久し振りの読書感想。
と言っても 漫画だが。
吾妻ひでお著「失踪日記」イースト・プレス刊。
情けない話だが、tontonは昔から読書が苦手で、
最近は眼も悪くなってきて、余計に本を読まない、
従って、滅多に本屋に行かない。
ところが、二カ月に一回の退職組の吞み会の待ち合わせが
決まって梅田の紀伊国屋前。
一昨日も、時間調整の本屋の平積みで目にしたのがこの本。
史上初、三冠達成という文字に惹かれた。
(実際には、第37回日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門も受賞した
と言うから 四冠か)
帯のとてつもない褒め言葉は、大概当てにならないものだが、
確かに面白い。
中身は、筆者が仕事を放っぽり出して路上生活した経験談。
その後一時は、ガス配管工事など肉体労働もするが、
ついにはアルコール中毒が進んで、強制入院するまでの全て実話。、
残飯拾いから、公園での洗濯・入浴?など、とてつもなく非日常の世界が
描れているのだが、tontonには殆んど違和感が無い。
と言っても、tonton自身が其処までの体験を積んだわけではないが、
少なくとも、精神的には、体験済みだし、
こんな生活に憧れた時期もあった。
今は観られなくなったが、梅田や淀屋橋、天王寺の地下街では、
段ボールを囲った家で生活する人が結構居た。
中には、わざわざ凝った折り畳み式の玄関入り口まで作って、
中の居間で寝そべりながら、哲学書か政治の本を読みふける姿に、
天満橋の税理士相談から社へ帰る途中のtontonは、
羨ましそうに、観とれたものだ。
思えば、tontonの会社勤務時代は、
拘束されたサラリーマンの悲しい日常の中で、
「せめて精神的には、拘束されずに自由でいたい」
とあがいた毎日であったかも知れない。
tontonは今頃、この本で感激しているが、
2006年に出版されて、爆発的なブームを巻き起こしたものらしい。
先月、続編
「失踪日記2 アル中病棟」が刊行されたので、平積みされていたらしく、
早速これもみないと。