今、「シナノキ」や「モリシマアカシア」の花が咲き揃っています。
<「シナノキ」>
集散花序に小さな淡黄色の花を咲かせ、下垂させます、初夏の風に香りを運ばせます。
秋には、球形の果実が熟します、果実には羽根の様な苞が着いていて、遠くに種子を飛ばす役目をしています。
”シナ” は、<支那>の字を想像しますが、<科>、<級>、<榀>の漢字を宛てています。
北海道に多く自生していて、”シナ” は、アイヌ語で<縛る>を意味して
樹皮を網や綱の材料として利用したことに由来したと記されていました。
シナノキ科、シナノキ属、落葉高木、日本原産、学名 Tilia japonica、英名 Japanese Lime
尚、シナノキ(ボダイジュ)属の仲間は、世界に分布しているそうで
「セイヨウシナノキ」Tilia europaea、「オランダシナノキ」T.vulgaris 、「オオバボダイジュ」T.maximowicziana
「フユボダイジュ」T.cordate、「ナツボダイジュ/セイヨウボダイジュ」T.platyphllos、「ボダイジュ」T.migueliana
釈迦が此の木の下で、悟りを開いた「菩提樹」は「インドボダイジュ」なので、クワ科で、シナノキ科ではないとのこと
シューベルトの<菩提樹>は、「オランダシナノキ」のこととか
秋、 小さい球形の果実が実ります、苞の羽根が、種子を遠くに運びます。
次の「モリシマアカシア」の花は、開花期の終盤を迎えます。
淡い黄白色が総状に着く集合花です、ボンボンの様です、芳香が有ります、「モリシマ」は、“森島” とも思える名前ですが
学名の Mollissima acacia からの命名とのことです。
「モリシマアカシア」は、樹冠を広げて日光を遮り、他の植物の生育を妨げるので
日本では要注意外来植物に指定してるとか、厄介者ですが、花も香りも素晴らしいのですので残念です。
似た花に「フサアカシア」(房アカシア)の花が有ります。
マメ科、アカシア属、常緑高木、オーストラリア原産、学名 Mollissima acacia
英名 Black wattle、尚、Mallissima には、“柔らかい” の意味が有るとか
若枝には軟毛が覆うからか、花が柔らかそうなので、この名前が付いたのでしょうか
不評だった「モリシマアカシア」も、最近では、樹皮の薬効、バイオマス生産能力が見直されてきているとか
マメ科特有の鞘状の果実を着けます。
本題のフトモモ科の花の最初は、「マーテル」の花です。
「梅」の花に似た花で、別名「ギンバイカ」(銀梅花)の名前の由来になっています。
特徴的なのは、五弁の花弁より長く雄蘂が突き出ていることです。
葉には「ユーカリ」に似た芳香が有ります、秋に、黒紫色の果実を実らせます、食用になります。
同じフトモモ科の「フェイジョア」の花にも似ているところが有ります。
フトモモ科、ギンバイカ属、半耐寒性常緑低木、地中海沿岸原産、学名 Myrtus commnis
英名 Myrtle、別名「イワイノキ」(祝いの木)、「ギンコウバイ」
「祝いの木」の名前は、結婚式の飾りに使うからとか、また、スウェーデンでは、女の子が生まれると
「マートル」の木を植える習慣が有って、やがて、花嫁になる時に、此の木の葉や枝で髪飾りを作って祝うとのこと
日本では、「桐」の木を植えて、嫁入り道具のタンスを作るのに似ているのかな
秋には、下図の様な実が ・ ・ ・ 食べられます。
次のフトモモ科の花は、「フェイジョア」の花です。
上に載せた「マーテル」の花に似ています、同様に、多数の雄蘂が長く伸びて目立ちます。
果実として人気が有りますが、花も綺麗なものです、4枚の花弁の内側は、赤褐色(紫紅色)、外側は、白色です。
濃緑色の葉は、肉厚で、白い毛が生えているので、角度によっては、銀白色に視えます。
花や、秋に熟す果実は、生食ができ、洋ナシの様な味がします、ジャム、ゼリーにも加工されています。
フトモモ科、アッカ属、常緑低木、ウルグァイ、パラグァイ、ブラジル原産
学名 Acca sellowiana/Feijoa sellowiana,英名 Feijoa、別名「アナナスガヤバ」
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