花を愛でる

四季折々の花を愛でます、時折、亀吉の様子も

秋の ”宝石” (5)

2020-10-26 | 植物 花

今日の <秋の ”宝石” (5)>は、同じくルビーに見立てた「オオミサンザシ(オオサンザシ)」、「チェッカーべリー」です。

<「オオミサンザシ」(大実山査子)>

「サンザシ」(山査子)とは、サンザシ属の植物全体を指す由、仲間は、100種も有るとのことですが

一般に「サンザシ」とは、中国産のクネアタ種を指すとか、近縁種には

「セイヨウサンザシ」 Crataegus oxyacantha)、「オオミサンザシ」 C.pinnatifida 等が有ります。

バラ科、サンザシ属、落葉低木、中国原産、学名 Crataegus cuneata

英名  hawthorn(ホウソン)、別名 「クラタエグス」

「サンザシ」(山査子)より大きな実(径約5cm)を着けるので此の名前が付いています。

「サンザシ」Crataegus cuneata と違い、枝に棘が無いのも特徴の一つです。

実が熟すと、真っ赤な色に変化します、5月頃に白い小さな花を多数咲かせます。

実を乾燥して、生薬(胃腸約)の原料にしたり、果実酒やドライフルーツとしても利用される由

バラ科、サンザシ属、落葉低木、中国、朝鮮半島原産、学名 Crataegus pinnatifida 、英名 Chinese haw


下図は、「オオミサンザシ」と比べて、実も一回り小さい「サンザシ」の実です。

下図は、「サンザシ」の花ですが、「オオミサンザシ」も同じ様な花を咲かせます。

余談ですが、小説<赤毛ノアン>に「サンザシ」として登場する花は

カナダ、北アメリカで「メイフラワー」(Mayflower)と称する「トライリング・アビュータス」Trailing arbutus

の花とのこと、ツツジ科の常緑低木とのことです。

翻訳者が「サンザシ」と訳した為とか、カナダ、Nova Scotia 州の州花とのことです。

下図は、其の「トライリング・アビュータス」の花 ・ ・ ・ <CC Licensed 画像>

<「チェッカーベリー」>

「チェッカーベリー」の実が赤く色着いています、紅葉する葉と、赤味を増す実を楽しみます。

此の時季には、「センリョウ」、「マンリョウ」、「ヤブコウジ」等の同じ様な実が色着きます。

「チェッカーベリー」は、這性なので、寄せ植えなどに適しています。

夏に、「アセビ」の花に似た釣鐘型の白い花を咲かせます。

ツツジ科、コーデリア(シラタマノキ)属、耐寒性、這性、常緑小低木、北アメリカ原産

学名 Gaultheria procumbens 、英名 Checkerberry 、別名 「ヒメコウジ」(姫柑子)

「オオミコウジ」(大実柑子)とか、“berry” の名前が付いているので、食べられるか思って

調べてみると、“食べられるが美味しくない、毒を含んでいる” らしいので食べない方が無難のようです。

ツツジ科の証拠は、確かに、「ツツジ」(躑躅)の葉にソックリです。

此の時期には、「チェッカーベリー」の赤い実も照り輝きます、薄緑色や白い色の若い実も次々と実を結びますので

赤色が鮮やかな実と艶やかな暗緑色の葉が美しい正月飾りになます。

夏に、「アセビ」の花に似た白い釣鐘型の花を咲かせます。

此の時季は、「センリョウ」、「マンリョウ」、「ヤブコウジ」等の綺麗な実が多く視られます。


秋の ”宝石” (4)

2020-10-22 | 植物 花

秋の ”宝石” (4) も、<ルビー>に喩えた「ビナンカズラ」、「ミズレンブ」の実にしました。

「ビナンカズ ラ」(美男蔓)の赤い実です。

秋、紅葉が始まった木に絡み付いて、緑濃い葉の間から一層鮮やかな赤い実が顔をだします。

球状の集合果が、枝から下垂します、別名「サネカズラ」(実葛)の名前も、此の実(サネ)の見事さからの命名とか

葉も濃緑で光沢が有ります、花は、夏に1cm位の雄花、雌花を咲かせますが、小さいので見落としがちです。

雄花は、花の中心に紅色の雄蕊が小球状に着き、雌花は、黄緑色の雌蕊が小球状に着きます。

マツブサ(モクレン)科、サネカズラ属、常緑蔓性本木、日本、朝鮮半島、中国原産

学名  Kadsura japonica、英名  Kadsura

別名の「ビナンカズラ」(美男葛)は、昔、枝や樹皮を水に浸して抽出した液を男性の整髪料に

薄めてシャンプーに用いた故の命名とか、美男の条件には、髪形も大切なのか ・ ・ ・ 

学名の Kadsura は、<蔓(カズラ、ツル)>からの命名とのこと

滋養強壮の生薬(五味子)は、実を乾燥したものとのことなので

毒ではないと思って生食すると、シャキシャキした食感で味が無く、見た目の美味しさとは、懸け離れたものでした。

尚、マツブサ科には、「マツブサ」、「チョウセンゴミシ」(朝鮮五味子)等の植物が有ります。

此等も、「ビナンカズラ」に似た花、実を着けます。

黒く太い木の幹をバックに小さな赤い実が輝きます。


亀吉

下図は、雄花(左)と 雌花(右)

花は、雌雄異花でクリーム色の花を咲かせますが、同じ様な花に見えますが

雄花は、赤茶色の雄蕊を集結させ、雌花は、薄緑色の雌蘂を集結させます。


 

次は、「ミズレンブ」の赤く熟した実です。

<「ミズレンブ」(水蓮霧)>

植物園の温室等では、周年、「ミズレンブ」の実を視ることが出来ますが

此の時期、赤く熟した実を露地でも視ることができます。

「ミズレンブ」は、「レンブ」(Syzygium samarangense)の仲間で、水分が多い「レンブ」なので

此の「ミスレンブ」の名前が、付いたとのことです。

蝋を塗ったような艶が、「レンブ」の英名 Wax Apple に頷けます。

<トロピカル フルーツ>として、生食ができるそうです、経験は無いのですが、林檎の風味とか

葉も綺麗なので、観葉植物としても愛でられています。

初夏の頃に、漏斗状の白や淡い桃色の4弁花を咲かせます、多数の雄蘂が、放射状に長く伸びます。

フトモモ科、フトモモ属、非耐寒性小高木、学名 Syzygium aqueum

英名 Water Apple、Rose Water Apple、別名「ジャワフトモモ」、「ミズフトモモ」、「ミズジャンボサ」

 

植物園の温室等では、周年、「ミズレンブ」の実を視ることが出来ますが

此の時期、室内で越冬させたものを、露地で視ることができます。

葉も綺麗なので、観葉植物としても愛でられています。

 

 下図は、花です、雄蘂が ”爆発” して、花弁が隠れてしまいます。


秋の ”宝石” (3)

2020-10-21 | 植物 花

今年は、「ダチュラ」の花が、未だ咲いています、夏の名残の白い花です。

 

秋の ”宝石” (3)には、「トベラ」、「ピラカンサ」、「コトネアスター」、「マサキ」の赤い実です。

宝石は、同じくルビーに喩えました、深紅の色が、照り映えます。

 

<「トベラ」の実>

「トベラ」(扉)の実も熟すと裂開して、赤い粘液が付着した種子が顔を出します。

雌雄異株で、初夏に五弁の白い花を咲かせます、芳香が有ります。

葉も光沢が有って、肉厚なのは、「マサキ」の葉に似ています。

名前の由来は、昔、魔除けの為に扉に飾ったので、“扉の木” と称したのが「トベラ」になった由

トベラ科、トベラ属、常緑低木、日本、朝鮮半島、中国原産、学名 Pittosporum tobira

英名 Japanese chesewood、別名 「トビラノキ」、「トビラギ」

次は、「ピラカンサ」の赤い実です。

<「ピラカンサ」の実>

「ピラカンサ」Pyracantha Hybrids とは、バラ科、トキワサンザシ属の総称とのことで

ヨーロッパ南部からアジア南西部原産の 「トキワサンザシ」(常磐山査子)Pyracantha coccinea

黄色で、中国南部原産の「タチバナモドキ」(橘擬)P.angustifolia 等が含まれるとのこと

以下に載せる「タチバナモドキ(橘擬)」の実に似ています。

5~6月に懸けて、白い小さな花を咲かせます。

赤い色は、小鳥達の格好の目印、種子を遠くに運びます、枝には、鋭い棘が在るので、注意

耐寒常緑高木、ヨーロッパ、中国原産


「ピラカンサ」の花は、初夏に「ユキヤナギ」の花に似た白い小さな花を咲かせます。(下図)

 下図は、「タチバナモドキ」の実

次は、「コトネアスター」の実です。

「コトネアスター」は、バラ科、コトネアスター属の 総称とのことで、多くの品種が有ります。

一般に、「ベニシタン/紅紫檀」Cotoneaster horizontalisを「コトネアスター」と呼ぶ場合が多いようです。

枝が、下垂するもの、立ち上がるもの、匍匐性のもの、常緑、落葉のものと多種に渡ります。

今日は、「ベニシタン」(「シャリンバラ」)より大きな葉と実を着け、蔓性の

「コトネアスター サリシフォルム ´オータム ファイヤー`」C.salicifolium cv.´Autum Fire`)を挙げてみました。

上に挙げた「ピラカンサ」の実に似ていますが、「ピラカンサ」には、 枝の棘や葉の鋸歯が無いので区別可能です。

バラ科、サンザシ(シャリントウ)属、中国、インド、チベット原産、英名  Rockspray cotoneaster

匍匐性のものを “建築家の友人” と呼ぶとか、また、学名の cotone は、 「マルメロ」の古いラテン語で

ーaster は、-に似る意味とか、実の形が、「マルメロ」の実と花に似たところが有ります。

下図は、「コトネアスター オータムファイヤー」Cotoneaster salicifolius ´Autumn Fire`


下図が、一般に「コトネアスター」と称される「コトネアスター・サリシフォルム」より

小さな実と葉を着ける「コトネアスター・ホリゾンタル」です。

最後は、「マサキ(柾木)」の実です。

照り映える赤橙色なので、ルビーに喩えました。

「マサキ」の果実が熟して皮が裂開すると、赤橙色の仮種を被った種子が覗きます。

対生する肉厚の葉と輝く種子を愛でます、斑入りの葉も有って、特に “金色” の斑が入った品種が人気です。

斑入りの品種には、他に「ベッコウマサキ」、「ギンマサキ」等が有るようです。

ニシキギ科、ニシキギ属、常緑低木、日本、中国原産、学名  Euonymus japonicus、英名 Janese spindle tree


6月頃、集散花序を着けて、小さな淡い緑色の花を咲かせますが、見栄えは、イマイチですが

 


秋の ”宝石” (2)

2020-10-17 | 植物 花

花屋の店先には、ハロウィン用の「かぼちゃ」が並んでいます、ジャック・オ・ランタンを作ります=再使用画像

”秋の宝石” (2)は、「ミカイドウ」(実海棠)と「ローヤガキ」(老鴉柿)の赤い実です。

<「ミカイドウ」(実海棠)>

「姫林檎」の近縁種とのこと、ルビーの様な真紅の実が、輝きます。

春には、「カイドウ」の花を大きくしたような淡いピンク色の花を咲かせます。

小さな「リンゴ」の「ヒメリンゴ」(姫林檎)よりも一層小さな実を着けます。

別名に「ズミ」(酢実)や「ミヤマカイドウ」(深山海棠)の名前も付いています。

特に、赤く色着く実の「ズミ」を「ミヤマカイドウ」としているようです。

「コリンゴ」(小林檎)の名前でも呼ばれるようです。

盆栽仕立てで、栽育する方が、多いようです。

 バラ科、リンゴ属、耐寒性落葉低木、中国原産(園芸種)、学名 Malus micromalus. 英名 Toringo crab apple

Siebold's crabapple 、別名「コリンゴ」、「ナガサキリンゴ」

下図は、初夏の頃に咲く花です、ピンク色の蕾が、開花すると白色に変色します。

次もルビー色に照り輝く「ロウヤガキ」(老爺柿、老鴉柿)です。

<「ロウヤガキ」(老鴉柿)>

小型の「柿」なので、「ヒメガキ」(姫柿)の別名が付いています、亦、蕚が長く大きいので

子供達の正月の遊具<羽根衝き>の<羽根>に似ているので、「ツクバネガキ」(衝羽根柿)の別名も付いていました。

亦、「老爺柿」の名前が付いていますが、老人の皮膚には、染みが浮くので

此の果実の皮に、黒い斑点が多いのと同じだ言う理由の命名かな ・ ・ ・ 不明です。

「老鴉柿」の命名は、果実が完熟すると真黒に変色するからとか

盆栽仕立てで愉しむことが多いようですが、生食には、渋くて、渋くて ・ ・ ・ 

澄みきった秋の空に映える夕陽のように、真赤に輝きます。

カキノキ科、カキノキ属、落葉小高木、雌雄異株、中国原産、学名 Diospyros thombifolia、英名 Chinese persimmon

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過去の記事の最掲載です。

秋、色付く


「ウリ」(瓜)の名前が、”カラスウリ” と ”スズメウリ” なので、サイズの違いからかと思っていましたが実は、「カラスウリ」(烏瓜)は、烏が好んで食べるから此の名前になった......

秋の ”宝石” (1)

2020-10-14 | 植物 花

 " 秋の宝石” (1)と題して「サンシュユ」と「アロニア」の赤い実を挙げてみます。

赤い実をルビーに喩えてみました、赤く照り輝き、ルビーの様です。

<「サンシュユ」(山茱萸)>

朱色に輝く楕円形の実は、美味しそうですが、食用(渋い味で不向き)より

乾燥した果肉を薬用、生薬として利用するようです。

唯、”ヨーグルトの木” の名前も付いていて、暖めた牛乳に、此の「サンシュユ」の木の枝を挿して

一夜置くとヨーグルトが出来る記事が載っていました。

ブルガリアでは、「ヨーグルトの木」として、実際にヨールルトをつくる由 

ミズキ科、ミズキ属、耐寒性落葉小高木、中国、朝鮮半島原産、学名 Cornus officinalis 

別名「ハルコガネバナ」(春黄金花)、「アキサンゴ」(秋珊瑚)、「ヤマグミ」(山茱萸)

尚、「サンシュユ」の名前は、「山茱萸」の音読みで「サンシュユ」になった由

「春黄金花」は、春に咲く花の姿を、「秋珊瑚」は、赤色が珊瑚を

「山茱萸」は、「茱萸」の実に似ているから付いた名前とか

九州宮崎の民謡<稗搗節>に詠われている<サンシュユ>は、「サンショウ」(山椒)のことで

此の「山茱萸」とは違うとのこと、此の地方では、「山椒」を<サンシュユ>と称するとのこと



他を gif  にもしてみました。

花は、”春告げ花” の一つで、葉が出る前、2月~3月の頃に、散形花序に、多数の黄色い小花を咲かせます。

樹木全体が、黄金色に輝きます、別名「ハルコガネバナ」(春黄金花)の名前の由来です。

 次の ”宝石” は、「アロニア」の赤い実です。

次は、「アロニア」の赤い実、黒い実、暗紫色の実です、「アロニア」の種類によって、熟した時の色が違います。

「アロニア・アルブティフォリア」(Aronia arbutifolia)は、赤色、「アロニア・メラノカルバ」(Aronia melanocarpa)は、黒色

両者の交雑種は、「アロニア・プルニフォリア」(Aronia prunifolia)は、暗紫色です。

初夏の頃、「梨」の花に似た白い花を散房花序に咲かせます。

バラ科、アロニア属、北アメリカ原産、落葉低木、英名 Chokeberry、Aronia 等

特に、「アロニア・アルブティフォリア」は、日本の「カマツカ」(鎌柄)に似てるので「セイヨウカマツカ」(西洋鎌柄)

「オータムベリー」等の別名が付いています。

また、「アロニア・メラノカルバ」には、「ブラックチョークベリー」(Black chokeberry) の他に “黒い実のナナカマド” の愛称が

黒い実は、ジャムやジュースに加工しますが、赤い実は、専ら観賞用です。

ポリフェノールが、「ブルーベリー」より多く含んでいるとかで、サプリメントとして、最近、人気が有ります。



下図=黒い実の「アロニア・メラノカルバ」(Aronia melanocarpa

漆黒に熟した果実は、”黒真珠” かな

下図は、上の2者の交配種の「アロニア・プルニフォリア」(Aronia prunifolia)です。

赤と黒を掛け合わせると此の様な色合いに