後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔15〕第3弾! 「従軍慰安婦問題」を巡っての意見書について考えます。

2015年02月03日 | 市民運動
 今、地方議会で何が起こっているのということを考える一つの例を提出したいと思います。みなさんも一緒に考えてください。
 昨年の暮れのことでした。以下のような意見書が清瀬市議会で可決されたのです。

いわゆる「従軍慰安婦問題」に関し、重要な情報が虚偽であったことが判明し、本市議会が平成20年6月25日付けで政府に提出した意見書が大きな根拠を失ったことを確認するとともに、国はさらなる真相の究明を進め、諸外国、関係諸機関に、慰安婦問題についての正しい理解を促す努力をするよう求める意見書

 いわゆる「従軍慰安婦問題」について、平成26年6月20日、政府によって設置された「河野談話作成過程等に関する検討チーム」が公表した「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」では、日本側は談話の作成過程において、一連の調査を通じて「いわゆる強制連行は確認できない」との認識を持っていたことが改めて確認された。
 さらに、日本軍が慰安婦を組織的に強制連行したという有力な物的証拠は見つかっておらず、日本側唯一の証言である「吉田証言」についても、平成26年8月5日、報道した当事者である朝日新聞が虚偽であったと判断し、それをめぐる記事を取り消し、平成26年9月11田こは、正式に謝罪した。
 こうした状況にかんがみ、本市議会が平成20年6月25日付けで、政府に提出した意見書も大きな根拠を失ったと言うべきであり、朝日新聞の誤報道が本市議会意見書の信頼性を著しく損ねたことは、誠に遺憾である。
 ここに、本市議会が平成20年6月25日付けで政府に提出した意見書が大きな根拠を失ったことを確認するとともに、国にさらなる真相の究明を進め、諸外国、関係諸機関に、慰安婦問題についての正しい理解を促す努力をするよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

                           平成26年12月18日
                              清瀬市議会
 
 ことの発端は清瀬市民以外からの陳情にあったようです。それを斉藤正彦、渋谷けいし議員が意見書にまとめ上げたようです。この両議員は、私が道徳の教科化反対の陳情書を提案した時に、全く筋違いな反論をした人たちでした。
 2008年(平成20年)清瀬市議会の「意見書」は当時宝塚市議会に続いて全国2番目の清瀬市民としても誇れるものでした。過去の負の遺産をしっかりみつめ、これからの教育や社会に生かしていこうとする、決意を記したものです。そして不可解なことに、宝塚市議会でも清瀬市に先んじて、修正意見書を可決したのです。両議会の意見書が酷似していることも奇妙です。
 さて、この動きに対して、「I(アイ)女性会議 清瀬支部」と「新日本婦人の会清瀬支部『従軍慰安婦問題』を考える会」から批判的な要望が出されました。しかしながら、賛成9,反対8,退席2(自民党と公明党の女性議員)ということで可決されるのです。この事実をふまえて、清瀬・憲法九条を守る会は以下の要望書を提出しました。
 先日亡くなったドイツ元大統領のリヒャルト・フォン・ワイツゼッカーの「過去に目を閉ざす者は、現在も見えなくなる」ということばをかみしめたいと思うのです。




清瀬市議会議長 粕谷いさむ様
                2014年12月30日
               清瀬・憲法九条を守る会
【要 望】

 貴市議会は、2008年6月25日付で以下の意見書を提出しました。

□「従軍慰安婦」問題について政府の誠実な対応を求める意見書□
 昨年7月以来現在までの間に、アメリカ、オランダ、カナダ、EU、フィリピンなどの議会において、「従軍慰安婦」問題につき日本政府の公式の承認と謝罪、賠償、歴史教育などを求める決議が採択されました。
 さらには5月の国連人権理事会で、フランス、オランダ、韓国、北朝鮮などの諸国が「従軍慰安婦」問題で日本政府に前向きな対応をとるように求めました。
 しかし、日本政府はいまだに「従軍慰安婦」問題の真相を究明する誠意を欠き、被害にあった女性たちに対し公式の謝罪もせず、充分な賠償も全く棚上げにしたまま、教科書からその記述を消し去り、責任ある対応をしていません。その恥ずべき態度には国内外でひろく批判の声があがっております。
 政府においては、平成5年の河野洋平官房長官の談話などと矛盾しないように、さらに「従軍慰安婦」問題の真相究明を行い、陳謝し、賠償責任を果たし、学校で教えることで、各国の被害者の尊厳回復に努め、誠意な対応をされることを強く求めるものであります。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

 ところが、本年12月18日、同じ清瀬市議会で、
「いわゆる『従軍慰安婦問題』に関し、重要な情報が虚偽であったことが判明し、本市議会が平成20年6月25日付けで政府に提出した意見書が大きな根拠を失ったことを確認するとともに、国はさらなる真相の究明を進め、諸外国、関係諸機関に、慰安婦問題についての正しい理解を促す努力をするよう求める意見書」
が採択されたということに大きな失望を覚えています。上記の意見書の中に書かれている諸外国の姿勢は今も変わることはなく、1993年(平成5年)の河野洋平官房長官の談話は安倍晋三首相も引き継ぐと明言しているではありませんか。朝日新聞に掲載された吉田清治証言が虚偽であったことは残念ですが、だからといって「従軍慰安婦」がなかったことにはならないのです。戦中、戦後を通して多くの元「従軍慰安婦」たちが、深い苦しみ、悲しみを抱えながら生きてこられたことに対し、彼女たちの尊厳回復に努め、誠意ある対応を国に求める必要は一切なくなったとでもいうのでしょうか。
 佐々木あつこ市議、宮原りえ市議は、この陳情書採択に際し、反対討論をしています。清瀬・憲法九条を守る会は、宮原議員の、この反対討論を全面的に支持いたします。また、貴議会が今後も「河野談話」を引き継ぎ、元「従軍慰安婦」だった方々の尊厳回復に努め、誠意ある対応を国に求めていかれますよう、強く要望いたします。