養豚農家にとって夏は大敵です。
食欲減退で肥育豚が大きくならないことに加え、最も困るのはお母さん豚の発情が弱くなるので繁殖管理がとても難しくなること。
夏の暑さで母豚のホルモンバランスが崩れることによりこのようなことが起こります。
ということで、今日の話題はホルモン剤です。
さて、ホルモン剤と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、男性ホルモンとか女性ホルモンでしょうか?
おねえキャラのテレビタレントさんたちが女性ホルモンを定期的に投与しているなんてことはよく聞く話です。
これがお母さん豚に使用するホルモン剤。商品名セロトロピン、一般名血清性性腺刺激ホルモンといいます。
右のアンプルの白い粉がそれで、左の0.6%塩化ナトリウム溶液(豚用の生理食塩水ということになるのかな?)5mlに溶かして使用します。
女性ホルモンは女性らしい体を形成するためのホルモンだと思うんですが、この性腺刺激ホルモンは卵胞の発育を促進し、発情を誘起。
つまり、夏季の暑熱ストレスによって離乳後の発情が弱くなる時に予防的に使用します。
とはいえ、残念ながらこれで繁殖部門は一安心ってことにはなりません。
そもそもホルモン物質というのは生命体の体内で“自然に”産生されるべきものであり、そのためには普段の飼養管理や環境管理が最も大事なんです。
というこは、哺乳中のお母さん豚がいる分娩舎や交配前のお母さん豚がいる豚房にエアコンを取り付けるのが手っ取り早い方策だといえるのですが、電気代の問題があるので絶対に不可能なんですよね・・・
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