齢と共に脳神経細胞は消滅の一途を辿るものと信じていた私にとっては朗報である。調べてみると適当な運動、思考などの脳活動、栄養素の補給などが脳神経細胞の新生にいいといわれている。インターネットで検索すると緑茶のテアニンが栄養素として効果があるという。これが正しければ、こよなく緑茶を愛でたい。日本人が長寿であるということは、緑茶に効果があるかもしれないという思いが頭の中をよぎる。

ところが海馬の脳神経の新生、ヒトの生活のいかなる時に最も活発に行われるかということは、調べてもよくわからない。調べ方がよくないこともあるが。
そこで想定してみることにした。想定のことを仮説といいたいところであるが、脳科学者ではないので、一歩下がってそこまでは踏み込まないことにする。
脳神経細胞の新生は、眼球さえ動くことのないノンレム睡眠の熟睡中に最も多く行われるという想定である。ノンレム睡眠は数時間継続し、脳波も周期の遅い緩慢な波形が観測される。脳の活動を停止して脳の神経細胞が更新されると考える。海馬は記憶に重要なかかわりがあることから、熟睡中の脳神経細胞が新生する際に欠陥を持ち込むことは好ましくない。従って一切の思考を排除して神経細胞の新生をすると推定する。

熟睡の後には眼球が動くレム睡眠が続く。夢を見ている状態である。何故夢をみるのかということは、有名な精神分析学者フロイドなどにより古くから研究の対象となっている。
さらに仮説とまでいえない想定をつけ加えよう。夢は、新生した脳神経細胞の活性化を促すという想定である。つまり古くから存在する脳神経細胞の記憶経路構成と新生した神経細胞の整合を行う作業が夢とみなしてはどうだろうか。とんでもないことが夢の中では起こる。古い神経細胞と新生神経細胞との整合性が整わないためと解釈できる。
長距離トラックのドライバーが熟睡する仮眠をとったあと夢もみるいとまもなく運転にもどると事故を起こし易いといわれている。夢を見ることで整合性のある脳神経細胞の経路構成が整っていないと考えられる。熟睡直後にタタキ起こして心理的なテストをすることで、この想定が検証できるかもしれない。

ここまで書き進めたところで、心理学を研究している知人にこれを読んでもらったところ、コメントがあった。脳波の実験の合間、夢について調べてみたそうである。脳波を観測しつつ、ノンレム睡眠から明らかにレム睡眠に移行したところで、タタキ起こして夢の内容を聞き取ったという。一人の被験者にこれを何回か実施したところ疲労困憊したそうである。熟睡したにもかかわらず疲労するとは、夢を充分見なかったからというのでないか、という所感を得たそうである。

また、あるとき瞑想を研究しておられる心理学者に「瞑想とはいかなる状態ですか」と伺ったことがある。「瞑想とは何も考えないことです。無想です」といわれた。あるいはこの瞑想の中でも脳神経細胞の新生が行われているかも知れない。

緑茶を楽しみながら、瞑想にふけること、それは脳神経細胞の新生にこよなくすぐれ、長寿に結びつくかもしれない。これは茶道として、古くから日本伝統文化として継承され続けている。ただし、この「道」には適当な運動は必ずしも伴わない。茶席が行われる前後に広大な庭があれば、そこを散策するのもいい。
(脳)

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