Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

日本オーケストラ連盟「オーケストラの日2021」

2021年04月01日 | 音楽
 日本オーケストラ連盟が毎年3月31日に開催する「オーケストラの日」コンサートは、昨年はコロナ禍のために中止になったが、今年は各オーケストラの演奏映像と事務局のトークをつなぐ動画の配信でおこなわれた。17:00から21:00までの延々4時間におよぶ長丁場だったが、飽きなかった。(※)

 同連盟に加盟するオーケストラは38団体。そのうち35団体が演奏映像とトークに参加し、1団体がトークのみ、2団体が不参加だった。ともかく35団体という膨大な数なので、1団体当たりの演奏映像とトークは短かったが、それが配信全体に軽快なリズムを生んだ。

 各団体が異口同音にいっていたことは、昨年3月以降活動が休止した後、6月または7月頃に初めて音を出したときの感動だ。楽員は各自自宅で練習を続けていたが、オーケストラとして全員が顔を揃えて音を出したときは、全身の細胞を目覚めさすような、あるいはオーケストラの一員としてのアイデンティティを呼び覚ますような、なにか特別な感覚があったようだ。

 それはわたしたち聴衆も同じだ。7月頃に久しぶりにオーケストラを聴いたときの感動は忘れられない。聴衆も3月以降はCDやストリーミングで音楽を聴いていたので、音楽から遠ざかっていたわけではないが、生の音の豊かさは録音とは別物だった。このようにして聴衆とオーケストラが同じ感動を味わう稀有な瞬間が生まれた。

 そんな経験をへて迎えた今年の「オーケストラの日」は特別だった。わたしはまず、次から次へと登場するオーケストラを見て、日本にはなんてたくさんのオーケストラがあるんだろうと思った。東京、大阪はもちろんのこと、それ以外の都市にもオーケストラがある。しかも増え続けている。わたしは中部フィル、岡山フィル、瀬戸フィルなど、名前は聞いたことがあるが、どんな活動をしているか、ほとんど知らないオーケストラの演奏映像を見て、その熱い演奏に共感した。

 あるオーケストラの事務局が「まず潰れるのはうちだと思った」といえば、別のオーケストラの事務局が「それはうちも同じです」と応じた。どちらも実感がこもっていた。ともかくいまのところは、オーケストラ連盟の加盟38団体が、ひとつも潰れずに、なんとか持ちこたえている。今年の「オーケストラの日」はそれを聴衆とともに確かめ合う場になった。

 コロナ禍は収束のきざしが見えない。それどころか、いまは第4波の襲来が懸念されている。オーケストラの演奏活動が元に戻るのはいつか、だれにもわからない。そんな苦しい状況にあるオーケストラを支えたい。

(※)「オーケストラの日2021」の配信動画(アーカイブとして2週間残るそうです。)
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