Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

フリューベック・デ・ブルゴス/読響

2012年11月30日 | 音楽
 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮の読響の定期。この秋ひそかに楽しみにしていた演奏会だ。ブラームスのオーケストラ伴奏付き合唱曲3曲(いずれも「運命」がテーマの曲)とベートーヴェンの交響曲第5番「運命」。ブラームスの合唱曲をオーケストラの定期で聴く機会は得難い。


 冒頭にフリューベック・デ・ブルゴス自作の「ブラームス・ファンファーレ」が演奏された。金管および打楽器のファンファーレ。ブラームスの交響曲第4番第2楽章冒頭のホルンのテーマが引用されている。演奏会開始を告げるファンファーレ。

 次からがブラームスの合唱曲。まず「悲歌」(「追悼歌」とも呼ばれる)。これはあっさり終わった感じで、あまり印象に残っていない。2曲目は「運命の女神の歌」。速めのテンポで緊迫感をもって開始され、ドラマティックな展開の後、静かに終わる。その静かな部分でピッコロが鳴るのが印象的だった。3曲目は「運命の歌」。昔から好きな曲だった。個人的な想い出のある曲だが、今はそのことを書いても仕方がない。ともかくこれは名曲だ。生演奏を聴いた記憶がないので、聴けて満足だった。

 フリューベック・デ・ブルゴスはかなり年をとっていた。昔はかっぷくのいい体形だったが、今はすっかり肉が落ちて、昔日の面影はない。足が不自由そうだ。椅子に腰かけて指揮をした。ところが棒は弱まっていない。これはすばらしい。1933年生まれだから今年79歳。9月にはデンマーク国立交響楽団(名門オーケストラだ)の首席指揮者に就任したというから驚く。

 1曲目はよくつかめなかったが(多分わたしが悪いのだろう)、2曲目、3曲目はともに隅々まで彫琢のほどこされた名演だった。フリューベック・デ・ブルゴスがこれらの曲をプログラムに組んだ意図がわかる演奏だった。

 合唱は新国立劇場合唱団。やはりプロの合唱団はちがうと思った。アマチュアだとモヤモヤしがちだが、プロだとそんなレベルはあっさりクリアーしている。カーテンコールでは三澤洋史さんも登場して拍手を浴びていた。

 ベートーヴェンの「運命」では今となっては懐かしいフリューベック・デ・ブルゴスの音がした。明るくて歯切れのいい音、といったらいいか。読響は、アルブレヒト、スクロヴァチェフスキ、カンブルランと三代にわたる常任指揮者のもとで大きく成長したが、昔はこういう音がした。
(2012.11.29.サントリーホール)

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