Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ベートーヴェン弦楽四重奏曲【9曲】演奏会

2014年01月01日 | 音楽
 大晦日はベートーヴェンの弦楽四重奏曲の演奏会へ。午後2時から夜9時半までベートーヴェンと向き合った。

 まず、開演に先立ち、午前11時半から午後1時まで「ベートーヴェンを語る」と題した鼎談があった。メンバーは土田英三郎、平野昭、野平一郎の各氏。今、日本でベートーヴェンを語らせたら、一番面白そうな皆さんだ。案の定面白かった。概要は「音楽の友」に載るそうだ。

 午後2時からは演奏会。お隣の大ホールではベートーヴェンの交響曲全9曲の演奏会が進行中。あちらは一人の指揮者と一つのオーケストラによるマラソン・コンサートだが、こちらは3つの弦楽四重奏団による駅伝コンサート。

 まず古典四重奏団によるラズモフスキー3曲。こういってはなんだが、率直にいわせていただくと、ちょっと華奢だったかなと。ベートーヴェンの――とくにこの第1番の――雄渾な音楽が、出てこなかった。第2番になったら、ぐっとよくなったけれど。でも、よかったことを前提にいうと、箱庭的な感じがした。

 次にルートヴィヒ弦楽四重奏団。変ホ長調作品127、変ロ長調作品130そして大フーガ作品133。ここからは‘後期の弦楽四重奏曲’の全曲演奏だ。ルートヴィヒ弦楽四重奏団は日本のメジャーオーケストラの現・元コンサートマスターと首席奏者たちの集まりだけあって、鳴り方がちがう。音楽の振幅が大きい。さすがというべきだ。

 こんなことをいうと顰蹙をかうかもしれないが、ベートーヴェンはなぜ生涯の最後に作品130の終楽章を書き換えたのだろう。今更のようにそう思った。終楽章が大フーガのままだったら、作品130は巨大な‘謎の音楽’として聳え立っていただろう。ベートーヴェンが書き換えた終楽章は、少なくとも今回は、少しも面白く聴こえなかった。

 最後はクヮルテット・エクセルシオによる嬰ハ短調作品131、イ短調作品132、ヘ長調作品135。2013年は嬰ハ短調作品131の当たり年だった。映画「25年目の弦楽四重奏」はこの曲をモチーフにしていたし、演劇「OPUS/作品」もそうだった。1年の最後にこの曲を聴けて、いい締めくくりになった。

 クヮルテット・エクセルシオは、さすがに常設の四重奏団だけあって、よく目の詰んだアンサンブルだった。音色も艶があって美しい。嬰ハ短調作品131など、冬の澄み切った夜空を見上げるようだった。
(2013.12.31.東京文化会館小ホール)

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