デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

名バイプレイヤー、アール・メイを5月に聴く

2017-05-14 09:19:35 | Weblog
 先月29日、楽天の美馬投手からデッドボールを受けた日本ハムの中田翔選手が怒ってマウンドに歩み寄った。両軍ベンチから選手が飛び出す。乱闘寸前だ。札幌ドームで観ていた小生は「こら!ミマ!何回当てるんだ!ボケ!ススキノ歩けないぞ!」と当の中田選手以上に声を張り上げた。というのも中田選手は、2013年8月に美馬投手の死球で骨折し、残りシーズンをほぼ棒に振った経緯があるからだ。チームを引っ張る4番が激高するのも無理はない。

 乱闘寸前といえば、1999年5月に東京ドームで巨人の松井秀喜選手がデッドボールを受け、一触即発だったことがある。相手は阪神のダレル・メイ投手だ。松井選手が「あれは絶対故意に違いない」とコメントした5月のメイ事件だ。さて、この前振りで登場するのはあのミュージシャンだろうって?そうです、ビリー・メイ、いやアール・メイです。早くはビリー・テイラーのトリオ、グロリア・リンの歌伴、67年にハービー・マンと来日、晩年はバリー・ハリス・トリオで活躍したベーシストだ。名が付くバイプレイヤーでディスコグラフィーを編んだら電話帳の厚さになるかも知れない。

 数あるなかから「Lush Life」を選んだ。コルトレーンが急成長を遂げた時期をとらえたピアノレスのトリオである。ピアノレスはコード楽器であるピアノがない分アドリブの幅が広がるが、安定感に欠けると言われている。このテナートリオはというと三者のバランスが取れていて土台もしっかりしている。「Like Someone In Love」、「I Love You」そして「Trane's Slo Blues」の3曲だが、どのトラックもコルトレーンがめくるめくフレーズをこれでもかというほど重ねていく。ベースもまたテナーと歩調を合わせながら、自在に弾きまくる。コルトレーンの息継ぎの間に聴こえるメイのブーンという太い音は堪らない。

  5月のメイ事件が起きた1999年は日本ハムが北海道に移転する前で、当時は巨人ファンだった。デッドボールの瞬間、「テメイ!こら!狙ったな!謝れ!」とテレビに向かって罵声を吐いた。怒ったところでどうにもならないのだが、つい熱くなるのが野球だ。日本ハムファンの今は札幌ドームで野次を飛ばしているが、スタンドで静かに応援する観客にとっては迷惑なことだろう。
コメント (10)
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