中野笑理子のブログ

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昔ながらの喫茶店

2018年02月20日 | 日記
昼休み、いつもの喫茶店へ行き、いつもの席に座って煙草に火を点け新聞を取り出す。
サンドイッチとカフェオレのセットが来たら煙草を消して、新聞を読みながら食べる。
食べ終わると食後の一服をしながら文庫本を取り出して、朝の電車の中の続きを読む。
去年も今年もこの席で、てのひら怪談の投稿作を書いた。
塾の課題もここで書いていた。
この先も今の会社に勤めていて、この店がある限り、ここで作品を書くだろう。

隣の席では年配のサラリーマンがふたりサンドイッチを頬張りながら、お互いの病気話をしている。
ひとりが尿管結石の痛さを語ると、もうひとりは右腕が上がらなくなって先週病院で注射を打ってもらった時の痛さを話し、食後はふたり仲良く紫煙をくゆらせながら、健康の大切さについて語っている。

その間にも席はどんどん客で埋まり、客が座ったしりからフワリフワリと煙が立ち上る。
みんな紙煙草を吸っていて、電子タバコを吸っている客はいない。
テレビはオリンピックではなく他の番組で、画面は見えないけれど歌謡曲のブルーシャトーが流れていた。

マスターは一年中、白のワイシャツに黒いベストとズボン、蝶ネクタイというスタイルで、出前はマスターのお手製の木箱を下げて、自転車に乗って行っている。
辛子多めなどのリクエストにも応じてくれ、夏のカキ氷は美味しいけれど、量が多過ぎていつも完食することが出来ない。

店の入り口には沈丁花が植わっていて、もうじき甘い香りを漂わせることだろう。
昔ながらの喫茶店、入社して以来四半世紀、平日の休業を見たことがない。
そんな昔はどこにでもあったような店が今、とても貴重に思えて、マスターを少し尊敬している。
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