ジャズ・ヴォーカルとポピュラー・ヴォーカルの違いはよく話題になる。これといった定義もないので、聴き手の主観に委ねられるようだが、この分類で困るのは中古レコード店だ。例えばトニー・ベネットの「霧のサンフランシスコ」が収録されているレコードはポピュラーの箱に置かれ、ビル・エヴァンスと共演したアルバムはジャズ・コーナーにあったりする。
さて、このトニー・パーキンスの「From My Heart」はどの棚に入れよう。ヒッチコック監督の映画「サイコ」のイメージが強いトニーだが、二枚目俳優として数々の映画に出演しているし、シンガーとしても「月影のなぎさ」というヒット曲も持っている。分類するならポピュラーになるが、バックを見るとそうともいえない。「Urbie Green , HisTrombone and His Orchestra」で、トロンボーン奏者としてのグリーンを強調したクレジットになっている。更にアレンジはアル・コーン、メンバーはハル・マクジックをはじめジーン・クイル、ハンク・ジョーンズ、ミルト・ヒントンといった一流が並ぶ。
バックがジャズバンドだからといってジャズ・ヴォーカルと呼べるわけではないが、トニーのジャジーな一面を大きくクローズアップしたアルバムで、ジャズ・コーナーに置かれていても何ら違和感はない。「Taking A Chance On Love」や「Speak Low」といったスタンダードに並んで、「Swinging On A Star」を取り上げている。ビング・クロスビーが主演した映画「我が道を往く」の主題歌だ。威勢のいいバックに乗って語りかけるように、そしてリズミカルに歌うトニーは粋というよりスマートといったほうが正しいだろうか。映画俳優の余技を超えた歌唱はジャズ・ヴォーカルといっていい。
このレコードが入っていた中古レコード店の箱にはマリリン・モンローをはじめアン・マーグレット、ジェーン・ラッセル、ブリジッド・バルドー、ジェーン・バーキン、そして石原裕次郎に小林旭のレコードもあった。箱には「歌う映画スター」と書かれている。この手があったか。今度、この箱でトニー・パーキンスを見付けたら、ジャズ・ヴォーカルのコーナーにそっと移しておこう。
さて、このトニー・パーキンスの「From My Heart」はどの棚に入れよう。ヒッチコック監督の映画「サイコ」のイメージが強いトニーだが、二枚目俳優として数々の映画に出演しているし、シンガーとしても「月影のなぎさ」というヒット曲も持っている。分類するならポピュラーになるが、バックを見るとそうともいえない。「Urbie Green , HisTrombone and His Orchestra」で、トロンボーン奏者としてのグリーンを強調したクレジットになっている。更にアレンジはアル・コーン、メンバーはハル・マクジックをはじめジーン・クイル、ハンク・ジョーンズ、ミルト・ヒントンといった一流が並ぶ。
バックがジャズバンドだからといってジャズ・ヴォーカルと呼べるわけではないが、トニーのジャジーな一面を大きくクローズアップしたアルバムで、ジャズ・コーナーに置かれていても何ら違和感はない。「Taking A Chance On Love」や「Speak Low」といったスタンダードに並んで、「Swinging On A Star」を取り上げている。ビング・クロスビーが主演した映画「我が道を往く」の主題歌だ。威勢のいいバックに乗って語りかけるように、そしてリズミカルに歌うトニーは粋というよりスマートといったほうが正しいだろうか。映画俳優の余技を超えた歌唱はジャズ・ヴォーカルといっていい。
このレコードが入っていた中古レコード店の箱にはマリリン・モンローをはじめアン・マーグレット、ジェーン・ラッセル、ブリジッド・バルドー、ジェーン・バーキン、そして石原裕次郎に小林旭のレコードもあった。箱には「歌う映画スター」と書かれている。この手があったか。今度、この箱でトニー・パーキンスを見付けたら、ジャズ・ヴォーカルのコーナーにそっと移しておこう。