先に、マハさんの「暗幕のゲルニカ」が面白いとご紹介した。
ところが、これに先立ち書かれた同種のアートサスペンスがあるというので、早速、市の図書館から借りてきたのがこれ、「楽園のカンヴァス」。小説新潮10年9月~11年6月号連載「夢をみた」改題、294頁の大作。
物語~倉敷大原美術館のセキュリティスタフ「織絵」は、ある日突然、館長室に呼び出され、NY近代美術館所蔵のアンリ・ルソーの大作絵画「夢」を借り出す交渉のためニューヨークへ出張するよう命じられる。それは、かってスイスでルソーの作とされる「夢をみた」の真贋鑑定を競い合った現チーフキュレーター「ティム・ブラウン」からの誘いによるものだった・・・。
歴史的絵画の裏話を、これほど見事に作り上げるマハさんの構成力、文章力に脱帽した。「~ゲルニカ」とはまた違った面白さに引き込まれ、一気に読んだ。(お勧め度:★★★)