炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

鉛蓄電池の並列接続で起こる問題

2009-08-07 10:57:55 | Weblog
ある重要なシステムのエンジン動力源に始動のために鉛蓄電池を使用している。安全のためにこの鉛蓄電池、つまりバッテリーは2台装備している。この2台のバッテリーは並列接続すると、同時購入したものでも並列接続したまま使用すると何となく寿命が短い。
いろいろ調べてみるとアンバランスになったバッテリーは並列接続して使用しない方がいいといわれている。インターネットのなかで「教えて」のなかでも様々な記述があるが、その理由が明らかに書かれていない。そこで精密電流計と電圧計でその理由を調べてみた。

その結果をここでできるだけわかりやすく述べたい。
結論からいうと老朽化して容量が低下したバッテリーが、未だに現役で充分働き得るバッテリーの足を引っ張り、これをダメにする。

理由を述べよう。
バッテーの充電には、エンジンなどではオルターネーターという交流発電機があり、この発電した交流を直流に変換して充電する。バッテリーが過充電とならないように充電電圧は、完全充電状態の電圧に設定されているから、充電が満杯になると電流が少なくなる。DIYショップで販売されている鉛蓄電池の充電器もこのような定電圧となるような構成になっている。
老朽化バッテリーと現役バッテリーを並列接続して充電するとどうなるだろうか。老朽化バッテリーは容量が低下しているので短時間で満杯となる。一方現役のバッテリーは容量が大きいので満杯になるまでの充電時間が長くかかる。充電器の電圧はほぼ一定のままであるから、そのまま充電を続けると老朽化した方は過充電となる。バッテリーの過充電は、その寿命を縮める原因の一つであるから、老朽化したバッテリーはさらに老朽化が昂進する。一方現役のバッテリーの完全充電に必要な充電時間が短いと不完全充電状態のままとなる。
この並列接続バッテリーでエンジンを始動するときはどうなるだろうか。老朽化したバッテリーは容量が少ないから、すぐに始動する仕事を抛棄する。そこで現役の充電が少ないバッテリーがこれに代わってエンジン始動の大電流を供給する。
エンジン停止中、何もしないときはどうだろうか。鉛蓄電池は使用しなくとも自然に放電する。老朽化したバッテリーは容量が少ないので自然放電は早い。放電すると電圧は低下する。このとき現役のバッテリーが維持している電圧より低下すると、現役は老朽化したバッテリーを救済するよう充電電流を流す。現役バッテリーは完全充電となっていないにもかかわらず、である。従ってエンジンは停止して何もしていない時にも自由放電以上の負担が現役のバッテリーにかかってくる。
このような状態の繰り返しがおこるから、現役バッテリーは充分にエネルギーを供給されないまま、老朽化バッテリーの面倒をみながら酷使される。当然のことながら寿命も短くなる。

以上が鉛蓄電池を並列接続した時に起こる事象であることが、そこそこ精密な測定を行って得た知見である。興味のある方にはデータを提供してもいい。

さて、このようなことは、どこかの国の中で起こっている現象と似ているのではないか。
(応)