酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

県病院はまともな医療機関か?

2008-04-26 01:21:10 | のほほん日記系
親父の手術は県病院で行われた。
今まで、この病院はひどいところだと思っていた。
娘が誕生と同時に1か月クベースで過ごした時の事。
生まれた時に産声を上げなかった彼女は、眠っている間に呼吸することを忘れるという状態であった。
経皮酸素モニターを付けられた彼女は、酸素を送られるクベースに入っていた。
個室にはソファーが置かれ、私はその横で付き添っていた。
時々モニターの警報が鳴るので眠ることはできない。
誤動作もあるので、ウトウトしながらアラーム音を10回数えてから様子を見ることにしていた。
ある夜、いつものように様子を見ると、娘は呼吸をしていなかった。
ナースコールを押して待つが、一向に看護婦が来る様子がない。
唇がみるみる紫色になり、どう見ても危険な状態である。
思わずクベースに手を突っ込み揺さぶると、娘は目を覚まし泣き出した。
泣けば顔に赤みが戻り、一安心である。
しばらくたってから看護婦が「歩いて」やってきた。
全くの素人で、もしそのまま何もしなかったらと思うと今でも忘れることが出来ない。
友人が夜中に電話をかけてきたことがある。
「とても腹が痛いが、何か少し食べたほうがいいだろうか?」
『とりあえず食べてはいけない。せいぜい脱水症状を起こさないようにポカリ』
結局彼は夜間外来に行ったが、整腸剤をもらって帰ってきたらしい。
その後、県病院から帰ってきた直後に激痛となり、救急車でまた同じ外来に行くことになる。
腸管の穿孔で緊急手術を受けた彼は、半年後手術箇所の激痛で再度入院した。
またもや緊急手術の後、彼は手術箇所の大腸癌を宣告された。
つまり、最初の緊急手術で癌が見落とされていたのである。
大動脈に大きく浸潤しており、これ以上手術ができないと言い渡され、その後末期癌のまま年1回のペースで入退院と手術を繰り返し7年生きた。
その間、県病院からひどい仕打ちを繰り返し受けながら、最後は県病院を恨みながら死んでいった。
2年前の親父の頭部損傷。
ICUのスタッフはとても真摯に手のかかる患者に向き合ってくれた。
酷かったのは脳神経外科病棟である。
ICUを出る頃、高次脳機能障害により夜間徘徊が始まった。
病棟では徘徊するような者は面倒見切れないので、受け入れないという。
救急で入院し、危機的時期を脱したばかりの患者に「他の病院へ行け」というのである。
病棟が受け入れ拒否したため、ICUの先生が「自分が見るからベッドだけ貸してくれ」と申し入れて変則的な入院生活が始まった。
病棟の看護師は面と向かって「あなたはうちの患者じゃない。早く転院して欲しい」という。
同室の患者の汚物は片付けるのに、親父が頼んでも「うちの患者じゃないから」と何もしないのである。
困り果てた担当医は、ICUの看護師を時々よこしてくれた。

さて、今回は主治医も執刀医も看護師もすごくよくしてくれた。
今までの不信感をなくす程、的確で丁寧な対応をしてくれたのである。
しかし・・・最後の最後で。
「思ったより順調なので退院準備のために検査をします」
親父への説明ではCTが混んでいるので心カテをするという。
『へ、混んでいるから心カテ?』
心カテの必要があるから心カテするんだろ?
「CTが混んでいて、あと半月後しかできないから心カテで検査します」
『混んでいるからという理由で患者のリスクの大きい心カテですか!』
「心カテでも大丈夫だと判断しているんですが」
『今CTが撮れるとしたら、どちらを選びますか?』
「それはCTをするでしょうね」
『ということは第一選択はCTですね。それを病院の都合で患者に少々リスクがあってもいいと?』
「ほんとに少ないリスクだと考えていますので、どちらが第一選択とかの比較はできないんじゃないでしょうか」
『でもCTが出来るのならCTを選択するんでしょ?』
『心カテが必要な検査であるなら喜んで心カテをします。しかし、ごくわずかとはいえ脳梗塞などの危険性がある心カテとその心配がないCTで、あえて心カテを選ぶ理由が見つかりません』
「いえ、その危険性はほとんどありませんし、CTもリスクはゼロではありません」
『もちろんCTでも造影剤などのリスクは理解して言っています。しかし心カテにはCTのリスクに丸々プラスの侵襲リスクがありますよね。それでいてあえて患者にそちらを選べと?』
結局、心カテを拒否するのなら検査なしで退院してもらうしかないとのこと。
私も心カテのリスクはごく小さいことは理解している。
ほとんど起こることがないことは理解できている。しかし万一起きた場合は死に直結することも知っている。
やっと手術もクリアし、術後も順調なここにきて「ゆったり座れる電車の指定席が取れない。まず落ちることはないからすし詰め立ち席の飛行機で行け」と言われているのである。
飛行機の立ち席は疲れるし落ちたらほぼ絶望的だが、電車なら事故があっても助かる可能性はかなり高い。
早く着き、疲れないから飛行機に乗るのではないだろうか?
あなたは、楽しい旅行でわざわざ疲れる立ち席の飛行機に乗るだろうか?
我慢できる程度の苦痛を伴い、いくら極めて小さいとはいえ死亡に直結する危険性を、「必要ない」のであれば回避したいと思うのが普通の患者ではないだろうか。

「99%手術は上手くいっている自信があるから、そのまま帰ってもらってもいいのだが、こちらも検査しないと安心できないから・・・」
『本当に血流が大丈夫であるなら、診断をつけた時のように負荷試験の心電図でもいいのではないでしょうか?それで虚血は判断できますよね』
「まぁ、そういう方法でもいいのでしょうが術後間もないので必要な負荷がかけられるかどうか・・・」
まぁ、言い争っても仕方がないので、『本当はCTでよいところを、病院の都合で混雑しているから患者の負担になる心カテをというのですよね。心カテでないと十分な検査ができないからとかであれば喜んで受けさせるのですが、リスクベネフィットからいっても何かおかしいような気がするのですが』と言いつつ承諾書を書いた。
これだけ患者側が抵抗して見せたのに、かたくなに心カテにこだわるのには、別の理由(診療報酬?)を勘ぐってしまう。
別の病院にCTだけ依頼することだって別に困難なことではないのだ。

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