青さんの「珍論奇説(その4)-私の輪廻論」の最初の部分に「物質とはなんですか」という問いに対して「エネルギーだ」という答えは、まことに絶妙であり、考えさせられている。「なるほどそうかも知れない」と思うし、「いやまてよ、そうかな」とも疑問を持つ。
そこに届いたのが、友人から送られてきた「重力波をつかまえろ」という読売新聞2月6日、サイエンス記事の切り抜きである。アィザック・ニュートンが、物質があれば、そこに引力すなわち重力が存在することを提示したことは、万有引力として知られている。しかし物質があれば重力がどうして発生するのか、いまだに科学的に解明されていない。
この万有引力の原理によれば、物質の量が変化すると重力が変化する。最近になって噴火を繰り返し、今日のいまも霧島山系・新燃岳の噴火を予知するためにマグマ溜まりの量を高性能の重力計で測定を行っていることが報道されている。物質の質量が変化するとその変化量が波として伝搬するとすれば、それが重力波とみなされよう。しかしながら重力波の説明は、このように簡単なものではないことはおことわりしておく。
「まてよ」と思っている理由は、青さんのブログでも述べているように、アインシュタインによる特殊相対性理論をもとに示した E=mC2 として表される式も「エネルギーを持つ」、あるいは「エネルギーと等価」と解釈することができ、質量はエネルギーそのものではないと考えられる。物質が存在することで重力が存在し、重力はエネルギーを発生させるがエネルギーそのものではないことと同様である。
以上のことを踏まえると「物質は、ポテンシァル・エネルギーである」とすれば、疑問は少しばかり解ける。ここでポテンシァルとは、「可能な」という意味に解釈する。つまりポテンシァル・エネルギーとは「エネルギーに変わる可能性があるもの」とするのである。
青さんの輪廻論は、哲学的な側面があるので、そこまで踏み込むことは避けたい。
ヒトが質量として存在するときには「ポテンシァル・エネルギー」があり、そのヒトが成した業績も「ポテンシァル・エネルギー」として残る。ヒトが物質として崩壊するときには熱エネルギーとなり、約2.7ケルビンの温度(ケルビンは絶対温度の単位で、絶対ゼロ度は-273.15℃)といわれる宇宙温度に放散される。
エネルギーから物質が生成されたとすれば、物質が崩壊するときにポテンシァルを失い宇宙のエネルギーに戻されると私は解釈する。
青さんの高い業績は「ポテンシァル・エネルギー」として存続すると信じる。
(納)