炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

方程式

2008-07-08 10:19:28 | Weblog
方程式とは数学用語であるが、恋愛方程式とか勝馬方程式などのワケのわからない派生語がある。
方程式という用語にいささか違和感があるので調べてみた。

方程式は、中国西暦紀元前50年頃に編纂されたといわれている「九章算術」が起源である。調べてみると「九章算術」とは9つの章からなる算法をまとめた書である。
次に八章の「方程」の冒頭にある問題をわかり易いように翻訳して提示する。
――――――――――
上、中、下の稲束がある。
上三束、中二束、下一束から三十九斗の実がとれ、
上二束、中三束、下一束から三十四斗の実がとれ、
上一束、中二束、下三束から二十六斗の実がとれた。
それぞれ上、中、下の稲束の一束から何斗の実がとれるか。
――――――――――
という問題である。斗とは体積の単位でおよそ十八リットルである。
数学的な表現を借りると「三元一次連立方程式」である。興味がある方は、解答を行ってみてはいかがであろうか。
方程式の方程とは、「方」の並べるという意味と「程」の順序よく積み上げると言う意味からなる熟語である。従って本来の古書の「方程」とは、「連立等式」のことである。
ところが物理学などでは連立していない等式も方程式といっている。例えば波動方程式がある。波動方程式は等式であるから「方程式」にはそぐわない。

違和感を持ち始めたのは、英語では方程式のことをEquationというから「等式」であることに始まる。方程式、正確にいうと連立方程式のことを英語では複数形にして Equationsと表現する。
方程式と表現すると、いかにも格調が高く聞こえることから、恋愛方程式なる派生語が生まれる。恋愛連立等式ではサマにならない。
いま一つ私の持つ違和感は、コンピュータのプログラミングで使う「=」の記号にある。代入を意味し、必ずしも等式として扱わない。ただし条件文の中では等式として扱う。プログラミング初心者には混乱をもたらす。これはコンピュータ・プログラミング界のことであるから、直接ここでの話題とは関係がないが、つけ加えておくことにする。
「方程式」を「等式」と呼び、「連立等式」のことのみ「方程式」という提案をしても、いまさらなにをいうかと数学とか物理など学界から無視されるであろう。このことを方程式として立ててみれば容易に解ける。
 しかし、この提案を中学とか高校の教科書に採用していただければ、式の意味が明確になるので数学キライが減少するかも知れない。
(応)

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2 コメント

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等式、恒等式、方程式 ()
2008-07-09 21:47:28
等式、恒等式、方程式の定義についての自らのコメントである。
数学では、変数にいかなる値を入れても成立する等式のことを恒等式、変数に任意の値を入れることのできない等式のことを方程式と定義している。
ただし英語では、Equationのみである。
恒等式とは方程式の特別な場合と考えれば等式で統一してよいと考えられる。
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Expression, Equation, etc. ()
2008-07-11 11:45:53
 変数を演算記号で結んだものをExpression(直接的に言うなら「表現」、日本流に言うなら「式」)、二つのExpressionを等式記号で結びつけたものがEquationです。私は、これを等式関係(一つの2項関係ですから)と呼び、方程式とは違えて呼んだりしました。しかし、たとえば「連立1次方程式」と言うように慣例がかなり定着してしまっているものは「方程式」の用語を使ったこともあります。
 ついでに「函数」も「関数」も日常感覚的にはよくわからない言葉ですね。私は、厳格に言うときは写像関係と言っています。しかし、「写像」も日常用語には縁遠いかもしれませんね。
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