酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

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2008-11-29 14:01:50 | のほほん日記系
9月に手術入院の様子は既に書いたとおりである。
基本的に活字人間である私は、いろんないらぬことを考えないようにするために、本をたくさん読むことにした。
推理小説を山ほど。
一方、漫画にも小説と変わらぬ敬意を払う私がベッドで読んだ漫画。
「包丁人味平」嫁さんに無理を言って古本屋で探してきてもらった。
小学校頃の少年ジャンプの作品で、その当時の作品には「荒野の少年イサム」やあの有名な「ブラックジャック」「漂流教室」、マイナーどころでは「エコエコアザラク」などがあったっけ。
さて、最近のマンガではまっているのが「岳」である。
小学館の雑誌に載っていたらしいが、元本は知らない。
ベッド上では1巻のみ・・・
売店に続きがなかったのである。
内容は勧善懲悪ウルトラマンみたいな山岳救助ヒーロー話だ。
しかし、単純なストーリーとは裏腹に、昔ビビリながら登っていた身にはいたく心に食い込んでくるのである。
岩登りはやったことない私でも、事故の死体の様子が正確な描写なのがよくわかる。
昔、槍ヶ岳の診療所で手伝った時2名の事故死を目の当たりにしたことがある。
1名は大キレットでの滑落、ヘリで搬送するために運ばれてきた。
もう一人は風邪のため診療所で一晩泊まった、たしか四国の人だった。
「遠くから来たのに槍に登れず、明日下るらしいです。悔しくて情けないです」
『私は九州からです。まぁ、体調が悪くなったのは仕方ないですよ。』
『運が悪かったと思って、また次がありますよ』
その夜半にDr達と飲んでいたとき、小声で言われた。
「風邪って言ってあるからあの人に知られないように。たぶん軽い高山病だから・・・明日下ろすよ」
「レスキュー隊と下ろすけど、一緒に槍沢まで酸素ボンベ担いでくれない?」
『いいですよ』
次の日は快晴、Drとレスキューの数人が運ぶ横で、私はボンベを担いでついていく。
高山病は少しでも高度を下げればかなり安全だ。
「もう大丈夫です。先生達はお戻りください。ありがとうございました」
槍沢小屋手前でDrと私はボンベを持ってレスキューに別れを告げた。
槍の殺生ヒュッテ手前だったろうか、あと少しで診療所に登り着く頃、レスキューから無線が入った。
「今、亡くなりました」
・・・あんなに元気そうだったのに・・・
急変したのだ。

前日の滑落死体はシュラフに覆われていたので別に「人の死」を感じることはなかった。(ヘリにぶら下げられたそれは、北アルプスでよく見る資材運搬にしか見えなかった。それでも若造の心にはこたえたが・・・)

別れる時に酸素ボンベを渡しておけば助かったかもしれない。
さすがに、さっきまで大丈夫だった人が亡くなったと聞かされた時には、〔私達が最後までついていたら何かが変わっていたかも〕と思わずにはいられなかった。
その夜は前の晩に会話した声が耳について眠れなかった。
今でもそのことを忘れることができないのである。

そういえば、立山~槍縦走したときは、到着した小屋ごとに疲労凍死だの鉄砲水だの落雷だのの死体が毎日毎日置いてあった年もあったなぁ。

さてさて、このマンガ、このところブックオフなど数件で探してみたが、ない^^;
マイナーなのかと思ったがネット上では結構な評判。
全7巻のようで、結局本屋で2巻買い足し、あと4巻はパチンコで勝ったら買おう。


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