東京シティ・フィルの6月定期のプログラムは次のようなものだった(指揮は常任指揮者の飯守泰次郎さん)。
(1)ヴァッセナール伯:コンチェルト・アルモニコ 第4番(第2番)
(2)ヨハン・ガブリエル・メーダー:交響曲 作品3-1
(3)ヤコブ・テル・フェルトハウス:レインボウ・コンチェルト(チェロ独奏:マリーン・ヴァン・スターレン)
(4)ベルナルド・ズヴェールス:交響曲第2番 変ホ長調
見事なまでに知らない作曲家ばかり。ここまで徹底していると、あっけらかんとした印象さえする。事前にWikipediaで検索してみたが、かろうじてのっていたのはヴァッセナール伯だけで、あとの3人はのっていなかった。
実は、これらの作曲家はオランダの作曲家たちで、この演奏会は「日本オランダ年2008-2009」の一環とのこと――2009年は江戸幕府がオランダと通商条約を結んでから400年、また2008年は日本とオランダの外交関係が樹立してから150年――。
ヴァッセナール伯(1692-1766)の曲は、通奏低音(チェンバロ)と弦楽器という編成だが、ヴァイオリンが4パート(4人×4パート=16人)に分かれている点が異色。通常の2パートに比べて、精緻かつ複雑なテクスチュアーがきこえる。
メーダー(1729-1800)は、生まれはドイツのエアフルトとされているが、活動はオランダだったとのこと。この曲は3楽章からなるが、すべての楽章にヴィオラ・ソロが出てくるのが珍しい(ときにはヴィオラ2本の掛け合いになる。また第3楽章にはヴァイオリン・ソロも出てくる)。弦の音色が明るいハイドン風の曲だ。
フェルトハウス(1951-)の曲は2楽章からなり、第1楽章はゆっくりしたテンポの抒情的な音楽で、バスドラムの深い音が、じわじわとこみあげてくる感情を喚起する。切れ目なく突入する第2楽章は、早いテンポのリズミカルな音楽で、後半部分では音楽が切れ切れになるのが面白い。最後に、一瞬、第1楽章のアルトフルートのテーマを回想して終わる。この曲は独奏者であるロッテルダム・フィル首席チェロ奏者のスターレンによる委嘱作品とのこと。
ズヴェールス(1854-1924)の曲は4楽章からなるドイツ・ロマン派的な交響曲。ただし第2楽章と第3楽章には夢見るような柔らかさがあって、一概にドイツ的とはいえない。
アンコールにペーテル・ファン・アンローイという人の「オランダのラプソディ」という曲が演奏された。民俗的で楽しい曲。生没年はわからないが、20世紀前半の人か。
すべての曲がはじめての曲だったので、演奏会前は緊張したが、実際にはどの曲も楽しめた。演奏は曲によって多少むらがあったものの、精一杯入念な準備をしたものだった。
(2009.06.19.東京オペラ・シティ)
(1)ヴァッセナール伯:コンチェルト・アルモニコ 第4番(第2番)
(2)ヨハン・ガブリエル・メーダー:交響曲 作品3-1
(3)ヤコブ・テル・フェルトハウス:レインボウ・コンチェルト(チェロ独奏:マリーン・ヴァン・スターレン)
(4)ベルナルド・ズヴェールス:交響曲第2番 変ホ長調
見事なまでに知らない作曲家ばかり。ここまで徹底していると、あっけらかんとした印象さえする。事前にWikipediaで検索してみたが、かろうじてのっていたのはヴァッセナール伯だけで、あとの3人はのっていなかった。
実は、これらの作曲家はオランダの作曲家たちで、この演奏会は「日本オランダ年2008-2009」の一環とのこと――2009年は江戸幕府がオランダと通商条約を結んでから400年、また2008年は日本とオランダの外交関係が樹立してから150年――。
ヴァッセナール伯(1692-1766)の曲は、通奏低音(チェンバロ)と弦楽器という編成だが、ヴァイオリンが4パート(4人×4パート=16人)に分かれている点が異色。通常の2パートに比べて、精緻かつ複雑なテクスチュアーがきこえる。
メーダー(1729-1800)は、生まれはドイツのエアフルトとされているが、活動はオランダだったとのこと。この曲は3楽章からなるが、すべての楽章にヴィオラ・ソロが出てくるのが珍しい(ときにはヴィオラ2本の掛け合いになる。また第3楽章にはヴァイオリン・ソロも出てくる)。弦の音色が明るいハイドン風の曲だ。
フェルトハウス(1951-)の曲は2楽章からなり、第1楽章はゆっくりしたテンポの抒情的な音楽で、バスドラムの深い音が、じわじわとこみあげてくる感情を喚起する。切れ目なく突入する第2楽章は、早いテンポのリズミカルな音楽で、後半部分では音楽が切れ切れになるのが面白い。最後に、一瞬、第1楽章のアルトフルートのテーマを回想して終わる。この曲は独奏者であるロッテルダム・フィル首席チェロ奏者のスターレンによる委嘱作品とのこと。
ズヴェールス(1854-1924)の曲は4楽章からなるドイツ・ロマン派的な交響曲。ただし第2楽章と第3楽章には夢見るような柔らかさがあって、一概にドイツ的とはいえない。
アンコールにペーテル・ファン・アンローイという人の「オランダのラプソディ」という曲が演奏された。民俗的で楽しい曲。生没年はわからないが、20世紀前半の人か。
すべての曲がはじめての曲だったので、演奏会前は緊張したが、実際にはどの曲も楽しめた。演奏は曲によって多少むらがあったものの、精一杯入念な準備をしたものだった。
(2009.06.19.東京オペラ・シティ)