下野竜也指揮読響のユニークなプログラム。今年前半で一番興味をひかれる演奏会だった。
プログラム前半はコリリアーノの2曲。1曲目は「音楽に寄せて」。シューベルトの歌曲「楽に寄す」An die Musikを引用した曲だ。ノスタルジックな感情に浸った曲。客席に配されたバンダ(ホルン2、ピッコロトランペット2、トロンボーン2)が舞台上のオーケストラと応答する。
2曲目はヴァイオリン協奏曲「レッド・ヴァイオリン」。演奏時間約35分の大曲だ。第1楽章シャコンヌだけで約18分を要する(プログラム・ノーツより)が、長さを感じさせず、変化に富んでいて面白い。主題は同名の映画(フランソワ・ジラール監督)の「アンナのテーマ」を使用している。映画は観ていないが、一度聴いたらすぐにわかる甘く優しいテーマだ。そのテーマが荒々しい嵐に翻弄される。以下、第2楽章~第4楽章は性格のはっきりした比較的短い音楽が続く。
ヴァイオリン独奏はララ・セント・ジョン。体を揺らして激しく演奏する。コリリアーノの信頼が篤い人らしい(プログラムの紹介文より)。
嬉しいことには、コリリアーノ本人がこの演奏会のために来日した。1938年生まれ。現代アメリカきっての売れっ子作曲家だ。演奏会の前にプレトークをした。本人の姿を見て、その声を聞くことは、得がたい経験だ。少し足を引きずっているように見えた。下野さんは今までに交響曲第1番と「ハーメルンの笛吹き幻想曲」を演奏している。そのような積み重ねが今回の来日に結び付いたのだろう。
プログラム後半はHKグルーバーの「フランケンシュタイン!!」。これはぶっ飛んだ楽しい曲だ。大量のおもちゃの楽器が動員される。楽員が本来の楽器を脇に置いて、おもちゃの楽器を演奏する。その珍妙かつ玄妙な音。ヨーロッパの子どもたちに大人気の曲だそうだ(前掲のプログラム・ノーツより)。英語の歌が付いている。独唱(シャンソニエ)は宮本益光さん。わざわざウィーンのHKグルーバーに会いに行ったそうだ。演奏家の努力はすごい。
HKグルーバーは2009年1月に指揮者として来日し、都響を振った。プログラムはジョン・ケージ、一柳慧、そしてコリリアーノの「ファンタスマゴリア」(歌劇「ヴェルサイユの幽霊」からの管弦楽組曲)だった。コリリアーノが抜群に面白かった。会場のサントリーホールも湧きに湧いた。
(2012.6.24.横浜みなとみらいホール)
プログラム前半はコリリアーノの2曲。1曲目は「音楽に寄せて」。シューベルトの歌曲「楽に寄す」An die Musikを引用した曲だ。ノスタルジックな感情に浸った曲。客席に配されたバンダ(ホルン2、ピッコロトランペット2、トロンボーン2)が舞台上のオーケストラと応答する。
2曲目はヴァイオリン協奏曲「レッド・ヴァイオリン」。演奏時間約35分の大曲だ。第1楽章シャコンヌだけで約18分を要する(プログラム・ノーツより)が、長さを感じさせず、変化に富んでいて面白い。主題は同名の映画(フランソワ・ジラール監督)の「アンナのテーマ」を使用している。映画は観ていないが、一度聴いたらすぐにわかる甘く優しいテーマだ。そのテーマが荒々しい嵐に翻弄される。以下、第2楽章~第4楽章は性格のはっきりした比較的短い音楽が続く。
ヴァイオリン独奏はララ・セント・ジョン。体を揺らして激しく演奏する。コリリアーノの信頼が篤い人らしい(プログラムの紹介文より)。
嬉しいことには、コリリアーノ本人がこの演奏会のために来日した。1938年生まれ。現代アメリカきっての売れっ子作曲家だ。演奏会の前にプレトークをした。本人の姿を見て、その声を聞くことは、得がたい経験だ。少し足を引きずっているように見えた。下野さんは今までに交響曲第1番と「ハーメルンの笛吹き幻想曲」を演奏している。そのような積み重ねが今回の来日に結び付いたのだろう。
プログラム後半はHKグルーバーの「フランケンシュタイン!!」。これはぶっ飛んだ楽しい曲だ。大量のおもちゃの楽器が動員される。楽員が本来の楽器を脇に置いて、おもちゃの楽器を演奏する。その珍妙かつ玄妙な音。ヨーロッパの子どもたちに大人気の曲だそうだ(前掲のプログラム・ノーツより)。英語の歌が付いている。独唱(シャンソニエ)は宮本益光さん。わざわざウィーンのHKグルーバーに会いに行ったそうだ。演奏家の努力はすごい。
HKグルーバーは2009年1月に指揮者として来日し、都響を振った。プログラムはジョン・ケージ、一柳慧、そしてコリリアーノの「ファンタスマゴリア」(歌劇「ヴェルサイユの幽霊」からの管弦楽組曲)だった。コリリアーノが抜群に面白かった。会場のサントリーホールも湧きに湧いた。
(2012.6.24.横浜みなとみらいホール)