■『ドイツの国家資格 眼鏡マイスターへの道』久利将輝、神戸新聞総合出版センター
2016年6月17日発行、900円+税、156ページ、新書版
巻頭言:俵万智、カバー写真 前 鴨居玲「街の楽師」、後 鴨居玲使用のパレット
連れ合いの福田緑が唐突に1冊の本を差し出しました。『ドイツの国家資格 眼鏡マイスターへの道』という新書です。
彼女は2022年4月19日、NHKラジオ深夜便「明日へのことば」に「祈りの彫刻を撮り続けて20年」というタイトルで出演しました。33年勤めた教師生活のことから、退職後にリーメンシュナイダーや同時代の彫刻を撮り続けて写真集を出した話などがそのメインでした。この放送は想像以上に多くの人が聞いてくれていたようで、様々な反響がありました。
その詳しい顛末は彼女のブログに譲りますが、その反響の1つは、見知らぬ人から本が送られてきたことです。それが、久利将輝さんの『ドイツの国家資格 眼鏡マイスターへの道』でした。
その内容は俵万智さんの巻頭言に凝縮されています。さらにその巻頭言の骨子がオビに記されています。眼鏡マイスターの資格を取るために著者はドイツで10年間の厳しい修行に励みます。まずはフライブルクでの下宿から始まって、ミュンヒェンでの修行へと続きます。ドイツと日本の文化の違いなど、20回近く渡独している私には共感することが多かったです。文章描写力もなかなかなもので、眼鏡に詳しくない私でもその熱い思いは伝わってきました。
私が一番興味を持ったのは、なぜ俵万智の巻頭言で、鴨居玲の表紙なのかということでした。
久利将輝さんのお父さんと鴨居玲が生前親密な関係にあり、鴨居作品を多数所蔵しているということで、かつてNHK日曜美術館の司会をしていた俵万智がその作品を訪ねたことにより交流が始まったようです。
とても素敵な本ですが、できれば奥付にでも著者紹介がほしかったです。
先日いただいた残暑見舞いにも素敵な鴨居作品がありました。
いただいた本をもう1冊紹介しましょう。様々な吉本隆明論を読むのが楽しみです。