【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「サンキュー・スモーキング」:竜岡門バス停付近の会話

2006-10-28 | ★学01系統(東大構内~上野駅)

東大の薬学系総合研究棟・・・か。禁煙できる薬でも開発してくれないかな。
なに、言ってるのよ、あなたから煙草を取ったら何も残らないじゃない。
そりゃそうだ。映画の「サンキュー・スモーキング」でも煙草を飲んでもかまわないって言ってるしな。
体に悪くないなんて一言も言ってないわよ。
そうだっけ?
この映画の主人公は煙草会社のPRマンだけど、あげあしを取られるようなことは決して言わないの。それでいて、勝手な論理で禁煙論者を上手に煙に巻いて結局論争をうやむやにしてしまうすごいやり手なんだから驚くわ。
ははは。煙草だけに文字通り煙に巻くってことか。
宣伝文句にもあるけどね。
「デベートは相手が納得するんじゃなくて、聴衆が納得すればいいんだ」とか「子どもに煙草の害を教えるのは親の責任だ」とか思わず納得するようなことを次から次に笑顔で言うから、こちらもついつい、うなずいちゃうんだよな。
別に信念があるわけじゃなくて、話術がうまいからこの仕事についているだけ、っていうのがまた妙に納得しちゃうのよね。
「ローンのために働いてるだけだ」とか言われるとつい、身につまされちゃうよな。
アーロン・エッカートがまた、「ブラック・ダリア」とはうって変わって軽いヤツを生き生き演じてるから、煙草会社の片棒をかついでるのに、なんかいいヤツに見えてきちゃうのよね。
だから、この映画を見ると、ま、このまま煙草飲んでてもいいか、って気にさせられちゃうんだよな。
でも別に、喫煙賛成がテーマの映画じゃないからね。
そりゃ、わかってるさ。むしろ、こういうヤツがいるから、アメリカは牛肉輸入禁止措置を取る日本の考えが理解できないんだろうと思っちゃうよ。
「食べるか食べないかは個人の自由だ」っていう考えよね。でも、そこには何が安全で何が安全でないかを明確に明示する責任があるんだけどね。
とにかく映画としては、抜群におもしろい。タイトルバックの煙草のイラストからして楽しくてしょうがない。
最近て、そっけないタイトルバックが多いもんね。
そっけないタイトルは、ウディ・アレンだけで十分だ。
初代マルボロマンのエピソードとかあんな扱いして問題にならないのかって、心配になっちゃっうほどよね。
まあ、日本じゃ無理かもな。こういう問題作を平気でつくれちゃうところにアメリカの懐の深さがあるんだよな。
その懐の深さが牛肉問題のいい加減さにもつながるんだけどね。
表裏一体ってやつだな。
とにかく一見の価値ありよ。
この際、この主人公と東大の学生のディベートってのはどうだい?
だから言ってるでしょ。うまく煙に巻かれちゃうって。
うーん、煙草でも吸って考えるか。
だめよ、バスの中は禁煙なんだから。
ハイ。


ふたりが乗ったのは、都バス<学01系統>
東大構内⇒東大病院前⇒竜岡門⇒上野広小路⇒御徒町⇒上野駅前

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